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キャッシュフロー経営とは?これまでの経営との違いや改善手法について

公開日
2023.10.10
更新日
2024.02.20
キャッシュフロー経営とは?これまでの経営との違いや改善手法について

キャッシュを適切に管理し手元に多くの資金を残す「キャッシュフロー経営」は、黒字倒産を回避し、健全な経営を実現する上で欠かせない取り組みです。

そこで今回は、キャッシュフロー経営の特徴やメリット・デメリット、キャッシュフロー計算書の見方、キャッシュフローを改善する方法などについてご紹介します。

「自社の資金の流れ」に重きを置き安定した経営を目指すためにも、ぜひ参考にしてみてください。

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キャッシュフロー経営とは?

キャッシュフロー経営とは、「手元に多くの資金を残すこと」を優先する経営のことです。

具体的には、資金の流入を多く(素早く)して、流出を少なく(遅く)することを指します。

そもそもキャッシュフローとは

キャッシュフローとは、企業(経営)における資金の流れのことです。

資金の流入(収入)を「キャッシュ・イン」、資金の流出(支出)を「キャッシュ・アウト」といい、キャッシュフローは原則として「キャッシュ・イン - キャッシュ・アウト」の計算式で求められます。

なお、ここでいうキャッシュとは手元の資金だけでなく、普通預金、当座預金、期間3か月以下の定期預金など、すぐに使用できるお金のことを指します。

キャッシュフローについては下記コラムで詳しく解説しています。
経営を安定化し成長を促進する「キャッシュフロー」について

なぜキャッシュフローが重要視されているのか

キャッシュフローが重要視されている理由は「資金ショートによる黒字倒産を回避するため」です。

資金ショートとは、手元の資金や普通預金、当座預金が減少し、経営に必要な資金が足りなくなることです。

資金ショートになる原因には「売掛金の未回収」「借金の弁済」などが挙げられ、これらのケースでは仮に利益が黒字でも倒産してしまう可能性があります。

例えば、1,000円の売上から売上原価や固定費を差し引いて、100円の利益が出たとします。

しかし、商品やサービスを売り上げたものの代金(売掛金)が未回収の場合は、その分が利益から差し引かれます。

仮に150円が未回収だとすると、結果的に資金増減が△50円となるのです。

このとき、預金残高があり資金増減のマイナスをカバーできればとくに問題はありませんが、必ずしもそう対処できるとは限りません。

場合によっては全ての現預金を使ってもカバーできないこともあり、そうなると資金ショートによって黒字倒産を引き起こしてしまいます。

こうした事態を回避するには、キャッシュフローを意識した経営を行うことが欠かせません。

そのため、今キャッシュフローが重要視されていると考えられます。

これまでの経営と何が違うのか

これまでの経営とキャッシュフロー経営には、主に以下のような違いがあります。

これまでの経営キャッシュフロー経営
重視すること売上や利益手元にある現金
計上の基準全ての取引を計上入出金があった取引のみ計上
経営のポイント売上や利益を増やすこと手元の現金を増やすこと

キャッシュフロー経営を行うメリット・デメリット

メリットデメリットの書かれた紙がバインダーに挟まっていてその上に3体のスートを着た人の人形が立っている

では、キャッシュフロー経営を行うことにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

キャッシュフロー経営のメリットには、主に以下の5つが挙げられます。

・安定した経営を実現できる
・経営の自由度を高められる
・自社に対する信用度を高められる
・必要以上の投資を防止できる
・常に資金ショートを防ぐ意識が持てる

この中で特筆したいのは、「安定した経営を実現できる」というメリットです。

そもそも経営を継続させるには、仕入れ先への支払いや税金の納付、社員への給与の支払いなどの支出が必要不可欠です。

キャッシュフロー経営を通して手元の資金を十分に蓄えておけば、こうした支出に困ることがなくなる他、仮に売掛金が回収できなくなってもカバーできるため、資金ショートになるリスクを軽減することが可能です。

