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税金を滞納していると日本政策金融公庫の融資は受けられない?

公開日
2024.09.11
更新日
2024.09.11
税金を滞納していると日本政策金融公庫の融資は受けられない?

税金の滞納は、企業経営において深刻な問題を引き起こす要因の一つです。

特に、日本政策金融公庫からの融資を検討している場合、税金の滞納は大きな障害となる可能性があります。

今回は、税金を滞納している際に日本政策金融公庫の融資を受けられるかどうか、そして他の資金調達方法は検討できるかについて解説します。

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税金滞納時は日本政策金融公庫の融資は原則受けられない

瓶の中の大量のコイン

日本政策金融公庫は、主に新規起業者や中小企業に向けて融資を行っている政府系の金融機関です。

企業として十分な信用力がまだない場合でも融資を受けられる可能性が高いですが、税金を滞納している場合は難しくなります。

税金を滞納している場合

日本政策金融公庫の融資を受けるためには、各種融資の申請時点で所得税の納付書や法人税などの納税証明者が必要であり、税金の滞納がないことが求められます。

税金を滞納している場合は財務管理に問題があるとみなされ、返済が滞るリスクが高いと判断されるためです。

日本政策金融公庫の融資は公共性が高いため、税金の滞納者に対しては厳格な姿勢を取るのです。

もし税金を滞納している場合、まずは速やかに滞納を解消することが最優先となります。

融資の申請を行う前に納税の完了が難しい場合は、税務署や自治体と相談し、分割納付や納税猶予を活用することで滞納額を減らしていきます。

信用情報に履歴がある場合

信用情報とは、過去の借入や返済履歴、支払いの遅延などの情報が記録されているものです。

金融機関は信用情報を参照して融資の審査を行います。

そのため、税金の滞納だけでなく、信用情報に問題がある場合も日本政策金融公庫からの融資は厳しくなります。

もし、信用情報に支払遅延や未払いの履歴がある場合、財務管理能力に問題があると捉えられ、融資を断わられる可能性が高くなります。

したがって、融資を受ける前に自身の信用情報を確認し、問題がある場合はそれを解消しておく必要があります。

日本政策金融公庫は提出書類から各種滞納を確認している

日本政策金融公庫は、申請時に企業から提出される書類をもとに財務状況を審査します。

特に、税務申告書や納税証明書などの書類から、税金の滞納がないかを確認します。

滞納がある場合、またはこれらの書類に不備がある場合、審査が通らない可能性が非常に高くなります。

そのため、申請前に必要な書類を揃え、正確かつ最新の情報を提出することが重要です。

また、万が一書類に問題がある場合は、事前に日本政策金融公庫に対応策を相談する必要があります。

社会保険料の未払いでは融資を受けられる可能性がある

税金の滞納とは異なり、社会保険料の未払いがある場合では、状況によっては日本政策金融公庫から融資を受けられる可能性があります。

ただし、社会保険料の未払いも、企業の信用を低下させる要因には違いないため、できるだけ早期に支払いを完了する必要があるでしょう。

審査において日本政策金融公庫は、社会保険料の未払い状況を確認した上で、融資を行ってもいいかを判断します。

もし未払いが一時的なものであり、今後の支払計画が明確である場合には、融資が問題ないと判断されることがあります。

信用情報の開示請求について

パソコンを前に考え込む男女

信用情報に問題があるかどうかを確認したい場合は、各信用情報機関に開示請求を行うことができます。

日本には、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)といった信用情報機関が存在します。

各機関に対して開示請求を行うことで、自身の信用情報を確認できます。

信用情報には、過去のクレジットカード利用履歴やローンの返済状況が記録されています。

信用情報に問題がある場合、まずはその原因を特定し、解決策を講じることが重要です。

例えば、支払遅延が記録されている場合、速やかに未払い分を支払い、信用情報の回復を行います。

また、その後信用情報機関に対して情報の更新・訂正を求めることも可能です。

税金滞納時の資金調達方法:補助金

用紙に書かれた「補助金」の文字

税金を滞納している場合、日本政策金融公庫からの融資は難しくなりますが、他の方法を検討することで資金調達が成功することがあります。

その一つが、経済産業省が実施している数々の補助金です。

補助金は原則として返還の必要がないため、資金調達の手段として有効です。

補助金はいつでも申請を受け付けているのではなく、基本的には年間を通した計画に基づいて公募・申請・審査・事業の実施・支給が行われます。

補助金については中小企業庁などから情報が発信されているため、常にキャッチアップしておくことをおすすめします。

以下で紹介する代表的な補助金は長く実施されているものですが、年度によって要件の変更が行われるため、常に最新の情報を確認する必要があります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が新たな商品開発を行う際の設備投資などに利用できる補助金です。

