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下請法とは?ファクタリング利用前に最低限知っておきたいこと

公開日
2023.11.07
更新日
2024.02.21
下請法とは?ファクタリング利用前に最低限知っておきたいこと

資金調達のためにファクタリングの利用を検討している下請事業者の中には、「親事業者の売掛金を売却してもいいのかどうか」と迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、下請事業者が親会社の売掛金を売却することに問題はありません。

むしろ親事業者から不当な扱いを受けないよう、下請法によって資金調達の権利が守られているのです。

この記事では、下請法の解説とファクタリング利用前に知っておくべき内容についてご紹介します。

ぜひご覧ください。

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下請事業者が知っておきたい「下請法」とは

ファイリングされた発注書

親事業者が請け負った仕事の一部もしくはすべてを別の事業者が請け負うことを「下請」と呼びます。

下請では仕事を依頼する親事業者と仕事を受注する下請事業者という上下構造が出来上がりますが、これにより親事業者の立場が優位になりやすく、下請事業者が不利になる契約を結んで利益を損なってしまうことがあります。

これを防ぐために制定されたのが「下請法」です。

たとえば正当な理由なく代金を減らしたり、理由もなく支払いを遅らせたり、一方的な要求を押し付けてしまうなど、下請事業者の利益を損なうような取引が発生しないように防止する目的があります。

2003年には規制対象を拡大し、違反行為に対する措置の強化も行われるなど、利益を守るために制度の強化も図られています。

下請法が適用となる親事業者の条件

下請事業者の利益を守るために制定されている下請法ですが、実はすべての親事業者が下請法の対象になるわけではありません。

下請法が適用されるかどうかは、親事業者の資本金によって左右されるのです。

下請法の対象となるのは「資本金1,000万円超」の会社となります。

ここで着目すべきは「1,000万円以上」ではなく「1,000万円超」と定められている点です。

つまり、資本金がちょうど1,000万円の会社は下請法の適用対象外となるのです。

そのため、あえて資本金をぴったり1,000万円にして下請法の適用を避けている会社もあります。

下請法はどう運用されているか

ここでは令和4年度における下請法の運用についてご紹介します。

下請法の指導を受けた件数は8,655件で、そのうち違反勧告された件数は6件です。

内訳としては下請代金の減額3件、返品が2件、買いたたきが1件、不当な経済利益の提供要請が2件となっています。

親事業者の中には、公正取引委員会が調査する前に違反行為を自主申告して改善に取り組んでいる会社もあり、この場合は勧告するまでの必要はないものとして取り扱われます。

令和4年度は親事業者が自ら違反を申告したことによって、下請事業者91名に対して総額8億2106万円相当の下請代金の減額分の返還が行われました。

令和4年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組 | 公正取引委員会

親事業者が背負う義務について

スーツを着た男性とペンを持つ右手

親事業者と下請事業者が公正な取引を行ってきちんと利益が確保できるよう、下請法では親事業者に対する4つの義務が課せられています。

これらの義務を怠ってしまうと下請法に違反することになるため、親事業者側はこれらの義務について理解を深めておく必要があります。

ここでは下請法によって親事業者が背負う義務について詳しくご紹介します。

書面の交付義務

業務の発注を行う際は、下請法第三条に基づく「3条書面」を交付する義務があります。

3条書面に記載する項目には親事業者と下請事業者の名称や委託内容のほか、商品やサービスなど納品されたものを受領する期日や場所、検査完了日など詳細を記載する必要があります。

対価として支払う代金に関する項目には金額や支払期日を記載しますが、手形交付の場合や電子記録債権で支払う場合も期日を記載します。

親事業者の中には、発注時に下請事業者に対して原材料を有償提供する場合があります。

この場合は原材料の名称や数量、引き渡し期日や決済期日なども忘れずに記載します。

支払期日を定める義務

下請事業者に代金を支払う際は、納品されてから60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定める必要があり、60日を超えた支払期日を設定してしまうと下請法違反となってしまうので注意が必要です。

支払期日を明確に定めなければいけない背景にも、親事業者と下請事業者の立場関係が影響しています。

下請取引では親事業者が優位に立ちやすくなることから、正当な理由なく支払期日を遅く設定するおそれがあるため、下請事業者がきちんと利益を得られるように設けられているのです。

たとえば月末日に納品され翌月20日に支払う場合は、納品日から支払日まで60日以内に収まっているので問題はありません。

ところが、19日に納品されて翌々月の20日に支払う場合は、納品日から支払日まで60日を超えているので下請法違反となります。

書類の作成・保存義務

親事業者は下請法第五条に基づく「5条書面」を作成し、書面を2年間保存しておく義務があります。

先ほどご紹介した3条書面と類似する項目がありますが、5条書面はどのような内容の発注を行ったか、支払った代金に変更があったかどうかなど、発注した後の対応などについて記載する必要があります。

