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中小企業にも大きな選択肢!M&Aの現状と業界ごとのトレンド

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公開日
2023.09.19
更新日
2024.02.20
中小企業にも大きな選択肢!M&Aの現状と業界ごとのトレンド

事業継承のため、M&Aを検討している経営者の方もいるのではないでしょうか。

M&Aを行うにあたって、業界の現状や展望、実行するメリット、一般的な流れなどを知っておくと、「M&Aは自社に最適か否か」を判断しやすくなる他、相手探しや手続きをスムーズに行えるようになります。

そのため、まずはM&Aについて理解を深めることが大切です。

そこで今回は、M&A業界の現状から一般的な検討シーン、実行することで得られるメリットなどについてご紹介します。

あわせて、業界ごとのM&Aの傾向も解説しているので、ぜひご覧ください。

M&Aについては下記コラムで詳しく解説しています。
M&Aとは?その目的やメリット、スキームを解説

[cta]

現在のM&A業界について

まずは、現在のM&A業界について解説します。

M&Aを検討する上で「現状を知ること」は重要なステップなので、必ず確認するようにしましょう。

M&Aの件数は増加している

MARR Onlineが発表している「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」によると、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年に、過去最高の件数を記録していることが分かります。

その後、2020年にはコロナの影響により件数が一時的に減少しますが、2021年・2022年には2019年以上の件数となっていることから、多くの企業がM&Aを実行していることが読み取れます。

IN-IN(日本企業同士のM&A)、IN-OUT(日本企業による外国企業へのM&A)、OUT-IN(外国企業による日本企業へのM&A)の3パターン別に見ると、2022年時点で最も多いのはIN-INです。

コロナ前の2019年からその推移はほとんど変わらず、積極的に実行されていることが分かります。

IN-OUTとOUT-INに関しては、コロナの影響により2020年に件数が減少しましたが、その後は徐々に活気を取り戻しています。

10年ほど前までは、M&Aに対して「乗っ取り」「多額の買収資金が必要」などのマイナスなイメージを持っている方が多く、M&Aで事業を継承する選択肢はあまり浸透していませんでした。

しかし、昨今は経済産業省がM&Aを推進していたり、M&Aのプラットフォームが登場したりしたことでイメージが大きく変わり、中小企業のM&Aによる事業継承もしやすくなりました。

一般的に「M&Aの成約数は景気に左右される」といわれていますが、こうしたイメージの変化も今の件数増加につながっているのかもしれません。

参照:グラフで見るM&A動向|MARR Online

中小企業における課題

中小企業庁が発表している「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人と予測されています。

そのうち、約半数の127万人(日本企業全体の1/3)は後継者が決まっていないそうです。

経営者が高齢であるにもかかわらず後継者がいない場合、黒字経営であっても廃業せざるを得なくなることがあります。

そのため、経営者の高齢化は中小企業にとって大きな課題といえるでしょう。

なお、後継者の不在を原因とした中小企業の廃業が増えると、2025年までの累計で約650万人の雇用、そして約22兆円のGDP(国内総生産)が失われるといわれています。

この問題を解決するには、事業を継承すること、つまりM&Aの推進が重要だといえるでしょう。

参照:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題|中小企業庁

仲介会社や銀行もM&Aに積極的

M&Aの件数が増加している背景から、日本では多くのM&A仲介会社が設立されています。

中小企業庁の「M&A支援機関登録制度に係る登録フィナンシャル・アドバイザー及び仲介業者の公表(令和5年度公募(6月分))について」によると、2023年7月24日時点の登録M&A支援機関数は2,897件であり、そのうち632件がM&A仲介会社となっています。

