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資金繰りが悪化した場合、社員/従業員に給料を支払うことが難しくなります。
そのため、「分割で支払っても良いのか」「後日まとめて支払っても良いのか」と疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
今回は、給料支払いにおける4つの原則や違法と捉えられる可能性が高いケース、社員/従業員に給料を支払えない場合に起きることについて解説します。
また、社員/従業員に給料を支払えない場合の対処法もご紹介しているので、ぜひご参考にしてください。
[cta]社員/従業員に給料を支払うことは、労働基準法で定められています。
万が一給料を支払わなかった場合、罰金刑もしくは逮捕される可能性があります。
ここでは、給料支払いにおける4つの原則と違法と捉えられる可能性が高いケースをご紹介します。
労働基準法第24条により、給料支払いにおける4つの原則が定められています。
これらの原則は、労働者の生活の安定を図るための基本的なルールです。
給料は原則として、社員/従業員本人に直接支払う必要があります。
委任を受けたからといって保護者や弁護士などの代理人に支払うことも禁止されています。
給料は現金で支払わなければなりません。
ただし、社員/従業員本人が同意した場合は、銀行振込などの方法も認められています。
給料は全額を支払わなければなりません。
給料の一部を強制的に差し引くことは原則として認められていませんが、社会保険料や所得税など法令で定められた控除に関しては認められています。
給料は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。
そのため、「今月は資金繰りが厳しいから来月まとめて支払う」という方法をとることもできないのです。
また、定められた給料日を変更することもできません。
給料の支払いにおいて、違法と捉えられる可能性が高いケースもあります。
労働契約や就業規則に定められていないにもかかわらず、会社が一方的に社員/従業員の給料を減額することは違法です。
社員/従業員が頻繁に遅刻や無断欠勤をするなど、労働契約や就業規則を守らなかった場合は、懲戒処分として減額できます。
ただし、減額は1回につき平均賃金の1日分の半分を超えてはいけないという決まりがあります。
給料の分割払い・天引きも労働基準法違反となる可能性があります。
会社都合で社員/従業員の給料から天引きをする場合は、労使協定が結ばれていなければなりません。
労使協定とは、企業と社員/従業員の間で結ぶ協定のことです。
労働組合が存在する場合は労働組合と協定を結びますが、ない場合は労働者の過半数の同意を得た代表者と労使協定を結びます。
給料2か月分をまとめて一括で支払うと、労働基準法違反となる可能性があります。
なぜなら、給料は毎月1回以上支払うと定められているからです。
翌月に給料をまとめて支払うとはいえ、1か月間給料なしだと社員/従業員の生活に多大な影響をもたらします。
そのため、給料は毎月1回以上支払う必要があります。
社員/従業員の給料が最低賃金制度に抵触する場合も労働基準法違反となります。
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
地域別最低賃金は、都道府県によって定められている最低賃金です。
給料を支払っていても、最低賃金以下の金額になる場合は違法です。
特定最低賃金は、特定の産業や業種において適用される最低賃金のことです。
地域別最低賃金と同様に、定められた金額を下回る場合は違法となります。
割増賃金は、法定労働時間を超えた労働や深夜労働、休日労働に対して、通常の賃金に一定の割合を上乗せして支払わなければならない賃金のことです。
これらの賃金を支払わなかった場合、経営者だけでなく場合によっては直接指揮していた責任者も処罰の対象になります。
給料の未払いは労働基準法に違反するため、以下の処罰が科せられる可能性があります。
給料の未払いが発生した場合、「労働基準法」と「最低賃金法」の罰則が科せられます。
それぞれの罰則は以下のようになります。
労働基準法違反:30万円以下の罰金 最低賃金法違反:50万円以下の罰金 |
法定労働時間を超えた労働や深夜労働、休日労働に対しての給料も支払われなかった場合(割増賃金の未払い)は、6か月以下の懲役刑が科せられます。
給料の未払いが発生した場合、告訴・逮捕される可能性もあります。
ただし、すぐに告訴・逮捕されるわけではありません。
一般的な流れは以下のようになります。
1.社員/従業員が労働基準監督署に告訴状を提出する 2.労働基準監督署から会社に対して給料の支払いを促される 3.給料を支払わなかった場合、労働基準監督署が会社に立ち入って調査・行政指導を行う 4.それでも給料を支払わなかった場合は告訴状が正式に受理され、捜査・書類送検される 5.書類送検後、起訴・不起訴の判決が下され、起訴された場合は罰金を納付する |
