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債務と債権について整理しよう|売掛金・融資など例を交えて解説

公開日
2024.01.11
更新日
2024.10.18
債務と債権について整理しよう|売掛金・融資など例を交えて解説

「債務」と「債権」は似たような言葉ですが、意味が全く異なります。

混同してしまうと契約において自社がどのような立場なのか正しく把握できなくなる可能性があるため、それぞれの正確な意味を理解することが大切です。

そこで今回は、債務と債権の意味や違い、債務・債権と物権の違い、企業において発生する債務と債権などについて解説します。

あわせて、債務に関する押さえておきたい用語もご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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「債務」と「債権」について

まずは、債務・債権の意味と物権との違いを整理し、債務・債権関係の具体例を把握しましょう。

債務とは

債務とは、特定の人物に対し何らかの行為を提供する義務のことです。

具体的には「商品やサービスを購入した際にその代金を支払うこと」「借りたお金を返済すること」などが挙げられます。

例えば、AさんがBさんにお金を借りたとします。

このとき債務が発生するのはAさんであり、Bさんに対して借りたお金を返済する債務を持つことになります。

債権とは

債権とは、特定の人物に対して何らかの行為を請求する権利のことです。

具体的には「購入した商品やサービスの引き渡しを請求すること」「貸したお金の返済を請求すること」などが挙げられます。

上述したAさんがBさんにお金を借りたケースにおいて、債権が発生するのはBさんです。

Aさんに対して、貸したお金の返済を請求する権利が生じます。

物権との違い

物権とは、物や権利を支配する権利のことです。

具体的には、全ての人に対して権利を主張できる絶対的な財産支配権を指します。

例えば、自らが所有し自由に使用できるもの(不動産や車、スマートフォン、パソコンなど)が物権の対象になります。

これに対し、債務は特定の人物に対し何らかの行為を提供する義務、債権は特定の人物に対して何らかの行為を請求する権利のことです。

つまり、物ではなく「人」に対する義務・権利であり、この点が物権との大きな違いといえるでしょう。

双務契約

債務・債権関係の具体例としてまず挙げられるのは「双務契約」です。

双務契約とは、両者がともに相手方に対して債務・債権を負う契約のことを指します。

詳しくは後述しますが、例えば売買契約の場合、売主には「商品やサービスを引き渡す義務(債務)・商品やサービスの代金を請求する権利(債権)」があり、買主には「商品やサービスの代金を支払う義務(債務)・商品やサービスの引き渡しを請求する権利(債権)」があります。

片務契約

債務・債権関係の具体例には「片務契約」もあります。

片務契約とは、一方が債務者で、もう一方が債権者となる契約のことを指します。

例えば贈与契約の場合、贈与する側には「対象の物を引き渡す義務(債務)」が発生します。

その一方で、贈与される側には債務は発生せず、「対象の物の引き渡しを請求する権利(債権)」のみが生じます。

このように、双方の立場と義務・権利がはっきりと分かれる点が最大の特徴です。

企業において発生する債務と債権

バインダーを手に持ち話を聞いている人と何かを話している人

では、企業において発生する債務と債権には、どのようなものがあるのでしょうか。

売買契約

売買契約は双務契約に該当します。

具体的には、売主と買主に以下の債務・債権が発生します。

売主買主
債務商品やサービスを
引き渡す義務
商品やサービスの代金を
支払う義務
債権商品やサービスの代金を
請求する権利
商品やサービスの引き渡しを
請求する権利

一般的に、掛取引でいう債権は売掛金、債務は買掛金を指します(※一部の業種では勘定科目が異なることもあります)。

流れとしては、売主が商品やサービスを納品して売掛金を計上し、買主が商品やサービスの提供を受け買掛金を計上します。

金銭消費貸借契約

お金の貸し借りを指す金銭消費貸借契約は、片務契約に該当します。

この場合、お金を貸す側は債権者となり「貸したお金の返済を受ける権利」が生じます。

一方で、お金を借りる側は債務者となり「借りたお金を返済する義務」が発生します。

例えば、企業が銀行から融資を受けた場合は、銀行が債権者、融資を受けた企業が債務者となります。

労働契約

労働契約は双務契約に該当します。

具体的には、企業と従業員に以下の債務・債権が発生します。

企業従業員
債務従業員に対して
給与を支払う義務
企業に対して労働を
提供する義務
債権従業員に対して労働を
要求する権利
企業に対して給与を
請求する権利

相殺

相殺とは、双方に発生している同種類かつ別々の債権と債務を帳消しにする行為のことです。

例えば、掛取引において買主が「商品やサービスの代金を支払う義務(=買掛金債務)」を抱えたまま破産したとします。

この場合、売主が買主に対して代金を請求すること(=売掛金債権)は困難となりますが、仮に買主に対して借金がある(=借入金債務)とすれば、お互いの債権・債務を相殺することで借入金債務を帳消しにすることができます。

