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一括ファクタリングとは?買取型・でんさいとの違いも解説

公開日
2024.06.13
更新日
2024.10.18
一括ファクタリングとは?買取型・でんさいとの違いも解説

一括ファクタリングは、手形取引の負担を軽減できる他、支払企業(利用者)・納入企業それぞれにメリットが多い支払手段です。

今回は、一括ファクタリングの特徴や利用の流れ、でんさい・買取型ファクタリングとの違いをご紹介します。

また、買取型ファクタリングのメリットについてもまとめているので、ぜひご参考にしてください。

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一括ファクタリングとは?

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まずは一括ファクタリングの概要と利用の流れをご紹介します。

手形に代わる決済の手段として支払企業が利用

一括ファクタリングは、支払企業(利用者)が手形の代わりに利用する支払手段です。

手形取引とは、売り手(引受人)と買い手(引渡人)の間で行われる支払いの約束書のことです。

支払期日になると、買い手が手形に記載された金額を支払います。

一括ファクタリングは、この手形取引の代わりに利用されているサービスです。

手形を発行するコストを抑えることができるほか、手続きの負担を軽減できるなどのメリットがあります。

3者間ファクタリングと基本的な流れが同じ

一括ファクタリングは、3者間ファクタリングと基本的な流れが同じです。

3者間ファクタリングは、「自社(利用者)」「売掛先」「ファクタリング会社」の3者間で契約します。

利用者がファクタリング会社に申し込みを行い、売掛先から承諾を得ると自社が保有する売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらえます。

一括ファクタリングは、「支払企業(利用者)」「納入企業」「ファクタリング会社(金融機関)」の3者間で契約を結ぶため、3者間ファクタリングと基本的な流れは同じといえるでしょう。

ただし、一括ファクタリングの場合は支払企業(利用者)がファクタリング会社(金融機関)に申し込みを行うため、まったく同じというわけではありません。

一括ファクタリング利用の流れ

一括ファクタリングの利用の流れは以下のようになっています。

1.支払企業(利用者)がファクタリング会社(金融機関)の一括ファクタリングシステムに登録し、契約する
2.納入企業が支払企業(利用者)に対して商品やサービスを提供し、買掛債権が発生する
3.納入企業が支払企業(利用者)に代金を請求して売掛金が発生する
4.納入企業がファクタリング会社(金融機関)に売掛金を譲渡する
5.支払企業(利用者)が譲渡を承諾した後、ファクタリング会社(金融機関)に支払明細データを送る
6.ファクタリング会社(金融機関)から手数料を差し引いた買取金額が納入企業に支払われる
7.売掛金の支払期日になると、支払企業(利用者)がファクタリング会社(金融機関)に売掛金を支払う

一括ファクタリングを利用するメリット

テーブルで笑顔の2人の男性

ここでは、一括ファクタリングを利用するメリットを支払企業(利用者)と納入企業別でご紹介します。

支払企業(利用者)側のメリット

支払企業(利用者)側のメリットは、主に以下の5つです。

・手形の発行が不要になる
・信用力を得られる
・印紙税代を削減できる
・不渡りのリスクを軽減できる
・一括ファクタリングは銀行など大手金融業者が実施するため安心

手形の発行が不要になる

手形を発行するには、金融機関の審査を受けたのち、当座預金の口座開設が必要です。

審査に通過した後、支払い先の宛先・宛名や金額の記入を行い、収入印紙を貼付します。

手形を発行する際に記入ミスなどがあると無効になってしまうため、慎重に行わなければいけません。

その点、一括ファクタリングは手形の発行が不要なので、これらの手間を省くことができます。

信用力を得られる

一括ファクタリングの審査では、ファクタリング会社(金融機関)が未回収リスクを低減するため、経営状況や資金力などを厳しくチェックします。

これにより、信用力がない企業は審査に通らない可能性が高いのです。

審査に通ったということは信用力のある会社と判断されるため、信用取引を行う際にアピールできます。

印紙税代を削減できる

一括ファクタリングを利用すれば、印紙税代を削減することができます。

印紙税は以下のようになっています。

記載された契約金額税額
10万円未満のもの非課税
10万円以上100万円以下のもの200円
100万円を超え200万円以下のもの400円
200万円を超え300万円以下のもの600円
300万円を超え500万円以下のもの1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの2,000円

1件だけであればそれほど負担に感じることはないかもしれませんが、取引先が多いと印紙税が負担に感じます。

一括ファクタリングは印紙税代がかからないので、コストを抑えることが可能です。

不渡りのリスクを軽減できる

手形の場合、支払期日までに支払企業(利用者)が銀行口座に入金しておき、納入企業が決算できるようにしておかなければいけません。

納入企業が代金を受け取れなかった場合、不渡りとなります。

不渡りになると、納入企業に迷惑をかけるので取引に影響が生じるのはもちろん、金融機関が手形交換所に不渡届を提出するため、その事実が全国の金融機関に伝わります。

これにより、信用力を失い新規融資や追加融資を受けられなくなってしまうのです。

また、借入金の残債がある場合は一括返済を求められることもあり、資金が不足し経営破綻に陥ってしまうでしょう。

一括ファクタリングを利用すれば、手形を発行する必要がありません。

売掛金を決済できなくなった場合、取引先の金融機関からの信用を失い、一括ファクタリングの利用に制限がかけられる可能性がありますが、新規融資や追加融資を受けられなくなってしまうことはないでしょう。

