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リースバックのよくあるトラブルとは?基本情報とあわせて押さえておこう

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公開日
2023.01.11
更新日
2024.02.16
リースバックのよくあるトラブルとは?基本情報とあわせて押さえておこう

資金調達の方法のひとつに、リースバックがあります。まとまった資金を得られるため魅力的ではありますが、知識がないまま利用すると思わぬトラブルを招く恐れがあるため、注意しなければなりません。

そこで今回は、リースバックとはどのようなサービスかをはじめ、よくあるトラブルやその回避方法をご紹介します。また、トラブルに遭った際の相談先もまとめているので、ぜひご参考にしてください。

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リースバックとは

悩む男性と女性

リースバックとは、物件を売却した後も自宅に住み続けられるサービスのことです。物件の所有権がリースバック運営会社(主に不動産会社や不動産投資家)に移るため、家賃を支払わなければなりませんが、まとまった資金(売却金)が入る上に住み慣れた家で暮らすことができます。

リースバックについては下記コラムで詳しく解説しています。
リースバックとは?メリットやデメリット、リスクはある?契約時にみるべきポイントも解説

リースバックのメリット

リースバックのメリットは以下のとおりです。

・短期間で自宅を資金化できる
・売却後も住み慣れた家で暮らせる
・固定資産税などの維持費がいらない
・引越し費用がかからない
・将来再購入もできる
・物件を売却しても周囲に知られる心配がない

リースバック契約をすれば、まとまった資金を調達することができます。これにより、例えば「住宅ローンの支払いが厳しくなってきた」「老後の資金が不安」といった悩みを解消することが可能です。

また、リースバック契約なら物件を売却したことがチラシやホームページに公開されないため、周囲に知られる心配もありません。引越しの必要もないので、余計な出費も防ぐことができるでしょう。

リースバックのデメリット

リースバックのデメリットは以下のとおりです。

・自宅の名義が変更になる
・毎月家賃を支払う必要がある
・売却価格が相場よりも安くなる傾向にある
・リフォームや建て替えに運営会社の許可が必要になる
・契約内容によってはずっと住み続けられるとは限らない

リースバック契約をすると、名義がリースバック運営会社へと変更になります。

そのため、「将来子どもに物件を相続したい」と思っていても、相続することができません。

この他、「定期賃貸借契約」の場合はずっと住み続けることができない可能性があります。

アパートやマンションなどを借りて住む場合は「普通賃貸借契約」となっており、特別な理由がない限りは更新して住み続けることが可能です。

一方、定期賃貸借契約だと定めた期間の満了を迎えると契約が終了します。

双方の合意がなければ更新されないため、退去しなければならないのです。

デメリットについては下記コラムで詳しく解説しています。
リースバックのデメリットとは?回避する方法とあわせて押さえよう

リースバックのよくある10のトラブル

悩む男性

リースバック契約には「短期間でまとまった資金を得られる」「住み慣れた家で暮らせる」などのメリットがありますが、その一方でトラブルが起こる可能性もあります。

以下では、リースバックのよくあるトラブルをご紹介します。

1.家賃が高騰し支払えなくなった

リースバック契約の場合、周辺地域の家賃相場よりも家賃が割高に設定されるケースがあります。

これにより、家賃の支払いがギリギリになってしまうこともあるでしょう。

また、リースバック運営会社によっては、契約時に「家賃の値上げはしない」と言い渡すこともあります。

しかし、これはあくまでも口約束なので、更新のタイミングに家賃が値上げすることがあるのです。

ただでさえ支払いがギリギリな家賃をさらに値上げされることによって、退去せざるを得ない状況に陥ったという事例が発生しています。

2.相場よりも安い金額で売却してしまった

デメリットに挙げたように、リースバックを利用した場合、物件の売却価格が相場よりも安くなる傾向があります。

なぜなら、リースバックでは主に不動産会社が物件を購入するからです。

不動産会社はリースバックで購入した物件をリフォームしてから販売するため、そのリフォーム代を負担することになります。

この理由により、リースバックでは「物件の売却価格」が「周辺地域の物件相場」よりも安くなる傾向にありますが、リースバック運営会社によってはそれよりもさらに安い金額で物件を購入するケースもあるのです。かなり安い金額で物件を売却した場合は「低廉譲渡」とみなされ、贈与税が発生する恐れがあります。