これは、M&A支援機関の種類別登録数において最も多い件数です。

本業や事業承継の支援の一環として、M&Aの相談に積極的に取り組む銀行も増加傾向にあります。

M&Aに対するイメージの変化、そして中小企業の課題の露呈により、今やM&Aは身近な存在となっています。

そのため、これからさらに銀行がM&A関連のサービスに注力していくでしょう。

参照:M&A支援機関登録制度に係る登録フィナンシャル・アドバイザー及び仲介業者の公表(令和5年度公募(6月分))について|中小企業庁

第三者承継支援総合パッケージについて

第三者承継支援総合パッケージとは、後継者が決まっていない中小企業の事業継承を経済産業省がサポートする制度のことです。

「10年間で60万者(6万者/年×10年)の第三者承継の実現を目指す」という指針のもと、経営者の売却を促すためにルールを整備したり、マッチング時のボトルネックを除去したりと、さまざまな取り組みを実施し政策を抜本強化します。

第三者承継支援総合パッケージの策定前にも、中小企業の事業継承をサポートする制度は存在していました。

しかし、その内容が「事業承継時の税金の猶予・免除」であったことから、後継者がいない中小企業は活用しづらいという問題が浮き彫りになったのです。

第三者承継支援総合パッケージは、後継者不在により黒字廃業せざるを得ない状況になっている中小企業の事業継承をサポートするために誕生した制度です。

そのため、中小企業における事業承継問題の抜本的な解決が期待されています。

参照:第三者承継支援総合パッケージ|中小企業庁

どういうときにM&Aを検討するか

積み木と電卓と1万円札

中小企業(譲渡企業)がM&Aを検討するケースには、主に以下の5つが挙げられます。

1.後継者・事業継続問題の解決

M&Aは、後継者の不在、それに伴う事業継承問題の解決に効果的です。

M&Aを実行し新しい経営者を迎えることで後継者問題が解決し、事業を存続し続けることができます。

2.資源を得ることによる経営基盤の強化

M&Aを実行した場合、譲受企業の資源(設備や技術、ノウハウ、販路、人材など)を得ることができます。

これにより自社に不足していた資源が補強され、経営基盤が強化されます。

そのため、M&Aは「経営基盤を今以上に強くしたい」という場合の選択肢としても有効です。

3.従業員・ノウハウを継承

M&Aは、自社の従業員やノウハウを守る上でも役立ちます。

具体的には、M&Aを実行することで事業だけでなく従業員も継承できるため、従業員が職を失わずに済むのです。

また、ノウハウも同様に譲受企業に継承できることから、自社で培ったものを残すことができます。

4.事業を整理

M&Aでは、一部の事業だけを譲受企業に継承することも可能です。

そのため、例えば不採算事業がある場合にそれを売却することで、業績を高められる可能性があります。

5.経営者の利益獲得

未上場であることが多い中小企業には、株式を資金化するのが困難という側面があります。

しかしM&Aで株式譲渡を行えば、経営者は株式と引き換えに譲渡益を得られます。

この点から、M&Aは「経営者の利益獲得」を図る場合の選択肢としても有効といえるでしょう。

譲受企業側の目的

では、譲受企業はどのような目的でM&Aを行うのでしょうか。

第一に「事業の強化・拡大」が挙げられます。

M&Aを通して他社を買収した場合、その会社の技術やノウハウ、販路を手に入れることができます。

これにより、事業を成長させやすくなるほか、新規事業へも参入しやすくなるでしょう。

「交渉力・ブランド力の強化」も譲受企業がM&Aを行う目的のひとつです。

M&Aで会社を買収し自社の規模が大きくなれば、それに伴い交渉力やブランド力も強化されます。

これにより、新たな取引先の確保や採用力の向上が期待できるでしょう。

M&Aにより得られるメリット

MERITと書かれた単語帳

M&Aを行うことで得られるメリットは複数あり、その内容は譲渡企業と譲受企業で異なります。

譲渡企業(売却側)のメリット

譲渡企業が得られるメリットには、以下の4つが挙げられます。