この補助金は、製造業やサービス業を中心に、多くの企業が活用しています。

ものづくり補助金は、枠・類型や従業員数によって変わりますが、最大で1億円の補助を受けられます。

そのため、大規模な設備投資や新製品開発を行う際には非常に有用です。

なお、申請には事業計画書の提出が求められます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や業務効率化のための取り組みの経費に対して支給される補助金です。

この補助金は、枠によって変わりますが、最大で200万円の補助が受けられます。

比較的少額の投資に対して活用できるといえるでしょう。

例えば、新たな販売チャネルの開拓や、Webサイトのリニューアル、広告宣伝費用の支出などに利用できます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、企業が新たな事業分野に進出するための資金を支援する補助金です。

コロナ禍の影響が長期化し業績が悪化した企業に対し、業態転換や新規事業の立ち上げを行う目的で提供されています。

この補助金は、中小企業であれば最大で6,000万円まで支給されます。

大規模な事業転換や新規事業の立ち上げによって事業再構築を考えている場合、非常に有力な資金調達手段となるでしょう。

早期経営改善計画策定支援

早期経営改善計画策定支援は、経営が悪化している中小企業が早期に経営改善を図るためのものです。

国が認定した経営コンサルタントや税理士などの専門家の指導を受けながら、具体的な経営改善計画を策定し、その計画に基づいて補助金を受けることができます。

この支援事業は、最大で15万円の補助を受けられます。経営改善の過程において、初期段階の資金調達として活用できるでしょう。

専門家の指導を受けた経営改善計画の策定により、経営改善の足がかりをつかむことができ、その計画を元に他の融資や資金調達も検討できるようになります。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業などの労働生産性を高めることを目的としたITツールの導入を支援する補助金です。

枠によって差はありますが通常枠だと最大で450万円の補助が受けられます。

ソフトウェアの購入やクラウドサービスの利用、業務システムの構築など、IT技術を導入する経費の一部で補助金を使用することで、業務の効率化・自動化を進めることができ、コスト削減や生産性向上につながるでしょう。

特に税金滞納時においては、IT導入補助金を利用して業務の改善を図ることで、将来的な資金繰りの改善が期待できます。

補助金の申請には事業計画書の提出が必要ですが、計画が承認されれば支援により資金繰りの改善につながり、税金の完納によって日本政策金融公庫の融資などその他の資金調達にも有利になるでしょう。

補助金については下記コラムで詳しく解説しています。
助成金と補助金の違いをわかりやすく解説!管轄・予算・給付額・期間の相違点とは

税金滞納時の資金調達方法:ビジネスローン

「DEBT」の木製文字

税金を滞納している企業でも、ビジネスローンを利用して資金調達が可能な場合があります。

ビジネスローンは、主にノンバンクが提供する金融商品で、事業資金を迅速に調達できるでしょう。

ビジネスローンを借りられる可能性がある

ビジネスローンは、日本政策金融公庫の融資に比べて審査の条件が柔軟であり、税金の滞納があっても借りられる可能性があります。

特に、ノンバンクが提供するビジネスローンは、審査基準が比較的緩やかであり、急な資金調達が必要な場合に重宝します。

ただし、ビジネスローンの金利はその他の融資より高いことが多いため、利用の際には返済計画をしっかりと立てることが重要です。

一部の納税はビジネスローンで可能

ビジネスローンを利用して滞納している税金の一部を支払うことは可能です。

例えば、季節事由など資金繰りの一時的な悪化で税金を一括で支払えない場合、ビジネスローンで資金を調達し、税務署と分割納付の交渉を行うことで、信用の回復につながります。