下請事業者に交付するために作成するのが3条書面、親事業者が取引内容を保管しておくために作成するのが5条書面と覚えておくのがよいでしょう。

遅延利息の支払義務

先ほど下請事業者への支払いは納品日から60日以内に設定しなければいけないとお伝えしましたが、もしも期日に間に合わなかった場合は遅延した日数分の利息を支払わなければいけません。

納品日から60日経過してから実際に支払いを行うまでに超過した日数に応じ、未払金額に年率14.6%を上乗せして遅延利息を支払うよう義務付けられています。

親事業者に禁止されている項目

手のひらを見せて止まれの合図をする男性

下請法では、親事業者が下請事業者に対して行ってはいけない禁止事項が11項目制定されています。

次の項目で詳しくお伝えしますが、明らかに不利益を被るような内容を禁止事項として定めています。

例えば、禁止事項のひとつである「割引困難な手形の交付の禁止」は、下請代金を手形で支払う場合に一般の金融機関で割引ができない手形を交付することを禁止することです。

割引困難な手形とは、業界の取引上の慣習や親事業者と下請事業者との取引関係などを総合的に考慮し、ほぼ妥当と認められる手形期間を超える長期の手形のことです。

一般的に、手形期間が120日(4か月)を超える手形は長期の手形となるため、この期間を超えた手形を交付し下請事業者の利益を不当に害した場合、下請法違反となります。

割引手形については下記コラムで詳しく解説しています。
割引手形とは?メリット・デメリットやファクタリングとの違いを解説

この他の禁止事項の中には、ファクタリングに関連する項目もあります。

特にファクタリングに関連する禁止事項について

NGの形をした置物

ここからは、禁止事項の中でもファクタリングに関連する禁止事項を抜粋してご紹介します。

下請代金の支払遅延の禁止

先ほどご紹介した親事業者の義務のうち「支払期日を定める義務」にも大きく関係するものですが、親事業者は商品やサービスを納品された日から起算して60日以内に代金の支払いをしなければいけません。

この支払期日は親事業者と下請事業者との間で取り決めるものであり、この期日までに支払いができなければ下請法違反となります。

基本的に支払いは現金であることが望ましいのですが、昔からの慣習で手形決済をしている事業者も存在します。

もしも手形で決済する場合は、親事業者側が割引料を負担しなければいけない義務があるので覚えておきましょう。

下請代金の減額の禁止

「下請代金の減額の禁止」とは、契約締結時に決定した下請代金を親事業者の都合で一方的に減額することを禁止するものです。

もしも下請事業者がファクタリングによる資金調達を行っていた場合、売掛金を売却した後に下請代金を減額されてしまうと、ファクタリング契約の内容によってはファクタリング会社へ弁済する額まで負担しなければならなくなり、下請事業者の不利益につながってしまうからです。

ただし納品が大幅に遅れたり製品のクオリティが担保されていなかったりと、明らかに下請事業者側の不備があり、減額するにあたる正当な理由がある場合は認められます。

返品の禁止

「返品の禁止」とは、下請事業者から納品された商品・サービスを明確な理由なく勝手に返品できないということです。

もしも親事業者の自己都合による勝手な返品が認められてしまうと、返品された分の売掛金が計上されないことからファクタリングができなくなってしまうからです。

すべての商品・サービスが返品できないわけではなく、「発注したものと納品されたものが違っていた」「開封したらすでに壊れていた」など、下請事業者側の不備が明らかなものに対しては返品が可能です。

また、「プログラムが正常に動かない」「依頼したイラストが著作権に違反していた」など、納品されたサービスに問題があった場合は修正依頼や受け取り・支払いの拒否をすることも可能です。

報復措置の禁止

「報復措置の禁止」とは、親事業者が下請事業者に対する報復として取引の減少や停止をすることを禁止することです。

下請事業者側は、親事業者の違反行為が確認できた場合に公正取引委員会や中小企業庁に知らせる権利があります。

公的機関に通報された報復として、取引数量を大幅に削減したり取引の停止を行ったりすることは下請法違反となります。

取引数量を減らされたり取引自体を止められてしまうと、下請事業者側は売掛金額に影響が出てしまいファクタリングの利用ができなくなってしまいます。

資金調達ができなくなると資金ショートを引き起こして倒産してしまう可能性があります。

有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止

「有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止」とは、下請事業者に対して支払期日より前に原材料の費用などを支払わせたり控除・相殺させたりすることを禁止することです。

下請事業者との契約の中には、親事業者が下請事業者に有償で原材料を提供し、その原材料を使用して製品化を進める場合があります。

原材料費の支払いと商品やサービスの対価として支払う売掛金は別扱いとなるので、控除・相殺したり前倒しで支払ったりすることはできません。

これを許可してしまうと、下請事業者がファクタリングをする際の売掛金額が減ってしまい、調達できる金額が少なくなってしまうのです。

不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止

「不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止」とは、下請事業者に責任がない内容にも関わらずやり直しをさせたり発注内容の変更をしたりするのを禁止することです。