手形に比べると、一括ファクタリングは低リスクで利用できるのです。

一括ファクタリングは銀行など大手金融業者が実施するため安心

ファクタリング会社のなかには、違法な貸し付けを行う悪徳業者が存在します。

そのため、ファクタリングを利用する際は会社選びを慎重に行う必要があります。

その点、一括ファクタリングは主に大手の金融機関が実施しています。

取引先の金融機関であれば、安心して利用できるでしょう。

ファクタリングの悪徳業者・優良業者の特徴については下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングは違法ではない!その根拠と悪徳業者・優良業者それぞれの特徴を解説

納入企業側のメリット

一括ファクタリングは、支払企業(利用者)側だけにメリットがあるわけではありません。

納入企業にも以下のメリットが得られます。

・回収サイトが短縮し資金繰りが改善される
・手形管理の負担が軽減される
・オフバランス化が期待できる
・売掛金の未回収リスクが軽減される
・与信管理の負担が軽減される

回収サイトが短縮し資金繰りが改善される

会社間の取引は一般的に「掛取引」で行われ、売掛金の入金までに数か月を要することがあります。

売掛金の入金までの期間、回収サイトが長いと設備投資や人件費の支払いなどにより資金不足に陥る可能性があるのです。

一括ファクタリングを利用すると、手形と比べて回収サイトを短縮できます。

これにより、資金繰りを改善することができるのです。

手形管理の負担が軽減される

手形の場合、支払いの証拠になるので紛失をしないよう厳重に管理しなければいけません。

これにより、管理に負担がかかってしまうのです。

一括ファクタリングなら手形が不要なので、管理の必要がありません。

紛失を気にする心配がなくなり、負担が軽減されるでしょう。

オフバランス化が期待できる

金融機関から融資を受けた場合、貸借対照表の負債が増加するため、売上高と負債総額のバランスが崩れる、自己資本比率が低下するなどの問題が生じ、経営が不安定だと判断されてしまう可能性があります。

