即日調達診断
ご相談はこちら
03-6435-7371受付時間 平日9:30~18:00
閉じる

個人事業主が利用できる助成金・補助金まとめ

公開日
2024.05.16
更新日
2024.05.16
個人事業主が利用できる助成金・補助金まとめ

助成金や補助金は、事業者を支援する目的で国や自治体が給付する資金のことです。

具体的には、助成金が「企業の雇用促進や職場改善に関する活動を支援する資金」、補助金が「設備投資や事業拡大を支援する資金」となっています。

助成金・補助金は原則として返済不要なので、事業を維持・継続する上で大いに役立ちます。

法人向けの種類が多いというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、中には個人事業主が利用できる種類もあります。

そのため、もし「人材育成や設備投資を検討しているけど資金がない」という個人事業主の方がいれば、その解決手段として利用するのもおすすめです。

今回は、個人事業主が利用できる助成金・補助金についてご紹介します。

具体的な種類から助成金や補助金を利用するメリット・デメリット、それぞれの基本的な申請方法まで解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

[cta]

助成金・補助金・給付金・支援金について

まずは、助成金・補助金・給付金・支援金、それぞれの違いを押さえましょう。

助成金とは

助成金とは、雇用の維持や職場環境の整備、従業員のスキルアップなどを支援するために支給される資金のことです。

主に、厚生労働省が管轄している「雇用関係の助成金」と経済産業省が管轄している「研究開発型の助成金」の2種類に分けられます。

助成金の目的は、労働者の職の安定です。

そのため、事業の維持・継続が困難な場合や休業の危険性がある場合に支給できる種類が揃っています。

助成金は、金融機関の融資とは異なり、返済の必要がありません。

また審査もなく、一定の要件や資格を満たしていれば受給することができます。

ただし、原則として後払いであり、申請してすぐに資金を得られるわけではありません。

受給できるまでの間、資金をどう工面するか考えておくようにしましょう。

補助金とは

補助金とは、設備投資や事業拡大を支援するために支給される資金のことです。

主に経済産業省が管轄していますが、各省庁や自治体、民間団体などが管轄する種類もあります。

補助金の目的は、個人事業主やフリーランスを含む中小企業の活性化です。

幅広い業種の事業者が経済産業分野における研究開発や地域振興、設備投資などを行うための資金の一部を支援しています。

補助金は、助成金と同じく返済不要です。また、後払いという点も助成金と共通しています。

ただし、審査はあるため、一定の要件や資格を満たしていても必ずしも受給できるとは限りません。

給付金・支援金とは

給付金・支援金とは、大規模な災害が起きたときや世界的な緊急事態の際に、国や地方自治体から給付される資金のことです。

詳しくは後述しますが、たとえば新型コロナウイルス感染症が猛威を奮った際には、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金、新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金などが支給されました。

補助金と助成金については下記コラムで詳しく解説しています。
助成金と補助金の違いをわかりやすく解説!管轄・予算・給付額・期間の相違点とは

個人事業主が受給できる「助成金」の例

「業務改善助成金」の資料上に置かれた2つの男性の人形

個人事業主が受給できる助成金には、たとえば以下の10の種類が挙げられます。

いずれも年度によって実施有無や要件、支給内容、申込期間などが変わる可能性があるため、必ず最新情報を確認するようにしましょう。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規従業員のキャリアアップや処遇改善を図る事業主を対象にした助成金です。

「正社員化コース」「障害者正社員化コース」「賃金規定等改定コース」など計6つのコースが設けられており、それぞれで助成額は異なりますが、受給要件は「雇用保険適用事業所の事業主であること」「キャリアアップ管理者がいること」「キャリアアップ計画を作成し管轄労働局長の認定を受けていること」などで共通しています。

たとえば、正社員化コースの助成額については、中小企業の場合は「有期雇用労働者1人あたり80万円(40万円×2期)、無期雇用労働者1人あたり40万(20万円×2期)」、大企業の場合は「有期雇用労働者1人あたり60万円(30万円×2期)、無期雇用労働者1人あたり30万(15万円×2期)」となっています。