また、物件の売却価格が高いとその分家賃も高くなるため、リースバックを利用して同じ家に住み続ける場合は、家賃を下げるためにあえて相場よりもかなり安い金額で物件を売却する方もいます。

しかし、住宅ローンが残っていて破産を前提にリースバックを利用すると「不当な財産隠し」とみなされるケースがあり、そうなると金融機関などの債権者から訴えられることもあるのです。

相場については下記コラムで詳しく解説しています。
【法人向け】リースバックの売却・リース・再購入時の相場や利用メリット

3.高額な諸費用を請求された

高額の諸費用を請求されてトラブルになった事例もあります。

リースバックを利用する際は諸費用として、主に「印紙税」「抵当権抹消手続き」「交通費」「書類郵送費」がかかります。

基本的に、これら以外の諸費用を請求されることはありません。

しかし、リースバック運営会社によっては上述した諸費用以外の費用(例:耐震補強費用や測量費用、事務手数料など)を請求してくることもあり、違和感に気づかないまま契約を結ぶと必要以上の費用を支払うことになってしまいます。

4.勝手に売却されてしまった

リースバック契約時に、運営会社と「勝手に売却をしない」と約束したのにもかかわらず、いつの間にか物件が売却されていたというトラブルもあります。

そもそも、リースバックでは所有権がリースバック運営会社に移行するため、物件を勝手に売却をしても違法ではありません。

しかし、「勝手に売却をしない」という担当者を信頼して契約を結んだ場合、物件を勝手に売却されたとなると信頼関係は崩れてしまうでしょう。

5.買戻しに応じてもらえない

前述したように、リースバックには一度売却した物件を買戻しできるというメリットがあります。

ただし、買戻しに応じてもらえないトラブルも発生しているため注意しなければなりません。

なぜそのようなトラブルが起こるのかというと、買戻しに関する契約を書面で取り交わしていないからです。「買戻しする」「買戻しできる」といった口約束には法的な効力はありません。

そのため、物件の所有権が他の方に変わってしまえば、その方が承諾しない限り買戻しはできないでしょう。

6.買戻しの金額が高い

リースバックの買戻しに関しては、他にも金額が高いというトラブルも発生しています。

買戻しの際、周辺地域の物件相場よりも売却価格を高く設定されることがありますが、トラブルになりやすいのは「契約時に聞いていた金額よりもさらに高い売却価格を提示された」というケースです。

契約時に提示された売却価格を準備していても、いざ買戻す際に売却価格が高くなっていたら資金をさらに準備しなければなりません。

しかし、リースバックでは家賃も比較的高めに設定されているので、資金を準備することは容易ではないでしょう。

そうなると、買戻すために賃貸借契約を更新し続けるか、もしくは諦めて退去せざるを得ない状況に陥ってしまいます。

これでは、マイホームを買戻すことを見据えてリースバック契約をしても、叶わなくなってしまいます。

7.定期賃貸借契約を更新できず退去を求められた

前述したように、リースバックでは「定期賃貸借契約」が結ばれることがあります。

2年や3年と期間が定められており、満了を迎えると退去しなければなりません。

契約を更新する際は双方の合意が必要となり、リースバック運営会社が拒否すれば更新することは困難です。

リースバック契約時に「更新できる」といわれていても、それが口約束だと例えば「第三者に物件を売却したいから」などの理由により突然更新を拒否されるケースも珍しくありません。