告訴状が受理されるのは、労働基準監督署から支払いを促されても支払わなかった場合です。
すぐに支払うことができれば、告訴されるのを防げます。
逮捕に関しては、基本的に証拠隠滅をする、または逃亡する可能性がある場合のみです。
これらの疑いがない場合は、逮捕されることはほとんどないといえます。
社員/従業員に給料を支払えない場合は、以下の対応を検討しましょう。
経営者や役員が自らの報酬を減額することで、社員/従業員に支払う給料を確保します。
役員報酬の変更は原則として年に1度、事業年度開始から3か月以内に株主総会で決議しなければいけません。
しかし、経営状況が著しく悪化したなどの理由がある場合は、期の途中での減額が認められています。
役員報酬の減額は、賛同してもらえないとトラブルになる可能性があるため、役員会議で正式に決議する必要があります。
経営者や役員が個人的な資産を企業に貸し付けを行うことで、給料の支払資金を確保します。
企業に貸し付けを行う場合は、経営者や役員との間で正式な貸付契約を作成しましょう。
社員/従業員に給料を支払えない場合は、取引先と交渉する方法もあります。
買掛金がある場合は、取引先に支払いを遅らせてもらえないか相談しましょう。
売掛金がある場合は、取引先に支払いを早めてもらえないか相談するのがおすすめです。
ただし、資金繰りが悪化している事情を取引先に説明しないといけないため、今後の関係に影響が出る可能性があります。
早期に資金調達を行い、その資金で社員/従業員に給料を支払うのも一案です。
具体的な資金調達方法には、ビジネスローンやファクタリングの利用が挙げられます。
ビジネスローンは利用目的が決められていますが、社員/従業員の給料も該当するため、問題なく利用できます。
売掛金があり、取引先と交渉することに懸念を抱いている場合は、ファクタリングを利用すると良いでしょう。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、早期に資金調達できるサービスです。
ファクタリングの契約には「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」の2種類があり、このうち2者間ファクタリングは取引先の承諾を得る必要がありません。
そのため、取引先と交渉することなく資金調達が行えます。
ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説【図解あり】
給料を支払えない場合は、社員/従業員に事情を説明しましょう。
その際、いつ支払う予定なのかも伝えておくことが大切です。
なお、給料の支払いが遅れる場合は遅延損害金を支払う義務が発生します。
給料を支払えない場合は、制度を利用するのも一案です。
以下で利用できる制度をご紹介します。
未払賃金立替払制度は、企業の倒産などにより社員/従業員に給料を支払うことができなくなった場合、政府がその一部を立替払いする制度です。
立替払いの対象となる金額には上限がありますが、社員/従業員の生活の困窮を避けることができます。
未払賃金立替払制度はあくまで「立て替え」なので、立替払いの金額は労働者健康福祉機構に返済する必要があります。
雇用調整助成金制度は、経済的な理由で事業活動の縮小を余儀なくされた企業が、社員/従業員の雇用を維持するために必要な措置(休業・職業訓練・出向)を講じる際に、その費用の一部を政府が助成する制度です。
助成金の対象となる職業訓練は、職業に関する知識・技術の習得または向上を目的としているものでなくてはいけません。
再就職の準備を目的とした職業訓練は助成金の対象外になるため、その点は念頭に置いておきましょう。
セーフティネット保証は、経営が悪化した中小企業に対して、信用保証協会からの資金調達を支援するための保証制度です。
この制度を活用することで、企業は一時的な経済的困難に対処し、事業の継続や再建を図れます。
また、社員/従業員の給料も支払えるため、離職を防ぐことにもつながります。
社員/従業員に給料を支払えない場合、労働基準法に違反するため告訴・逮捕される可能性があります。
ただし、逮捕に関しては証拠隠滅や逃亡などの可能性がある場合のみです。
これらの疑いがない場合は、逮捕されることはほとんどないといえます。
このほか、給料を支払っていても「会社都合の減額をした」「分割払い・天引きをした」「数か月分を一括で支払った」「最低賃金を下回っている」「割増賃金を支払っていない」などの場合は、違法と捉えられる可能性があります。
資金繰りの悪化によって社員/従業員に給料を支払えない場合は、資金調達を検討しましょう。
一般社団法人日本中小企業金融サポート機構では、専属のスタッフがヒアリングを行い、お客様のお悩み・ご要望にお応えできる最適な資金調達方法をご提案します。
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