業務改善助成金

業務改善助成金とは、生産性の向上を目的とした設備投資(例:機械設備やコンサルティングの導入、人材育成)などを行うと同時に、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。

助成額は、「設備投資などにかかった費用に一定の助成率をかけた金額」と「助成上限額」を比較し、いずれか安い方の金額となります。

業務改善助成金の受給要件は、「中小企業・小規模事業者であること」「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること」「解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと」の3つです。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、従業員に職務に関する専門知識・技術を習得させるため職業訓練などを計画的に実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」など計7つのコースが設けられており、それぞれで助成の範囲や受給要件、助成額は異なります。

なお、より利用しやすくすることを目的として、2024年4月1日に人材開発支援助成金が見直されました

具体的には、「人への投資促進コース(長期教育訓練休暇制度)の拡充」「人材育成支援コースの申請書類の簡素化」などが適用されました。

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、経済的な理由により事業の縮小をせざるを得なくなった事業主が、従業員の雇用を維持するため休業や教育訓練、出向に要した費用を助成する制度です。

助成額は「休業を実施した場合」と「教育訓練を実施した場合」で異なり、休業を実施した場合は事業主が支払った休業手当負担額がそのまま反映されます。

一方で教育訓練を実施した場合は、賃金負担額の相当額に中小企業なら2/3、大企業なら1/2を乗じた金額です。

雇用調整助成金の受給要件は、「雇用保険の適用事業主であること」「売上高または生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること」などです。

両立支援等助成金

両立支援等助成金とは、働きながら子育てや介護、不妊治療などを行う労働者が働きやすい環境を整備している事業主に対し、その環境整備にかかった費用の一部を助成する制度です。

「出生時両立支援コース」「育児休業等支援コース」「介護離職防止支援コース」「不妊治療両立支援コース」など計6つのコースがあり、それぞれで受給要件や助成額は異なります。

たとえば、出生時両立支援コースの助成額は、第1種(男性の育児休業取得)では1人目20万円、2〜3人目10万円です。

第2種(男性育休取得率の上昇等)では1年以内達成で60万円、2年以内達成で40万円、3年以内達成で20万円となっています。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、さまざまな理由により安定的な就職が困難な労働者を一定期間試行雇用した事業主に支給される助成金です。

「一般トライアルコース」「障害者トライアルコース」「障害者短時間トライアルコース」「若年・女性建設労働者トライアルコース」の計4つのコースが設けられており、それぞれで受給要件や助成額は異なります。

たとえば一般トライアルコースは、対象労働者の雇入日から1か月単位で最長3か月間助成が行われる仕組みになっており、助成額は対象労働者1人につき月額4万円です。

ただし、対象労働者が母子家庭の母または父子家庭の父の場合は、1人につき月額5万円となります。

中小企業退職金共済制度

中小企業退職金共済制度(以下 中退共制度)とは、独力では退職金制度を設けられない中小企業に対し、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度を設ける制度のことです。

中退共制度に新規加入する事業主や掛金月額を増額する事業主を対象に、掛金の一部を国が助成します。

中退共制度に新規加入した場合は「新規加入助成」を受けられます。

その内容は、掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4か月目から1年間国が助成するというものです。

また、掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額変更する事業主に関しては「月額変更助成」を受けることができ、増額分の3分の1を1年間国が助成します。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、ハローワークなどから紹介された就職困難者を“継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)”として雇い入れる事業主を対象とした助成金です。

「特定就職困難者コース」「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」など計5つのコースがあり、それぞれで受給要件や助成額は異なります。

たとえば、特定就職困難者コースの受給要件は「ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れること」「雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること」の2つです。


助成額は対象労働者の類型と企業規模によって異なり、たとえば短時間労働者であり、かつ高年齢者(60歳以上)または母子家庭の母などの場合は、中小企業事業主なら40万円、それ以外なら30万円となっています。

地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金とは、雇用が難しい地域に事業所を設置・整備し、さらにその地域に居住する求職者を雇い入れた事業主に対し、一定の助成金を支給する制度です。