8.相続人と揉めてしまった

リースバックでよくあるトラブルのひとつに、相続人と揉めることがあります。

マイホームを購入すると、いずれは子どもや親戚に自宅を引き継ぐのが一般的です。にもかかわらず、勝手にリースバックで物件を売却したとなれば、物件を相続してもらえると思っている子どもや親戚が怒り、揉めてしまうことがあります。

9.不動産会社が倒産してしまった

リースバック契約を結んだ不動産会社が倒産すると、物件の所有権が第三者に移されます。

所有者が変わっても通常は契約内容が引き継がれますが、更新のタイミングで契約内容が変わることもあり、その場合にトラブルが起こるケースがあるのです。

具体的には、例えば前の所有者と「再契約を結ぶ」という約束をしていたとします。

しかし、新しく所有者が変わってしまえばそれは無効となるため、最悪の場合、退去を求められることがあります。

また、更新できたとしても前の所有者との「家賃を値上げしない」という約束も無効となるため、家賃を高く設定されることもあるでしょう。

リースバック契約を結んだ不動産会社が倒産すると、契約当初の約束が果たされなくなってしまうため、このようなトラブルが起こり得ます。

10.リースバック契約ができなかった

リースバックを利用したくて申し込みをしても、リースバック運営会社に断られることもあります。

そもそもリースバックを利用する際は、「物件の評価額が住宅ローンの残債よりも高い」という条件をクリアしなければなりません。

なぜなら、売却価格が住宅ローンの残債を下回ると、融資先の金融機関から「弁済することが難しい」と判断されるからです。

住宅ローンを組んでいる金融機関の抵当権を外すことができず、リースバック契約を断られてしまいます。

リースバックのよくあるトラブルを回避する方法

小さな模型の家を持つ男性

では、リースバックのトラブルはどのように回避すれば良いのでしょうか。

よくあるトラブルの回避方法を以下にてご紹介します。

契約前に家族とよく話し合う

まず、リースバックを契約する前に家族とよく話し合うことが大切です。

前述したように、子どもや親戚など相続人に何の相談もないままリースバックを進めてしまうと揉めてしまう可能性があります。

また、リースバックの契約期間は長期にわたるため、契約者が途中で亡くなることもあるでしょう。

この場合、相続人が契約を引き継がなければなりませんが、事前にリースバックについて共有していない場合はスムーズに引き継ぐことができない可能性があります。

もし相続人の理解を得ないままリースバックの契約を進めてしまうと、例えば「自宅を買戻して次の世代につないでほしい」という願いが叶わなくなってしまいます。それどころか、関係性が悪くなり疎遠になってしまう可能性も考えられます。