これにより、安定した経営がしやすくなります。

デメリット

キャッシュフロー経営のデメリットには、主に以下の3つが挙げられます。

・収益を得る機会を逃す可能性がある
・株主から配当の引き上げを求められる可能性がある
・インフレーション時は不利になる

この中で特筆したいのは、「収益を得る機会を逃す可能性がある」というデメリットです。

キャッシュフロー経営では手元にある資金を重視するため、キャッシュフローの範囲内で活動するのが一般的です。

銀行から融資を受けて手元の資金を増やすなど、リスクを負ってまで「資金調達」を行うことはほとんどありません。

しかし、資金調達を行った場合、レバレッジ効果(自己資金に借入金を足すことで、より大きな利益を生む効果)が期待できます。

これは企業のさらなる成長の足掛かりになることもありますが、キャッシュフロー経営では無理な資金調達を行わないため、この機会を得られない可能性があります。

キャッシュフローの区分

キャッシュフロー経営について理解を深めるには、キャッシュフローの種類を知ることも大切です。

キャッシュフローには「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つの種類があります。

営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは、営業活動による収入と支出の差額を表します。

プラスの場合は営業活動によって現金を生み出せていることになるため、本業が順調だと判断できます。

一方でマイナスの場合は、営業活動および本業が不調、または売掛金の回収ができていない可能性があります。

営業活動によるキャッシュフローは、特別な事情がない限りプラスであるべきといわれています。

なぜなら、最も大きな収入となる本業を安定させることは、キャッシュフロー経営を行う上で欠かせないからです。

売掛金の回収を早めるなどして、プラスの状態をキープするようにしましょう。

投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローは、企業買収や設備投資などの投資活動による収入と支出の差額を表します。

上述した営業活動によるキャッシュフローは基本的にプラスであるのが望ましいですが、投資活動によるキャッシュフローに関してはマイナスになるほうが良いといわれています。

なぜなら、マイナスだと「将来的に収益につながる可能性がある」と判断できるからです。

また、投資活動によるキャッシュフローがプラスの場合は、設備や株式・債券などの売却金額が投資分を上回っていると判断できます。

資産が減っているとも考えられるため、この点からもマイナスのほうが良いといえるでしょう。

財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローは、資金調達に関するお金の流れを表します。

具体的には「いくら資金を調達し、いくら弁済したか」を表し、上述した営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローを調整する役割があります。

財務活動によるキャッシュフローがプラスの場合、借入金や社債などにより資金調達を行ったと判断できます。

一方でマイナスの場合は、弁済が順調に行われていると考えられます。

ただし、財務活動によるキャッシュフローに関しては、状況に応じてプラスが良いかマイナスが良いかを考えることが大切です。

たとえば、優れた企業はマイナスであることが多いですが、売上を出せていないのにもかかわらず金融機関への弁済に追われて、やむを得ずマイナスになっているケースもあります。

また、さらなる成長を目指す企業は資金調達に注力するケースが多く、この場合は財務活動によるキャッシュフローがプラスになるでしょう。

このように、状況次第ではプラスが良い場合もあるため、財務活動によるキャッシュフローの良し悪しはその他のキャッシュフローと組み合わせて判断するようにしましょう。

キャッシュフロー計算書の見方

キャッシュフロー計算書とキーボードとペン

キャッシュ・フロー計算書は、財務三表に含まれる重要な書類です。

会計年度中に「どのような理由でどれほどの収入があったか」「どれほどの支出があったか」を表すもので、キャッシュフロー経営を行う際に欠かせません。

ここでは、そんなキャッシュ・フロー計算書の見方を解説します。

キャッシュフロー計算書については下記コラムで詳しく解説しています。
なぜ重要?キャッシュフロー計算書の見方を解説

優良企業とみられるケース

営業活動によるキャッシュフローがプラス、投資活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローがマイナスの場合は、優良企業と判断できます。