「地域雇用開発コース」と「沖縄若年者雇用促進コース」の計2つのコースがあり、それぞれで受給要件や助成額は異なります。

たとえば、地域雇用開発コースの1回目の受給条件には「同意雇用開発促進地域などの事業所における施設・設備の設置・整備および、地域に居住する求職者などの雇い入れに関する計画書を労働局長に提出すること」「設置・設備事業所の完了日における被保険者数が、計画日の前日の数に比べ3人(創業の場合は2人)以上増加していること」などがあります。

助成額は、計画日から完了日までの間に要した事業所の設置・整備費用と増加した対象労働者の数に応じて決まり、たとえば設置・整備費用が300万円以上、対象労働者の増加人数が5〜9人の場合は80万円となります。

早期再就職支援等助成金

早期再就職支援等助成金とは、中途採用の拡大や中途採用者の雇用管理制度の整備などに取り組んでいる事業者を対象とした助成金です。

「中途採用拡大コース」と「UIJターンコース」などの計4つのコースがあり、それぞれで受給要件や助成額は異なります。

たとえば、中途採用拡大コースの助成額は事業主の取り組み内容によって変わり、中途採用率を20ポイント以上上昇させた場合は50万円となります。

上昇した20ポイントのうち10ポイントが45歳以上の労働者であり、かつ当該45歳以上の労働者全員の賃金を前職と比べて5%以上上昇させた場合は、100万円が助成されます。

個人事業主が受給できる「補助金」の例

「小規模事業者持続化補助金」の資料

個人事業主が受給できる補助金には、たとえば以下の4つが挙げられます。

いずれも年度によって実施有無や要件、支給内容、申込期間などが変わる可能性があるため、必ず最新情報を確認するようにしましょう。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症や円安、国際情勢による物価高騰などの影響によって厳しい状況にある中小企業や個人事業主の事業再構築を支援する補助金です。

「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」「産業構造転換枠」など計8つの枠が設けられており、それぞれで補助率・補助額は異なりますが、ベースの受給要件は「事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること」「付加価値額を向上させること」の2つで共通しています。

枠によっては受給要件が追加で設けられていることもあるので、必ず確認しましょう。

事業再構築補助金の補助率・補助額に関しては、たとえば最低賃金枠の場合、補助率は中小企業が3/4、中堅企業が2/3となっています。

補助額は従業員規模によって異なり、5人以下なら上限500万円、6~20人なら上限1,000万円、21人以上なら上限1,500万円です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が販路開拓に取り組む際の費用の一部を補助する制度です。

「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の計5つの枠があり、それぞれで受給要件と補助率・補助額は異なります。

たとえば、通常枠の受給要件には「直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと」「卒業枠で採択され事業を実施した事業者ではないこと」などがあります。

補助率は補助対象経費の2/3、補助額の上限は原則50万円であり下限はありません。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業などによる革新的な製品・サービスの開発、生産プロセスの省力化に必要な設備投資などを支援する補助金です。

「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の計3つの枠があり、基本の受給要件は「付加価値額 年平均成長率+3%以上増加」「給与支給総額 年平均成長率+1.5%以上増加」「事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円以上」です。

補助率・補助額に関しては枠によって異なり、たとえばグローバル枠の場合、補助率は中小企業が1/2、小規模事業者が2/3となっています。補助額の上限は3,000万円です。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、さまざまな経営課題の解決を目的としたITツールの導入を支援する補助金です。

「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」「セキュリティ対策推進枠」など計5つの枠があり、あり、それぞれで受給要件と補助率・補助額は異なります。

たとえばセキュリティ対策推進は、サイバー攻撃被害によるさまざまなリスクを低減するための支援です。

サイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを導入する際のサービス利用料(最大2年分)が補助対象となります。

補助率は1/2以内、補助額は5万円以上100万円以下です。

個人事業主が利用できるそのほかの支援

ノート上に置かれた1万円札とペン

個人事業主が利用できるそのほかの支援には、たとえば以下の3つがあります。

いずれも年度によって実施有無や要件、支給内容、申込期間などが変わる可能性があるため、必ず最新情報を確認するようにしましょう。

休業協力・事業継続に関する支援金

休業協力・事業継続に関する支援金は、各都道府県が地域別に設けている制度です。

たとえば、兵庫県は「事業継続支援事業」に取り組んでおり、中小企業の円滑な事業承継を支援しています。

地域によって休業協力・事業継続に関する支援金の内容は異なるため、お住まいの地域に自らが対象となる種類があるかを確認してみましょう。

住居確保給付金

住居確保給付金とは、収入が減った人(個人事業主やフリーランスも含む)の家賃を支援する制度です。

具体的には、生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは個人の責任・都合によらず給与などを得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たしたときに限り、市区町村が定める額を上限に実際の家賃額を原則3か月間支給します。