発注内容の変更や不当なやり直しは下請事業者の利益を損なうことであり、売掛金にも影響してくるため資金調達にも大きな影響を及ぼすことから、下請法で厳格に禁止されているのです。

親事業者の売掛金も売却できるファクタリング

電卓と封筒に入った1万円札4枚

ファクタリングは資金調達方法のひとつで、自社が保有する売掛金をファクタリング会社に売却することで資金を手に入れることができます。

ファクタリングを利用することで売掛先から入金される前に売掛金を資金化できるので、手元の資金を増やし資金繰りの改善に役立てられます。

ここでは親事業者の売掛金をファクタリングで資金化できるのかどうか、根拠とともに解説します。

ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みなどをわかりやすく解説【図解あり】

経済産業省中小企業庁が売掛債権の利用促進を推奨

ファクタリングの種類によっては、売掛先にファクタリングの事実を伝えなければならないことがあります。

資金調達をしていると売掛先に伝えた場合、「もしかして資金繰りが厳しいのか?」と不信感を抱かれてしまう可能性も少なくありません。

こうした風評被害を防ぐために、経済産業省中小企業庁では資金調達の方法として売掛金を活用するよう推奨しています。

金融機関からの融資では企業が保有する資産や不動産などが審査されますが、事業規模がそこまで大きくない中小企業では満足な融資が受けられる資産や不動産を持っていない場合があります。

そこで不動産担保に依存しない資金調達方法として「売掛債権担保融資保証制度」が誕生しました。

売掛債権担保融資保証制度とは、売掛金を担保にした借入を行う際に信用保証協会によって保証を行う制度のことです。

親事業者の売掛金も売却できる?

結論、親事業者の売掛金を売却して資金調達をすることは全く問題ありません。

ファクタリングは国が認めた資金調達方法であり、独占禁止法や下請法でも下請事業者を守るための法令がいくつも定められているので安心して資金調達ができます。

ファクタリングの審査では売掛先の経営状況が審査されることから、社会的信用が高い親事業者の売掛金であれば審査にも通りやすく、資金調達の難易度が大きく下がる可能性があります。

ファクタリングを利用するメリット

ファクタリングは審査から入金までのスピードが融資よりも早く、ファクタリング会社によっては最短即日入金が可能なこともあります。

金融機関からの融資を利用する場合、審査が厳しく時間がかかるだけでなく、自社の経営状態も厳しく審査されるので融資を受けられない可能性があります。

一方ファクタリングでは売掛先の経営状態が審査されるので、自社の経営が悪化していても利用できるのも嬉しいポイントです。

また、下請法によって親事業者が売掛金の条件を変更できないので、途中で金額が変わってしまう心配がありません。

これは下請事業者側だけでなく、ファクタリング会社側にとっても安心して買い取りができる要因にもなるのです。

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングについて

ファクタリングには、利用者とファクタリング会社の2者間で行われる取引と、利用者とファクタリング会社と売掛先の3者間で行われる取引があります。

2者間ファクタリングは売掛先にファクタリングを利用していることを知らせる必要がなく、審査から入金までのスピードも早いのが特徴です。

ただし手数料は3者間よりも高く設定されている傾向があります。

対して3者間ファクタリングでは、売掛先が契約に入ることからファクタリング会社の未回収リスクを抑えられるため、2者間ファクタリングよりも安い手数料で資金調達が可能です。

ただし売掛先にファクタリング利用の実態が知られてしまうので、資金繰りに関する不信感を与える可能性があります。

2者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
2者間ファクタリングとは?3者間ファクタリングとの違いとメリット・デメリット

3者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットと利用が好ましいケースを解説

まとめ

下請法は下請事業者の利益を守るために制定されたもので、親事業者からの不当な扱いを受けないよういくつもの禁止項目が設定されています。

親事業者の売掛金をファクタリングで売却することは問題なく、売掛債権を活用して資金調達することで今後の取引に不利益が出ないような仕組みも作られているので安心して資金調達を進められます。

一般社団法人日本中小企業金融サポート機構では、ファクタリングサービスをはじめとする資金調達の方法をご紹介しています。

ファクタリングを申し込む際の必要な書類は、「通帳のコピー(3か月分)」「請求書・契約書など売掛金に関する資料」の2点のみ。

申し込みから契約までオンラインで完結し、振り込みまでの時間は最短3時間です。

17時までに契約が完了すれば即日振込が可能なので、早めに資金を調達したい方は、ぜひ当機構をご利用ください。

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下請法とは?ファクタリング利用前に最低限知っておきたいこと

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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