もちろん、買主にとっても買掛金債務が消えるためメリットがあるといえるでしょう。

なお、相殺を適用するためには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。

・双方に同じ種類の債務が発生していること
・両方の債務返済期限が近いこと
・お互いに相殺を禁じていないこと

債務に関する押さえておきたい用語

チェックボックスに赤ペンでチェックがしてあり横に赤ペンがある

最後に、債務に関する押さえておきたい用語を5つご紹介します。

債務不履行

債務不履行とは、契約した債務を果たさないことです。

掛取引でいうと、売主が商品やサービスを引き渡す義務を、買主が商品やサービスの代金を支払う義務を果たさない状況を指します。

もし債務不履行が起きた場合、債権者は債務者に対して債務を果たすよう請求することができます。

また、契約通りに債務が果たされなかったことで被った損害への賠償も請求可能です。

債務超過

債務超過とは、企業の全資産を返済にあてても企業の負債がまかなえない状態のことです。

類似用語に「赤字」がありますが、これは一定の会計期間において収益がマイナスであることを指します。

赤字の場合は企業活動が即座に危ぶまれることはありませんが、債務超過が起こるとたちまち破産につながってしまいます。

そのため、資金ショートを起こさないよう計画的に資金繰りを行う必要があります。

債務整理

債務整理とは、支払いが困難な債務を減額・免除したり、支払期間を調整したりする手続きのことです。

主に以下の4つの種類があります。

任意整理債権者と債務者で話し合い、債務の減額・
免除や支払期間の変更を取り決める
民事再生裁判で決議・認可される再生計画に基づき、
債務の減額および支払期間を変更する
会社更生更生計画に基づいて行われる、
大企業向けの債務整理手続き
破産裁判を通じて債務者の財産を処分し債権者に
配当した後、残った債務全額が免除される

第三債務者

第三債務者とは、債務者に対する債務を負っている人物のことです。

例えば、企業Aが企業Bに商品を販売したことで、企業Bに対する売掛金債権を持っているとします。

そして、企業Bは企業Cに商品を販売したことで、企業Cに対する売掛金債権を持っているとしましょう。

この場合、企業Aが債権者、企業Bが債務者、企業Cが第三債務者となります。

もしこのケースにおいて、企業Bが企業Aに対して売掛金を支払わなかった場合、企業Aは「企業Bの企業Cに対する売掛金債権」を差し押さえることが可能です。

債権譲渡

債権譲渡とは、債権者が自らの債務の支払いや資金調達のために債権を第三者に譲渡することです。

約束手形の裏書、電子記録債権の譲渡、ファクタリングなどの種類があります。

約束手形の裏書第三者に受取手形を譲ること。これにより
額面と同額の債務の支払いにあてられる
電子記録債権の譲渡電子記録債権も第三者に譲渡することができる。
この場合、債権者は窓口金融機関を通じて
譲渡記録請求を登録する必要がある
ファクタリング支払期日前の売掛債権を第三者に譲渡し、
債権者が資金を調達する仕組みのサービス。
2者間ファクタリングと3者間ファクタリングが
あり、前者の場合は債務を行使する相手方の
承諾を得ずに利用ができる

ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説【図解あり】

まとめ

ビジネスシーンでも頻出する「債務」と「債権」は、似て非なる言葉です。

債務が「特定の人物に対し何らかの行為を提供する義務」であるのに対し、債権は「特定の人物に対して何らかの行為を請求する権利」です。

言葉の意味が対照的なので、逆で覚えてしまわないよう注意しましょう。

もし、自社の債務の支払いのために債権を譲渡する場合は、ファクタリングを利用するのがおすすめです。

そして、ファクタリングの利用なら日本中小企業金融サポート企業にご相談ください。

日本中小企業金融サポート機構は一般社団法人であること、そして関東財務局長及び関東経済産業局長が認定する「経営革新等支援機関」に認定されていることから、安全性・信頼性に自信があります。

きっとお力になれるので、ぜひご相談ください。

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債務と債権について整理しよう|売掛金・融資など例を交えて解説

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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