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クラウドファンディングどう仕訳する?3パターンの会計処理

公開日
2024.01.25
更新日
2024.10.18
クラウドファンディングどう仕訳する?3パターンの会計処理

不特定多数からの支援を集め、プロジェクトを実行するための資金を調達できるのがクラウドファンディングです。

プロジェクトを魅力的に伝えられれば多くの支援が集まり、新規事業のための大きなチャンスとなるでしょう。

クラウドファンディングを実施する際にも、企業としてお金の出入りが発生する以上は会計処理が必要となります。

今回の記事では、クラウドファンディングを会計処理する際の仕訳例をご紹介します。

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会計処理に影響するクラウドファンディングの種類

仕訳帳と電卓

クラウドファンディングの実施を検討している場合は、まずその種類について把握することが大切です。

クラウドファンディングは以下にご紹介する種類によって、会計処理の方法が変わってきます。

購入型クラウドファンディング

一般的にクラウドファンディングといったとき、主に該当するのがこの購入型クラウドファンディングです。

売買型とも呼ばれ、プロジェクトへ集められた資金に対して金銭“以外”でのリターンを行います。

多くの場合は、クラウドファンディングにて企画した商品やサービスの提供を行い、支援者は後に正式リリースされたときよりも安価に商品・サービスを享受できます。

購入型クラウドファンディングはさらに、プロジェクトの実施のパターンによって「All-or-Nothing方式」と「All-in方式」に分けられます。

All-or-Nothing方式では、プロジェクトの目標金額を設定し、期間内に目標の支援が集まることを目指します。

目標金額を期間内に達成した場合、支援金を受け取ってリターン履行義務が発生しますが、達成できなかった場合は支援者へそのまま返金されプロジェクトは実施されません。

All-in方式では、目標金額を達成しなくてもリターン履行義務が発生し、プロジェクトを実施して支援者へリターンを提供します。

多くの場合は、前者のAll-or-Nothing方式が行われています。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングは、プロジェクトへ集められた資金に対してリターンを“返さない”タイプのクラウドファンディングです。

そのため実質的には寄付と同じ仕組みであり、ビジネス色の強い企画よりは被災地の支援や社会インフラに関連するものなど社会的意義の高い企画で採用されます。

支援者は支援金に対して直接的なリターンを受けませんが、寄付型クラウドファンディングでは支援者に対しプロジェクトに関する最新情報の提供などを行うことがあります。

投資型クラウドファンディング

投資型クラウドファンディングは、プロジェクトへ集められた資金に対して“金銭”をリターンするタイプのクラウドファンディングです。

具体的には、プロジェクトがうまくいった場合に配当金を受け取るといった形で支援者はリターンを受けます。

購入型では、支援者はリターンを受けるか支援金が返金されるかの2パターンとなりますが、投資型では支援者もリスクを負い、プロジェクトがうまくいかなかった場合はリターンを得られないこともあります。

クラウドファンディングについては下記コラムで詳しく解説しています。
クラウドファンディングとは?メリットやデメリットは?成功事例などをご紹介

購入型クラウドファンディングの会計処理

デスクの上の電卓と資料、積み木

ここから、種類ごとの会計処理の基本的な仕訳方法を見ていきましょう。

まずは購入型クラウドファンディングについてご紹介します。

資金が振り込まれたとき

このタイプでは、クラウドファンディングの形を取っているものの、支援者から支払いを得て商品・サービスを提供するという形を取っているため、税務上は通常の売買と同じ扱いとなります。

一方、クラウドファンディングでは資金の受け取りからリターンの実施まで期間が空くため、会計処理でも段階的な仕訳が必要になります。

例えば、All-or-Nothing方式のプロジェクトで100万円が集まり、クラウドファンディングの運営から資金が振り込まれたときには以下のように仕訳します。

(ここではクラウドファンディングサイトから手数料を引かれた金額が100万円とします)

借方貸方
預金1,000,000円前受金1,000,000円

資金を受領したものの、まだ商品・サービスは提供していないため、貸方には前受金の勘定科目を使用します。

商品・サービスを提供したとき

借方貸方
前受金1,000,000円売上高1,000,000円

商品・サービスの提供を実施したら、売上高を計上し、前受金を借方に計上してゼロにします。

なお、通常の売買と同じ扱いになることから、ここの売上高は消費税の課税対象となります。

プロジェクト失敗:返金する場合

プロジェクトが失敗したケースを考えてみましょう。

All-or-Nothing方式のプロジェクトでは通常、失敗した場合はそもそも資金の受領が行われませんが、資金を受領した後に返金しなければならない場合には以下のような仕訳となります。

「資金が振り込まれたとき」の反対だと考えると分かりやすいでしょう。

借方貸方
前受金1,000,000円預金1,000,000円

プロジェクト失敗:返金しない場合

もしプロジェクトが失敗し、その一部ないし全額を返金しないとなった場合には以下のように仕訳を行います。

ここでは、50万円を返金しなかった場合を想定しています。

借方貸方
前受金500,000円受贈益500,000円

リターンの金銭的価値が著しく低い場合

購入型クラウドファンディングとして実施したものの、リターンの金銭的価値が著しく低い場合(例:著名人からの感謝レターなど)、税務上は売買ではなく寄付として扱うことがあります。

その場合は、以下の寄付型クラウドファンディングと同様の会計処理を行います。

寄付型クラウドファンディングの会計処理

このタイプでは、寄付で得た資金は受贈益として企業の利益に計上することになります。

寄付を受領したとき

100万円の寄付が集まった場合、以下のように仕訳を行います。

借方貸方
預金1,000,000円受贈益1,000,000円

手数料を相殺するとき

通常は上記と同時ですが、クラウドファンディングサイトから5%の手数料を引かれた場合は以下のように仕訳を行います。

借方貸方
支払手数料50,000円預金50,000円

投資型クラウドファンディングの会計処理

投資型クラウドファンディングでは、株式を発行した場合と同じ会計処理を行います。

資金を調達したとき

投資型クラウドファンディングで100万円の支援金を受けた場合は、以下のように仕訳を行います。

借方貸方
預金1,000,000円資本金1,000,000円

なお、購買型と違い支援者に対して対価を提供しないため、ここでの資本金には消費税が課税されません。

利益を分配するとき

投資型クラウドファンディングでは、プロジェクトで利益が出た場合に支援者へ配当金を支払います。

以下では、1万円の配当金を支払った場合の仕訳を示しています。

借方貸方
繰越利益剰余金10,000円預金10,000円

まとめ

本記事では、クラウドファンディングを実施する際の会計処理の仕訳についてご紹介しました。

通常の売買などの仕訳についてすでに知っている方はイメージしやすかったのではないでしょうか。

クラウドファンディングは、プロジェクトを紹介するときに魅力的な内容だと伝えることができれば、多くの資金を集めることができます。

会計処理についても把握し、大きなチャンスにつなげていきましょう。

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ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説【図解あり】

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クラウドファンディングどう仕訳する?3パターンの会計処理

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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