なぜなら、本業で十分に利益を出せており、さらなる成長のための投資も行って、借入金もしっかり返せている状態だからです。

経営状態が安定している企業は、このような組み合わせになるケースが多いでしょう。

積極的に投資している企業とみられるケース

営業活動によるキャッシュフローがプラス、投資活動によるキャッシュフローがマイナス、財務活動によるキャッシュフローがプラスの場合は、積極的に投資している企業と判断できます。

なぜなら、本業で生み出した利益と借入金を使って将来を見据えた投資を行っている状態だからです。

新しい事業の展開を目指す成長企業などは、この組み合わせになることが多いでしょう。

懸念のある企業とみられるケース

営業活動によるキャッシュフローがマイナス、投資活動によるキャッシュフローがプラス、財務活動によるキャッシュフローがプラスの場合は、懸念のある企業と判断できます。

なぜなら、本業で利益を出せてない上に投資もできておらず、借入が増えている状態だからです。

この組み合わせの場合、事業の存続が危うい衰退企業になっている可能性が高いといえます。

どのような企業がキャッシュフロー経営を行うべきか

パソコンの前に立って議論する男女3人

安定した経営を実現できるキャッシュフロー経営は、どのような企業が行うべきなのでしょうか。

スタートアップ

スタートアップ企業は創業して間もないことから信用度が低く、実績も乏しいため、仮に運転資金が不足していても融資を受けるのはそう容易ではありません。

キャッシュフロー経営を行えば、企業(経営)における資金の流れを正しく把握・管理でき、安定した経営基盤を作れるようになるため、融資を受けずとも良好な経営を実現しやすくなるでしょう。

事業拡大・新規事業を考えている企業

事業拡大・新規事業を考えている企業にも、キャッシュフロー経営がおすすめです。

なぜなら、仮に設備投資をした場合、その投資によって生み出された利益が売上に反映されるまでに時間がかかるからです。

当然その間も運転資金は必要なので、場合によっては資金繰りが悪化することもあります。

キャッシュフロー経営を行えば資金の流れを把握できるため、資金ショートのリスクを軽減でき、安定的な経営を目指しやすくなります。

掛取引が多い企業

掛取引が多い企業の場合、売上の発生から入金までに多少の時間がかかります。

もし売掛金の回収が遅れるとキャッシュフローが悪化し、資金ショートにつながる可能性があります。

そのため、キャッシュフロー経営を行い、手元の資金を長く留めるよう心掛けると良いでしょう。

キャッシュフローを改善するための手法

COSTと書かれた紙をハサミの刃で挟んでいる

キャッシュフロー経営を行うにあたって、もしキャッシュフローが悪化している場合は、まずそれを改善する必要があります。

以下で具体的な手法をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

資金繰り表を作成する

まずは、月々の支出・収入を分類および集計した「資金繰り表」を作成しましょう。

現状のキャッシュフローを正しく管理できるため、問題点や改善点を洗い出しやすくなります。

遊休資産・固定資産を処分する

遊休資産(事業用の資産として取得したものの、事業の変更や新しい設備の導入などにより利用・稼働を停止している資産)や不要な固定資産があれば、積極的に処分しましょう。