1.従業員の雇用を守れる

M&Aでは、事業とあわせて従業員も譲渡するのが一般的です。

とくに中小企業のM&Aでは、「従業員の雇用を維持すること」という条件が定められていることも珍しくありません。

そのため、譲渡企業はM&Aを実行することで従業員の雇用を守ることができます。

譲受企業が上場企業や大手企業であれば、安定して働ける職場環境を提供することも可能です。

2.ノウハウ・技術を継承できる

さまざまな背景から廃業を選択した場合、自社で培ったノウハウや技術が失われてしまいます。

その点、M&Aを実行すれば経営権とあわせてノウハウや技術も継承できるため、自社が培ってきたものを事業に活かしてもらえるでしょう。

3.信用力・ブランド力を強化できる

譲受企業が上場企業や大手企業の場合、M&Aを通してその傘下に入ることで信用力やブランド力が向上します。

これにより、新たなビジネスチャンスをつかみやすくなるでしょう。

4.個人保証を解除できる

個人保証とは、企業が金融機関から融資を受ける際に、個人が返済を保証することです。

M&Aを実行した場合、譲受企業が融資を肩代わりする、もしくは保証を引き継ぐことになるため、個人保証が解除されます。

譲受企業(買収側)のメリット

譲受企業が得られるメリットには、以下の4つが挙げられます。

1.シェアの拡大、バリューチェーンの統合ができる

譲受企業は、M&Aを通じて譲渡企業の経営権や事業、技術、ノウハウ、販路などを得ることができます。

これにより、事業規模とあわせて業界内でのシェアも拡大しやすくなります。

また、同業の会社が譲受企業の場合は、材料の調達から製造、販売まで一貫した事業展開ができるようになるため、バリューチェーンの統合により効率性を高められるでしょう。

2.事業を多角化できる

M&Aを機に新規事業に参入することで、事業の多角化を推進できます。

これは収益の拡大につながる他、リスクの分散にも効果的なため、譲受企業にとって大きなメリットといえるでしょう。

3.人材・技術力・生産力を強化できる

M&Aを実行した場合、譲受企業は譲渡企業の人材も確保できます。

中には有資格者など、優れた知識・技術を持つ人材もいることから、事業の拡大に大きく貢献してもらえるでしょう。

また、M&Aで得た技術やノウハウを事業に活かせば、技術力や生産力の強化も期待できます。

4.グローバル展開に活かせる

ゼロから海外進出することは、決して容易ではありません。

その点、M&Aで海外企業を買収すれば現地に拠点ができるため、ローカライズされた事業展開に取り組みやすくなります。

M&Aの選択肢

東京の街の写真と握手を交わす手

M&Aと一言でいっても、その種類はさまざまです。

以下では、狭義のM&A(経営権の移転が伴うM&A)に分類される「買収」「合併」「会社分割」について解説します。

買収

買収とは、譲渡企業の経営権や株式、事業の運営権を譲受企業に移すことです。

その方法には「株式取得」と「事業譲渡」の2つがあります。

株式取得とは、譲渡企業の株式を取得することで経営権を得ることです。

具体的な手法には、譲渡企業の株主が持つ株式を譲受企業が買収する「株式譲渡」、新たに株式を発行し対価を受ける「新株引受」、株式会社が全ての発行済株式を他の会社に取得させる「株式交換」などがあります。

事業譲渡とは、譲渡企業の事業の一部または全てを買い取ることです。

この手法の場合、譲渡企業には「今の会社を引き続き経営できる」というメリットがあり、譲受企業には「欲しい事業だけを買収できる」というメリットがあります。

なお、買収でM&Aを実行するメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
譲渡企業・売却することで利益を
得られる
・後継者不足を解決できる
・事業の継続・拡大を
図りやすくなる
・経営権を失う
譲受企業・初めから好調な事業を
運営できる
・自社に不足している
資源を補える
・既存事業の強化を図りやすい
・新規事業へ参入しやすい
・譲渡企業によってはメリットを満足に得られない