税金を滞納した状態を放置してしまうと、さらに信用が低下し、将来的な資金調達が難しくなります。

ビジネスローンを上手く活用し、滞納を解消することで、将来的に日本政策金融公庫からの融資もスムーズに受けられるようになるでしょう。

ビジネスローンを利用するメリット

ビジネスローンの最大のメリットは、迅速な資金調達が可能な点です。

審査が早く、必要な資金を短期間で入手できるため、納税をはじめとした緊急の支出や資金繰りの問題を解決するのに適しています。

また、ビジネスローンは無担保で利用できる場合が多く、不動産や資産を担保にする必要がありません。

担保できる資産のない中小企業はもちろん、資産を保護して資金調達したい企業にとってもメリットがあります。

ただし、高い金利に関しては慎重な計画が求められます。

税金滞納時の資金調達方法:ファクタリング

ブロックに書かれた「CASHFLOW」

ファクタリングも、税金を滞納している企業が検討できる資金調達手段の一つです。

ファクタリングは、保有している売掛金をファクタリング会社へ売却することで、即座に資金を得ることができるサービスです。

ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説【図解あり】

ファクタリングの基本的な仕組み

ファクタリングは、企業が持つ売掛金をファクタリング会社に売却し、将来受け取る予定の売掛金を前もって受け取ることで、資金調達する方法です。

売掛先企業から売掛金が入金される前に資金を手にすることができるため、キャッシュフローの改善に役立ちます。

ファクタリングは主に、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングに分けられます。

2者間ファクタリング

2者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2者間で取引が行われる方式です。

利用に際して売掛先に承諾を得ることなく資金調達が可能なため、最短即日などスピーディーに資金調達ができます。

しかし、債権の存在を売掛先に直接確認することができないため、未回収リスクが高く、3者間ファクタリングと比較すると手数料が高くなる傾向にあります。

2者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
2者間ファクタリングとは?メリットや手数料、利用のポイントを解説

3者間ファクタリング

3者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社、そして売掛先の3者間で取引が行われる方式です。

売掛先に承諾を得る必要があり、ファクタリング会社が負うリスクが減るため、手数料は2者間ファクタリングと比較して低めに設定される傾向にあります。

一方で、取引先に通知を行うため、資金繰りが良くないのではないかと疑われ、関係が悪化してしまう可能性があるので、3者間ファクタリングを利用する際は注意しましょう。

3者間ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットと利用の流れを解説!

ファクタリング利用のメリット

ファクタリングを利用することで、以下のようなメリットがあります。

税金滞納時でも利用できる

ファクタリングは、売掛金があれば利用可能であり、税金の滞納があっても利用することができます。

これは、ファクタリング会社が行う審査が主に売掛先の信用力を対象にしているためです。

利用者の信用力は大きく影響しないため、税金を滞納しているかどうかは重要視されません。

早期資金調達が可能

ファクタリングを利用すれば、売掛金の入金期日前に資金を手にすることができ、資金繰りを迅速に改善できます。

ファクタリング会社によっては、即日入金も可能です。

これにより、納税や他の緊急の支払いをタイムリーに行えるようになります。

売掛金が未回収でもリスクを負わない

ファクタリングでは主に、売掛先の倒産などで売掛金が未回収になった場合でも、利用者がリスクを負わない償還請求権なし(ノンリコース型)の契約を締結します。

これにより、利用者は売掛金の未回収リスクを避けつつ資金を確保できるため、安心してサービスを利用できます。

償還請求権については下記コラムで詳しく解説しています。
償還請求権とは?ファクタリングに重要なリスクや注意点を解説

日本政策金融公庫への返済を滞納しそうな場合は?

日本政策金融公庫からの融資を受けることができたとします。

無事融資により資金調達ができたものの、その後返済が困難になった場合には、なるべく早期に日本政策金融公庫に相談することが重要です。

日本政策金融公庫では、対策を講じることで延滞のリスクを軽減する支援を提供しているため、相談するとしないとではその後の信用力の変化に大きな影響があるでしょう。

遅延損害金の支払いは必要

仮に返済が遅延した場合、通常は遅延損害金が発生します。

これは、返済が遅れたことによるペナルティとして課されるものであり、返済計画の見直しと共に支払義務が課せられます。

しかし、日本政策金融公庫では、経営が厳しくなってしまった企業に対して返済計画の見直しや場合によっては返済猶予の措置を提供してくれることもあります。

なるべく早期に相談し、適切な改善策を実施することで、ペナルティを避けることが可能です。

まとめ

税金を滞納している場合、日本政策金融公庫からの融資は原則として受けられません。

しかし、他の資金調達手段として補助金やビジネスローン、ファクタリングなどを利用し、事業や資金繰りを立て直したり税金支払いの一部に当てたりできます。

それぞれの資金調達方法にはメリットと注意点があり、状況や目的に応じて適切な手段を選択することが重要です。

また、滞納を早期に解消し、将来的な資金調達を円滑に進めるためにも、計画的な資金管理と迅速な対応が求められます。

日本中小企業金融サポート機構では、今回ご紹介した資金調達手段のうち、ファクタリングを提供しています。

売掛先の信用力を主に重視することから、仮に税金を滞納している場合でも売掛金の資金化が可能なケースが多く、即日入金も可能です。

当機構は一般社団法人であること、また経営革新等支援機関に認定されていることから、安心してサービスをご利用いただけますので、ぜひ一度ご検討ください。

当機構のファクタリングサービスについて詳しくはこちら をご覧ください。

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税金を滞納していると日本政策金融公庫の融資は受けられない?

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

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