これまでご紹介した助成金・補助金とは異なり、事業に直接影響を及ぼすものではありませんが、廃業や休業に伴う収入の減少をカバーすることが可能です。

国民健康保険料(税)の減免

一定の要件を満たした場合、国民健康保険料(税)の軽減や減免を受けることができます。

軽減については、法令で定められた所得基準を下回る世帯が対象となっており、被保険者応益割(均等割・平等割)額の7割、5割または2割を減額できます。

減免については、災害やそのほかの特別な事情により国民健康保険料(税)を納めることが難しい場合が対象です。

市町村国保の場合はお住まいの市町村の国民健康保険の窓口、国民健康保険組合の場合は加入されている国民健康保険組合または各都道府県の窓口で問い合わせてみましょう。

かつて利用できた給付金の例

「緊急事態宣言発令」の記事が表示されたスマートフォン

給付金は社会の情勢に応じて給付されますが、2024年4月現在で利用できる給付金はありません。

以下では、かつて利用できた給付金を例としてご紹介します。

新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金

新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金とは、特例貸付を終了した世帯や再貸付不承認とされた世帯に対して支給される支援金です。

3か月間にわたって、単身世帯は6万円、2人世帯は8万円、3人以上世帯は10万円が支給されました。

申請受付は2022年12月末日で終了したため現在は利用できませんが、当時は新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少を補う制度として多くの人に利用されました。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金とは、新型コロナウイルス感染症の影響により臨時休業した小学校などに通う子ども、または新型コロナウイルスに感染した子ども、濃厚接触者など学校を休まなければならない子どもがいる保護者のうち、“契約した仕事ができなくなった個人で仕事をする保護者”を支援する制度です。

1日あたり4,177円が支給される仕組みです。

申請受付は2023年5月31日で終了しており、現在は利用できないためご注意ください。

持続化給付金

持続化給付金とは、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けている事業者に対して支給する給付金です。

農業や漁業、製造業、飲食業など幅広い業種において、法人・個人の両方が対象となっており、支給要件を満たせば事業規模別に定められた上限金額内の額が支給されました。

コロナ禍において事業の継続を支援する目的で設けられた制度のため、現在は利用できません。

個人事業主が助成金・補助金を利用するメリット

たくさんのイラストが描かれたパズル

個人事業主が助成金・補助金を利用することには、主に以下の4つのメリットがあります。

原則として返済しなくてよい

助成金や補助金は、金融機関の融資とは異なり、原則として返済の必要がありません。

これは、多くの助成金や補助金が「企業や労働者が負担する各種保険料・税金」を原資としているからです。

負担した金額が一部還元されるような仕組みになっているため、基本的に返済義務は生じないのです。

先々のキャッシュフローを気にしすぎることなく、事業の継続・発展に注力できる点は、助成金や補助金ならではのメリットといえるでしょう。

見返りや経営への干渉がない

助成金や補助金を受給するにあたって、管轄先から見返りを求められたり出資者が経営に干渉したりすることはありません。

得た資金を惜しみなく事業で活用できます。

人材・設備への投資が行える

個人事業主やフリーランスは事業規模が比較的小さいこともあり、人材採用・育成や設備投資を図りたくても資金不足でなかなか進められないことがあります。

助成金や補助金を利用すれば、原則として返済不要の資金を調達できるため、事業規模が小さくても人材採用・育成や設備投資を行いやすくなります。

新たな事業に取り組んだり、今着手している事業をさらに大きくしたりするための準備ができるでしょう。

事業の継続が可能になる

助成金や補助金の中には、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金など、事業の維持・継続に取り組む事業主を支援する種類もあります。

