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個人の資金調達手段のひとつである「給料ファクタリング」。
たしかに賃金債権を売却して資金化することが可能ですが、その実態は闇金業者の温床です。
そのため、資金調達を図りたくても給料ファクタリングの利用は避けるべきといえます。
今回は、そんな給料ファクタリングにフォーカスし、概要や仕組み、利用してはいけない理由についてご紹介します。
あわせて、給料ファクタリングのトラブルに巻き込まれた際の相談先もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
[cta]給料ファクタリングとは、給料ファクタリング会社に賃金債権(給料を受け取る権利)を売却し、給料の支払期日前に資金を受け取るサービスです。
給料ファクタリングは基本的に以下の5つのステップで成り立っています。
1. 給料ファクタリング会社に利用する旨を伝える 2. 給料ファクタリング会社が審査を行う 3. 審査を通過した後、給料ファクタリング会社と契約を結ぶ 4. 賃金債権の譲渡代金が入金される 5. 勤務先から支払われた給料を給料ファクタリング会社へ支払う |
金融庁により「給料ファクタリングは貸金業」と定められています。
しかし、給料ファクタリングのサービスを提供している会社の多くは“貸金業登録をしていない会社(闇金業者)”です。
万が一利用してしまった場合、破格の手数料を支払わされ生活が破綻する恐れがあるため、給料ファクタリングは利用しないほうが良いといえるでしょう。
給料ファクタリングが広まった理由には、主に以下の2つが挙げられます。
昨今、SNSやインターネット上の掲示板に給料ファクタリングに関する情報が多数投稿されており、給料ファクタリング業者へアクセスしやすい環境が整っています。
また、給料ファクタリングを利用する際は、基本的に担保となるものや保証人を用意する必要はありません。
これらの理由から、給料ファクタリングは誰でも手軽に利用できるサービスと認知され広まったと考えられるでしょう。
給料ファクタリングを利用する際、基本的に所得証明や在籍確認は行われません。
審査がほとんどなく、職に就いていることさえ証明できればアルバイトやパートでも利用できるのが特徴です。
これに対し、一般的な融資では所得証明や在籍確認はもちろん、その他の厳しい審査を行います。
つまり、給料ファクタリングは一般的な融資に比べて利用しやすいということです。
一般的な融資の審査に落ちてしまった方も給料ファクタリングなら利用できることがあるため、その手軽さからどんどん広まったと考えられます。
個人の資金繰りとして広まった給料ファクタリングですが、その実態は「違法なサービス」のため、利用は避けるべきといえます。
前提として、給料ファクタリングは「貸し付け」です。
なぜなら、賃金債権を譲渡したところで給料を受け取る人(労働者)以外は債権を回収できないからです。
一般的なファクタリングは、原則として「償還請求権(リコース)なしのノンリコース契約」です。
仮に売掛先企業から売掛金が支払われなかったとしても、これを回収する義務はファクタリング会社にあり、申込企業は責任を負いません。
これに対し、給料ファクタリングで取り扱う賃金債権は、労働基準法 第二十四条によって「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。
つまり、賃金債権を給料ファクタリング会社に売却しても、給料ファクタリング会社は利用者の勤め先から直接債権を回収することはできず、結局利用者から回収しなければならないのです。
給料ファクタリングのこの仕組みは、まさに貸金業です。
そのため「給料ファクタリング=貸し付け」と定められているのです。
参照:昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法|e-Gov 法令検索
ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
実際に、金融庁・裁判所は「給料ファクタリングは貸金業に当たる」と明言しています。
いわゆる「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します(注)。 引用:給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!|金融庁 |