そのようなトラブルを招かないためにも、リースバックを申し込む際は家族とよく話し合うようにしましょう。

家賃を10年間継続して払えるか確認する

リースバックを利用する際は、家賃を10年間払い続けることができるかどうかを確認することが大切です。

一般的なリースバックの家賃は、「1か月の家賃=物件の買取価格×10%(利回り)÷12か月」の計算式で求められます。

もし利回りが「10%」であれば、10年間で投資額を回収する予定だと考えられます。

物件の売却後はまとまった資金が入るため「支払い続けられる」と思っていても、毎月の家賃の支払いが何年も続くと厳しくなることもあります。

また、経済事情により家賃が値上がりすることもあり、そうなると家賃の支払いがさらに難しくなり退去せざるを得ない状況に陥ってしまうこともあるでしょう。

いつまでも住み慣れた家で暮らしていくためには、家賃の値上がりも考慮して「10年間継続して支払えるか」をしっかり確認することが大切です。

そうすれば、家賃の支払いが滞るといったトラブルを回避しやすくなるでしょう。

契約書をしっかり確認する

リースバックを利用する際に賃貸契約を結びますが、前述したように契約には「定期賃貸借契約」と「普通賃貸借契約」の2種類があります。

定期賃貸借契約の場合は契約が満了すると更新されないため、更新するには双方の合意が必要です。

普通賃貸借契約の場合は特別な理由がない限り、所有者から契約を打ち切られることはありません。

リースバックは一般的に定期賃貸借契約ですが、念のため契約書に記載があるかを確認することが大切です。

確認しないまま契約を結ぶと、後に「更新されず退去を求められた」というトラブルに発展する可能性があるため、十分に注意しましょう。

この他、買戻し価格や条件も確認しておくことが大切です。

そもそも契約書に買戻し価格や条件が記載されていなければ、契約書に記載してもらう必要があります。もしくは、売買契約書とは別に買戻しの価格や条件を明記した書面を発行してもらいましょう。

仮に、リースバック契約時に伝えられていた買戻し価格や条件と、実際に買戻しする際の価格や条件が異なる場合、「物件を再購入できず賃貸借契約を更新し続けなければならない」という不測の事態に発展しかねません。

最悪の場合は、買戻し予定だったのにもかかわらず、資金が足りず諦めなければならないこともあるでしょう。

そのようなトラブルを回避するためにも、買戻し価格や条件も必ず確認する必要があります。

また、売却防止策も確認しておきましょう。

リースバックでは、不動産会社の倒産などの理由により物件の所有権が第三者に渡ることがあります。

所有者が変わることによって契約内容も変わる可能性があるため、どのような売却防止策をとっているのかを契約書にて確認することが大切です。

そうすれば、勝手に物件を売却されてしまうといったトラブルを未然に防ぐことができます。

業者が提案するプランの根拠を確かめる

リースバック運営会社によっては、プランを提案してくれることがあります。その際、プラン内容や契約について分からないことがあれば理解できるまでどんどん質問するようにしましょう。

なぜなら、リースバック運営会社にとって有利になる条件を提示している可能性があるからです。

「気付かないうちに自分にとって不利な条件で契約してしまった」となると、後にトラブルにつながりかねません。

そのため、もし質問した内容にしっかり答えられなかったり、答えを濁されたりした場合は、利用するのを避けるようにしましょう。

複数の業者の買戻し価格を比較する

買戻しを予定している場合は、契約前に複数のリースバック運営会社から買戻し価格を提示してもらうのがおすすめです。

そうすることで、適正価格を判断しやすくなり、高額な買戻し額を支払うリスクを抑えることができます。

リースバックの利用においてトラブルに遭ったときの相談窓口

ノートパソコンを見ながら電話をする男性

リースバックを利用する前に押さえておきたいことに、「クーリングオフができない」ということが挙げられます。

クーリングオフとは、いらない商品を売りつけられたり商品が不良品だったりした際に、買い手を守るための制度です。

リースバックでは物件を売却することから「売り手側」となるため、クーリングオフができません。

では、万が一リースバックの利用においてトラブルに遭った場合どうすれば良いのかというと、以下の場所に相談するのがベストです。

【消費者ホットライン】
電話番号:188

【国民生活センター】
電話番号:03-3446-1623
受付時間:平日の10時〜12時/13時〜16時

【国土交通省】
電話番号:03-5253-8111

参照:消費者ホットライン|消費者庁
   住宅局|国土交通省

まと

小さな模型の家を持つ手

リースバックには「まとまった資金を得られる」というメリットがありますが、「家賃が高騰し支払いができなくなった」「高額な諸費用を請求された」「契約当初よりも買戻しの金額が高くなっていた」などのトラブルが起こることもあります。

こうしたトラブルが起こると、資金繰りがうまくいかなくなる他、家族や親戚との関係性が悪化する可能性もあるため、今回ご紹介した回避方法を押さえておくことをおすすめします。

日本中小企業金融サポート機構では、中小企業向けにリースバックをはじめとする資金調達の方法をご紹介すると同時に、資金調達のサポートもしています。

資金繰りにお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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リースバックのよくあるトラブルとは?基本情報とあわせて押さえておこう

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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