合併

合併とは、譲渡企業となる複数の会社の権利や義務をひとつの会社に統合することです。

「吸収合併」と「新設合併」の2種類があり、それぞれで特徴は異なります。

吸収合併とは、譲渡企業の法人格を消滅させて、譲受企業に全ての権利・義務を承継することです。

国内で実行される合併では、多くのケースで吸収合併が選ばれます。

新設合併とは、合併に関わる全ての会社を解散させ、権利・義務を新設会社に継承することです。

全会社が対等な関係になるため、一部の会社が吸収合併に抵抗を感じている場合に選ばれます。

合併は、経営の合理化や生産性の向上、コストカットなどを目的とし、グループ内の再編のために行われるケースが多くなっています。

その一方で、競合他社同士で実行することもあり、その場合はシェアの拡大や業界の発展が期待できます。

ただし、合併には手続きが頻雑という側面があり、その点はデメリットといえるでしょう。

会社分割

会社分割とは、会社(分割会社)の事業の一部を別会社(承継会社)に継承することです。

「新設分割」と「吸収分割」の2種類があり、それぞれで特徴は異なります。

新設分割とは、分割会社の事業の一部を新設した会社に引き継ぐことです。

経営の効率化を図るため、事業を独立させたい場合に利用されることが多くなっています。

吸収分割とは、分割会社の事業の一部を既存の会社に引き継ぐことです。

承継の対価を株式とした場合は資本参加のような効果を得られ、現金とした場合は事業譲渡のような効果を得られます。

会社分割では、原則として分割会社の経営権がそのまま継承されます。

しかし、許認可が必要となる事業の場合はそのまま承継できないこともあるため注意が必要です。

広義のM&A

狭義のM&Aが「経営権の移転が伴うM&A」だけを指すのに対し、広義のM&Aは「経営権の移転が伴わないM&A」を含みます。

具体的には、株式の持ち合いによる業務提携の補強や、合併企業の設立によるリスクの分散などが該当します。

M&Aはどこに相談するか

ノートとペンと男性の手

実行するか否かで会社の未来が大きく変わることもあるため、M&Aは慎重に検討することが大切です。

分からないことや困りごとがあれば、以下の人物や専門家、機関に相談すると良いでしょう。

M&Aの相談については下記コラムで詳しく解説しています。
M&Aの相談はどこにすれば良い?代表的な相談先と選ぶ際のポイントをご紹介

M&Aの経験がある知り合いの経営者

身近にM&Aの経験がある経営者がいる場合は、その人から話を聞くのがおすすめです。

「実際にM&Aを実行してどうだったか」「M&Aを実行する際はどういう点に注意すれば良いか」など、経験者だからこその本音が聞けるので、自社のM&Aを検討する上で大いに参考になるでしょう。

付き合いのある会計士など

付き合いのある会計士に相談するのも一案です。

デューデリジェンス(譲受企業が譲渡企業の価値やリスクを調査すること)など、専門的な知識が必要な内容について相談できるため、譲渡企業の財政状況を確認できる他、M&Aを実行した場合のリスクも把握しやすくなるでしょう。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&Aの相談から最終契約の締結までを一貫してサポートする専門会社です。

M&Aに関する知識が豊富なため、分からないことや困りごとを迅速に解決できます。

また、自社に適したM&Aの相手企業を探してもらうこともできるため、効率よくM&Aを進められるでしょう。

銀行、信用金庫

銀行・信用金庫の主なサービスは預金や融資ですが、中にはM&Aの相談を受け付けているところもあります。

銀行・信用金庫はいわばお金のスペシャリストなので、M&Aのお金にまつわる疑問や悩みがあれば、積極的に相談してみると良いでしょう。

ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)

ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスとは、企業の財務に対してアドバイスをしたりサポートサービスを提供したりする会社のことです。