給料の前払いをうたい文句に事実上、現金を貸し付ける「給料ファクタリング」が、貸金業法が適用される「貸し付け」にあたるかが争われた裁判で、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は「あたる」との初判断を示した。 引用:給料ファクタリング「貸金業法の貸し付けにあたる」 最高裁が初判断|朝日新聞 参照:令和4年(あ)第288号 貸金業法違反|裁判所 |
貸金業登録をしていない会社が給料ファクタリングを扱った場合、それだけで違法になります。
高額な手数料(金利)も、給料ファクタリングの問題点です。
利息制限法では「上限金利は貸付額に応じ年15%~20%」と定められていますが、中には上限金利を大幅に超える年100%以上の金利を設定している会社もあります。
仮に貸金業登録をしていない高金利の給料ファクタリング会社と契約を結んだ場合、高額な利息を支払わなければなりません。
ただし、登録業者・無登録業者を問わず年109.5%を超える金利で貸付契約を結んだ場合は、その契約自体が無効となります。
利息を支払う必要は一切ありません。
参照:貸金業法のキホン|金融庁
ヤミ金融対策法が成立しました|金融庁
給料ファクタリングのサービスを提供する会社の多くは闇金業者です。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって給料が減り困窮状態となる人が増加したことを受け、給料ファクタリングに着手する闇金業者が急増したのです。
違法な営業を行っているため、絶対に利用しないようにしましょう。
給料ファクタリングにまつわる裁判事例として、給与ファクタリング大手「ZERUTA(ゼルタ)」の手口や逮捕までの経緯をご紹介します。
ZERUTAは、同社に賃金債権を売却した男性ら9人に民事裁判で提訴されました。
その内容は、賃金債権の買い取り称して月数万円を貸し付け、法定金利の上限を超える1409%もの金利を支払わせた背景から、計436万5,000円の返還を求めるというもの。
ZERUTAは「債権の買い取りであり貸金業ではない」と主張していましたが、裁判所は「給与ファクタリングは貸金業に当たる」との見解を示し、原告の訴えを認める判決を出しました。
その後、2021年1月16日にZERUTAは摘発されます。貸金業登録をせずに給与ファクタリングを営んだことによる貸金業法違反と、法外な利息を得ていたことによる出資法違反の罪に問われ、役員ら計7人が逮捕されました。
参照:給料ファクタリング、全国2例目の摘発 容疑の7人逮捕|朝日新聞
給料ファクタリングは、債権譲渡ではなく貸し付けです。
では、合法のファクタリングとはどのようなサービスのことを指すのでしょうか。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金の支払期日よりも前に資金化する金融サービスです。
ファクタリングを利用すれば売掛金を早期のうちに資金化できるため、自社の資金繰りを安定させやすくなります。
また、売掛金の未回収リスクを軽減することも可能です。
金融庁は、ファクタリングを「債権の売買(債権譲渡)契約」と定義しています。そのため、融資をはじめとする貸し付けとは別物といえるでしょう。
ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説【図解あり】
給料ファクタリングのトラブルに巻き込まれた際は、以下の相談先に連絡しましょう。
警察は、さまざまな相談に乗ってくれます。
そのため、給料ファクタリングによる被害や闇金業者からの取り立てに関しては、まず最寄りの警察署へ相談すると良いでしょう。
金融庁は「金融サービス利用者相談室」という相談窓口を設けています。
給料ファクタリングに関する相談も受け付けているため、電話やメールで問い合わせてみましょう。
給料ファクタリングや闇金業者に詳しい弁護士・司法書士に相談するのも一案です。
トラブルの法的な解決が期待できるでしょう。
消費生活全般に関する相談を受け付けているのが、消費生活センターです。
消費者ホットライン「188」に電話をすることで、最寄りの窓口を案内してもらえます。
貸金業を自主規制するための機関である日本貸金業協会は「貸金業相談・紛争解決センター」を設置しています。
貸金業者に対する苦情や悩みを無料で相談することが可能です。
給料ファクタリングの実態は貸金業であり、貸金業登録をしていない会社(闇金業者)による営業は「違法」です。
現在、給料ファクタリングのサービスを提供している会社の多くは闇金業者であり、仮に契約を締結すると高額な利息を支払わされたり恫喝による被害を受けたりする恐れがあります。
そのため、給料ファクタリングは絶対に利用しないようにしましょう。
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