売却し資金に変えることで、例えば借入金の弁済にあてられ、キャッシュフローを改善しやすくなります。

在庫を最適化する

在庫が多いと維持費や管理費が余分に発生し、キャッシュフローが悪化することがあります。

そのため、在庫の数を見直し最適化することも、キャッシュフローを改善する手法といえるでしょう。

経費を削減する

無駄な経費がある場合、それを削減することで支出が減り、キャッシュフローが改善することがあります。

光熱費や水道費、通信費、仕入れにかかる費用などを見直してみましょう。

融資を受ける

キャッシュフローを改善するためにまとまった資金が必要な場合は、融資を受けるのも一案です。

日本政策金融公庫や自治体の融資制度など、中小企業および小規模事業者の支援を目的とした機関・制度なら、比較的審査に通りやすいでしょう。

利益の向上に努める

キャッシュフローを根本的に改善するためには、利益の向上に努めることも大切です。

売上高の増加、販売費の見直し、固定費の削減などに積極的に取り組みましょう。

売掛金を回収する

売掛金を確実に回収することは、キャッシュフローを安定させる上で必要不可欠です。

なぜなら、仮に回収できなかった場合は損失となってしまうからです。

未回収や遅延がないよう、適切に管理するようにしましょう。

ファクタリングを利用する

キャッシュフローを改善するため、キャッシュ・インを早めるのも有効です。

その手段にはファクタリングがあり、売掛金を売却することで早期のうちに資金化することができます。

ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みなどをわかりやすく解説【図解あり】

資金繰り改善の手段としてファクタリングがおすすめ

1万円札束と電卓

キャッシュフロー経営の一環として資金繰りの改善を行う場合は、ファクタリングを利用すると良いでしょう。

ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社が買い取るサービスです。

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングについて

ファクタリングには「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」があります。

2者間ファクタリング申込企業とファクタリング会社の2者で
契約を締結するファクタリングです。
契約に売掛先が関与しないため、
ファクタリングの利用を知られる
心配がありません。
加えて、スピーディーな資金化が可能です。
3者間ファクタリング申込企業とファクタリング会社、売掛先の3者で
契約を締結するファクタリングです。
契約に売掛先が関与するため、
資金化には多少の時間がかかります。
その点、2者間よりも手数料が低いのが
特徴です。

2者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
2者間ファクタリングとは?3者間ファクタリングとの違いとメリット・デメリット

3者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットと利用が好ましいケースを解説

ファクタリングと融資の違い

ファクタリングと融資は資金調達という点では同じですが、その仕組みは大きく異なります。

例えば、ファクタリングの審査対象は売掛先ですが、融資の審査対象は申込企業です。

また、ファクタリングの場合は最短即日で資金調達ができますが、融資の場合は審査に数週間〜数か月かかるため即日の資金化は叶いません。

さらに、ファクタリングは償還請求権がないため売掛金の回収リスクはファクタリング会社が負いますが、融資は売掛金の回収リスクは自社が負います。

このようにファクタリングと融資は似て非なるものなので、混同しないよう注意しましょう。

ファクタリングと融資の違いについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングと融資は何が違う?9つの相違点とそれぞれのメリット・デメリット

ファクタリングを利用するメリット

資金繰りの改善のためファクタリングを利用することには、以下のメリットがあります。

素早く資金調達ができる

ファクタリングは申し込みから資金化までのスピードが早く、ファクタリング会社によっては最短即日で資金調達が可能です。

そのため「すぐに資金が必要」という場合も利用しやすいでしょう。

未回収リスクを軽減できる

ファクタリングは原則として、償還請求権がない「ノンリコース契約」です。

仮に売掛先から売掛金が支払われなかったとしても、回収義務はファクタリング会社にあり、申込企業は責任を負いません。

そのため、申込企業の未回収リスクは一切ないといえます。

自社の業績は基本的に影響しない

上述のとおり、ファクタリングの審査対象は売掛先です。

自社の業績は審査に影響しないため、創業して間もない企業も業績が良くない企業も利用できます。

債務扱いにはならず信用に影響がない

ファクタリングは売掛金の資金化であり、借入ではありません。

そのため、債務扱いにはならず信用に影響が及ぶこともありません。

まとめ

手元に多くの資金を残すことを目的としたキャッシュフロー経営は、安定した経営を実現する手段のひとつです。

資金ショートによる黒字倒産を回避できる他、経営の自由度を高められたり自社に対する信用度を高められたりと、多くのメリットを得られます。

とくに、スタートアップ企業や事業拡大・新規事業を考えている企業、掛取引が多い企業はキャッシュフロー経営に向いているため、積極的に取り組むと良いでしょう。

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一般社団法人であること、また関東財務局長及び関東経済産業局長から経営革新等支援機関に認定されていることから、安全性や信頼性も充分です。

資金繰りでお悩みの方は、ぜひ1度ご相談ください。

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キャッシュフロー経営とは?これまでの経営との違いや改善手法について

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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