主な業務は「M&Aのサポート」であり、具体的には戦略立案や相手企業の財務調査、適正な取引価格の算出などを行います。

M&A仲介会社と同じくM&Aに関する知識が豊富なため、相談先として望ましいでしょう。

M&Aマッチングサービス

M&Aマッチングサービスの中には、マッチングだけでなくM&Aのサポートまで行うタイプもあります。

このタイプなら、マッチングからM&Aの成約まで、アドバイザーのサポートを受けながら進められるため、分からないことや困りごとがあればその都度相談することが可能です。

M&Aの主な流れ

M&Aは、主に以下の流れで進められます。

1.M&Aの準備を行う

まずは、M&Aの準備として「必要資料の収集」「企業概要書の作成」などを行います。

例えば、M&A仲介会社を利用する場合は「提携仲介契約」を締結することになるため、決算書や財務諸表などの資料を用意しておくと良いでしょう。

企業概要書は、会社概要や事業内容、組織体制、取引先構成などを分かりやすくまとめることが大切です。

M&A仲介会社については下記コラムで詳しく解説しています。
M&A仲介会社は利用すべき?特徴・メリット・デメリット・選び方を押さえよう

2.M&Aの相手を探す

次に、M&Aの相手企業を探します。

その際のポイントは、事業内容や規模、業績、社風などを通して、自社がM&Aを実行する目的に合っているかどうか確認することです。

M&Aが成功するかどうかはマッチングにかかっているといっても過言ではないため、慎重に相手企業を見極めましょう。

3.トップ面談を行う

お互いにM&Aを実行する意思が固まったら、両者の経営者によるトップ面談を行います。

ここでは、ホームページやパンフレットでは読み取れない部分を深掘りすることが大切です。

例えば、それぞれの人間性や従業員の相性などを確認すると良いでしょう。

4.買収条件調整・基本合意書を締結する

次に、買収条件を調整します。

例えば「譲受企業の経営権はどちらが持つか」を明確にすることが大切です。

会社ごと譲渡するか(買収するか)、それとも事業だけ譲渡するか(買収するか)、どちらを選ぶかで得られる効果は変わるため、双方が合意できる買収条件になるよう調整しましょう。

ここまで終えたら、基本合意書を締結します。

5.デューデリジェンス(買収監査)

基本合意書を締結したら、譲受企業がデューデリジェンス(買収監査)を行います。

譲渡企業は、デューデリジェンスを通じて全ての問題点を明確にしておくことが大切です。

そうすることで、M&A後のトラブルを防ぎやすくなる上に信頼も得られます。

譲受企業は、デューデリジェンスがスムーズに進むよう、気になることや必要資料を事前に譲渡企業に伝えておくと良いでしょう。

6.最終的な条件調整を行う

デューデリジェンスを終えたら、最終的な条件調整を行います。

M&A仲介会社や専門家を交えながら、買収価格や支払い方法、従業員の処遇などを確認しましょう。

7.最終契約締結・M&Aの実行・決済

最終確認を終えた条件のもと、M&Aの最終契約書を結びます。

その後、株式や資産の譲渡が行われ、決済まで進みます。

8.関係者へ開示する

最終契約後は、従業員や取引先など関係者への情報開示を行います。

情報開示は一般的にM&A実行直後に行いますが、幹部社員や重要取引先にはあらかじめ報告していても問題ありません。

9.PMIを実行する

最後に、PMI(M&A成立後の経営統合プロセス)を実行します。

具体的には、新しい経営体制を構築したり事業計画を策定したり、ITシステムを統合したりします。

この作業を通して、M&Aのリスクを最小化すると同時に、成果の最大化を図ります。

業界ごとのM&Aの傾向

現場で話し合う二人

M&Aの傾向は、業界によって異なります。

以下で、主な5つの業界の傾向を解説します。

製造業界

製造業界は、日本経済に欠かせない基幹産業です。

しかし「外部環境の影響を受けやすい」という弱点があり、例えばコロナが流行した時期には海外企業との交渉が困難になった他、海外渡航も容易にできなくなってしまいました。