これにより、金融機関から追加融資を受けることが難しくなってしまうのです。

その点、一括ファクタリングなら融資ではないため負債が増加することはありません。

決算書のオフバランス化が期待でき、追加融資も受けやすくなります。

売掛金の未回収リスクが軽減される

通常は支払期日になると支払企業から売掛金が支払われますが、資金不足などの理由により支払われないケースがあります。

最悪の場合、支払企業の倒産によって売掛金を支払ってもらえない場合もあるでしょう。

支払期日に支払ってもらえないと、キャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。

一括ファクタリングを利用すれば、売掛金の未回収リスクを軽減できます。

基本的に一括ファクタリングは「償還請求権なし」の契約なので、支払企業が倒産しても納入企業が責任を負う必要はありません。

与信管理の負担が軽減される

掛取引の場合、売掛金の未回収リスクを低減するために売掛先の信用力を重要視します。

売掛先の信用力がどれくらいなのかを確認し、それに見合った規模の取引を行わなくてはいけません。

そのため、定期的に与信管理を行う必要があります。

一括ファクタリングを利用すれば、ファクタリング会社(金融機関)が一括ファクタリングを認めている=信用力が高いことを意味するため、与信管理の負担を軽減できます。

一括ファクタリングにおけるデメリット

一括ファクタリングは、メリットだけではありません。

支払企業(利用者)側と納入企業側、それぞれにデメリットもあります。

支払企業(利用者)側のデメリット

支払企業(利用者)側のデメリットは、以下のようになっています。

資金繰りの負担が増す場合がある

資本金3億円以上の企業には下請法が適用されるため、支払いサイトが以下のようになります。

・掛取引:最長60日
・手形取引:最長120日

手形を廃止して一括ファクタリングを利用する場合、支払いサイトが120日から60日に短縮されます。

これにより、支払企業(利用者)の資金繰りの負担が増す可能性があるのです。

納入企業側のデメリット

納入企業側のデメリットは、以下のようになっています。

導入を単独では決められない

一括ファクタリングは、支払企業がファクタリング会社(金融機関)に申し込みを行うため、納入企業が希望しても導入できるわけではありません。

単独で導入を決められない点は、納入企業側のデメリットといえます。

「でんさい」と一括ファクタリングの違い

顎に手を置き考えるビジネスマン

一括ファクタリングと似たサービスに「でんさい」があります。

ここでは、それぞれの違いをご紹介します。

でんさいとは

でんさいとは、株式会社全銀電子債権ネットワークが取り扱う「電子記録債権」のことです。

手形に代わるサービスで、支払期日になると支払企業の口座から納入企業の口座へと自動で売掛金の代金が支払われます。

でんさいを利用する際は、支払企業と納入企業のどちらもでんさいネットへの加入が必要です。

でんさいと一括ファクタリングの違い

でんさいと一括ファクタリングの違いには「売掛金の入金日」が挙げられます。

でんさいの場合、支払企業から納入企業へ売掛金が支払われるのは支払期日当日となりますが、でんさい割引を利用すれば売掛金を支払期日前に支払ってもらうことができます。

一括ファクタリングの場合、納入企業は支払期日前の資金化が可能です。これにより、納入企業の資金繰りを改善できます。

ただし、でんさい割引と一括ファクタリングの違いには「償還請求権の有無」があります。

でんさい割引には償還請求権があるため、支払企業が倒産して売掛金を支払えなくなった場合、納入企業が責任を負わなければいけません。

一括ファクタリングでは、基本的に償還請求権なしの契約を結びます。

万が一支払企業が倒産しても納入企業が責任を負わなくて済みます。

でんさいについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングと電子記録債権(でんさい)の違いを解説!選ぶ際の基準もご紹介

買取型ファクタリングと一括ファクタリングの違い

握手するビジネスマン

ファクタリングにはさまざまな種類があり、似たようなサービスに「買取型ファクタリング」があります。

買取型ファクタリングは、上述した「3者間ファクタリング」の契約が含まれるサービスです。

ここでは、買取型ファクタリングと一括ファクタリングの違い、買取型ファクタリングのメリットをご紹介します。

どちらの企業が利用者となるかの違い

買取型ファクタリングの場合、利用者は自社です。

スピーディーに資金調達を行いたい場合、自社がファクタリング会社に申し込んで利用します。

一括ファクタリングの場合、利用者は支払企業です。

手形の発行にかかる手間を省きたい場合や、不渡りのリスクを軽減したい場合などに支払企業が利用します。

サービスを提供している事業者の違い

買取型ファクタリングの場合、主にファクタリング会社がサービスを提供しています。

ファクタリング会社は豊富に存在するため、利用しやすいでしょう。

一括ファクタリングの場合、サービスを提供しているのは主に銀行などの大手金融業者です。

ファクタリングに対応していない金融機関もあるため、利用先が限られてしまう場合があります。

買取型ファクタリングにおける2者間取引について

買取型ファクタリングの契約には「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」の2種類があります。

3者間ファクタリングは一括ファクタリングと同様に「自社(利用者)」「売掛先」「ファクタリング会社」の3者間で契約しますが、2者間ファクタリングは「自社(利用者)」と「ファクタリング会社」の2者間で契約します。

2者間ファクタリングの手続きには売掛先が関係しないため、スピーディーに契約を進めることが可能です。

これにより、早ければ申し込みをしたその日に資金調達ができます。

ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説【図解あり】

2者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
2者間ファクタリングとは?メリットや手数料、利用のポイントを解説

3者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットと利用の流れを解説!

買取型ファクタリングのメリット

ここでは、買取型ファクタリングの代表的なメリットをご紹介します。

素早い資金調達が可能

買取型ファクタリングは、素早い資金調達が可能です。

その理由は、ファクタリングは金融機関の融資と異なり、売掛金を売却して資金化するサービスだからです。

金融機関から融資を受ける場合は審査に時間がかかり、資金調達まで早くて数週間、遅いと2か月以上かかります。

買取型ファクタリングを利用すれば、売掛先から売掛金の入金遅れによる資金繰りの悪化を防ぐことができます。

資金の返還義務はない

買取型ファクタリングは、原則として資金の返還義務がありません。

多くのファクタリングは「償還請求権なし」の契約なので、売掛先が倒産してもファクタリング会社から利用者に売掛金の支払いを請求されることはないのです。

ただし、なかには「償還請求権あり」の契約を結ぶファクタリングもあります。

この場合、売掛先の倒産により売掛金の回収ができないと利用者がファクタリング会社に弁済しなければなりません。

買取型ファクタリングを利用する場合は、念のため償還請求権の有無を確認しましょう。

償還請求権については下記コラムで詳しく解説しています。
償還請求権とは?ファクタリングに重要な“誰がリスクを負うか”

信用情報への影響はない

買取型ファクタリングを利用しても、信用情報への影響はありません。

なぜなら、ファクタリングは融資ではないからです。

ファクタリングを利用したからといって金融機関から新規融資や追加融資を受けられなくなってしまうことはないので、安心して利用できます。

まとめ

一括ファクタリングを利用すれば、支払企業(利用者)は「手形の発行が不要になる」「信用力を得られる」「印紙税代を削減できる」「不渡りのリスクを軽減できる」「一括ファクタリングは銀行など大手金融業者が実施するため安心」などのメリットが得られます。

そのため、 手形取引を行っている企業は一括ファクタリングを利用するのがおすすめです。

ただし、一括ファクタリングは資金繰りの負担が増す場合があるため、利用前にキャッシュフローを確認しましょう。

「売掛先から売掛金が入金される前に資金調達をしたい」という場合は、買取型ファクタリングを利用すると良いでしょう。

一般社団法人日本中小企業金融サポート機構のファクタリングサービスは、最短3時間で売掛金を資金化できます。

当機構は一般社団法人であること、また経営革新等支援機関に認定されていることから、安全性や信頼性も充分です。

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一括ファクタリングとは?買取型・でんさいとの違いも解説

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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