これによりサプライチェーンが脆弱化してしまったのです。

また、製造業界の中小企業には「後継者不足により事業継承が困難」という課題もあります。

この背景から、製造業界では中小企業を中心にM&Aを実行する企業が増えています。

「モノづくりを継承して成長させたい」という想いのもと、同業他社だけでなく異業種との連携も行っているのです。

こうした動きは今後も続くと考えられ、さらなる成長も期待できると予測されています。

IT業界

M&Aが活発なIT業界では、今後さらにM&Aが加速するといわれています。

その理由は、「慢性的な人員不足」と「コロナの影響によるIT技術の重要性の再認識」です。

技術が求められているものの人員不足で対応できないという状況の打開策として、M&Aにより注目が集まると予測されています。

また、IT業界の2023年以降のM&Aトレンドには「異業種とIT企業の融合」が挙げられています。

事業会社がIT関連の開発を進める場合、外部のシステムインテグレーターに開発作業を一任するのが一般的です。

しかし、それではコストが大幅にかかるため、M&Aを通じてIT企業ごと買収するという選択肢が選ばれ始めているのです。

この背景から、今後IT企業を傘下に入れるケースは増えていくでしょう。

建設業界

建設業界もIT業界と同じく、M&Aが活発な業界です。

業界全体で高齢化や人員不足が課題となっているため、後継者不足によって「会社を売却したい」と考える経営者・企業が多いようです。

また反対に、人員確保を目的とした海外進出や、業務の効率化を図るためのIT技術の導入の足掛かりとしてM&Aを行う企業もあります。

中小企業に関しては、業界再編を目的として、特殊な技術や取引先を有する会社を獲得するために買収をすることもあるようです。

建設業界のこうした傾向は今後も継続し、M&Aの件数は増加の一途を辿ると予測されています。

医療・介護業界

医療・介護業界も、課題となっているのは業界全体の高齢化です。

後継者が不足していることから、人員確保や資金調達を理由にM&Aを実行している企業が多いのが現状です。

また、コロナによって医業利益率が約5%減少しており、これが医療・介護業界のM&Aに拍車をかけている要因ともいわれています。

さらに、今後は医療・介護業界でもWeb・SNSマーケティングが重要になってきます。

なぜなら、患者やその家族が医療機関を探す際にWeb・SNSを使用することが一般的になっているからです。

しかし、医療・介護に携わっている人材がWeb・SNSマーケティングに着手することは、工数や知識・技術の問題から極めて困難といえます。

そこで、選択肢のひとつとなるのが「M&Aを通じてIT会社などと連携すること」です。

組織をグループ化し事業を拡大することで、今の時代に合った経営ができるようになります。

これからの時代、ひとつの事業で継続的に病院を経営することは困難といわれています。

そのため、M&Aを実行し事業を拡大する選択肢は、今後医療・介護業界のトレンドになるかもしれません。

サービス業界

サービス業界と一言でいってもその種類はさまざまですが、その多くで課題となっているのが人員不足です。

この問題を解決するために、M&Aを実行している企業は珍しくありません。

また、サービス業界のM&A件数は2016年以降増加し続けており、2020年には全ての業種の中で最多となりました。

この傾向は継続すると考えられているため、サービス業界では今後もM&Aが活発に行われると予測されています。

まとめ

「後継者がいないため事業継承が困難」「経営基盤を強化したい」という場合は、M&Aの実行を検討するのも一案です。

M&Aの件数は増加しており、その背景からM&Aのサポートを行う仲介会社や相談に応じる銀行も増えています。

そのため、初めてM&Aを行う企業も安心して進めることが可能です。

業界によってM&Aのトレンドは異なります。

今回ご紹介したトレンドは今後変わる可能性もあるため、M&Aを実行する際はそのタイミングで業界の動向を確認するようにしましょう。

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中小企業にも大きな選択肢!M&Aの現状と業界ごとのトレンド

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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