事業を維持・継続しようとするとどうしても多額の費用がかかります。

しかし、助成金や補助金を利用すれば費用負担を最小限に抑えられるため、事業規模が比較的小さい個人事業主やフリーランスも事業を維持・継続させやすくなるでしょう。

個人事業主が助成金・補助金を利用するデメリットと注意点

注意マークを覗き込む虫眼鏡

個人事業主が助成金・補助金を利用することにはメリットがある一方でデメリットもあります。

補助金は申請が通らないことがある

補助金は予算額や採択件数が決まっているため、申請しても通らないことがあります。

とくに人気の補助金は申請者が多く、競争が激しくなることが予想されるため、どうしても受給したい場合は早めに申請するようにしましょう。

原則として後払い

助成金や補助金は、原則として後払いです。

申請してすぐに資金を得られるわけではないため、受給できるまで資金をどう工面するか、自己資金をどのように利用するかを考えておく必要があります。

この計画を怠ると、事業の維持・継続に大きな影響を及ぼす可能性があるため、「原則として後払い」という点は念頭に置いておきましょう。

手続きが負担になることがある

助成金や補助金を利用する際は、それぞれの申請書はもちろん、そのほかの必要書類も準備しなければなりません。

助成金や補助金の種類によっては、必要書類が多くなることもあるため、手続きを負担に感じることもあるでしょう。

とくに個人事業主やフリーランスの方は、通常業務をしながら手続きを行うことになるので、状況次第では大きな負担になることがあります。

周りに経験者がいるのであればアドバイスをもらったり、業務の進捗を踏まえて申請時期を決めたりと、負担を軽減できるよう工夫しましょう。

申請期間に注意

先ほど、「手続きの負担を軽減できるよう、業務の進捗を踏まえて申請時期を決めるとよい」と解説しましたが、助成金や補助金にはそれぞれ申請期間が設けられています。

この期間内に申し込まなければ受給できず、次回(基本的には来年度)を待つことになります。

そのため、申請時期はあくまでも申請期間内で決めるようにしましょう。

また、もうひとつ注意したいのが、申請期間ギリギリに申し込むのは避けたほうがよいということです。

たとえば、申込書と必要書類をしっかり用意できても、どれかに記入ミス・漏れがあれば、期限内に再提出しなければなりません。

申請期間の終了間際に申し込んでしまうと再提出が間に合わず、次回を待つことになりかねないため、余裕を持って申請するよう心掛けましょう。

助成金を申請する際の基本的な流れ

窓口で対応する女性

個人事業主が助成金を申請する際の基本的な流れは、以下のとおりです。

事前準備を済ませる

まず、被保険者資格取得の届出や支給要件申立書の提出、支払方法・受取人住所届の提出などの事前準備を済ませましょう。

・被保険者資格取得の届出
従業員を雇用した際、厚生年金保険や健康保険に加入するために必要な手続きです。
申請は雇用した事業所の事業主が行います。提出期限は従業員を雇用してから5日以内です。
 
・支給要件申立書の提出
支給要件申立書とは、助成金の受給資格があることを証明する書類です。
具体的には、「過去に助成金を不正受給していない」「反社会的な勢力ではない」といったことを証明します。
 
・支払方法・受取人住所届の提出
支払方法・受取人住所届とは、事業所番号や法人口座の情報を記載する書類です。
助成金は法人用の口座に振り込まれるため、あらかじめ口座情報を共有しておきます。

とくに重要なのは被保険者資格取得の届出です。

助成金の財源は雇用保険なので、従業員を雇用しハローワークに届け出をすることは、助成金を申請する上で必須といえます。

1. 実施計画の作成・届出

事前準備を終えたら、実施計画を作成しましょう。

申請したい助成金の受給要件に沿った内容で作成するのがポイントです。

完成したらハローワークや労働局の窓口に提出しましょう。

2. 計画の実行

次に、実施計画を実行します。

雇用調整助成金など教育訓練に関する助成金の場合は、セミナーに参加した事実を証明できるよう、領収書などをもらっておきましょう。

3. 支給申請・審査

実施計画を実行したら、次に支給申請を行います。

該当の助成金の支給申請書と添付書類をハローワークや労働局の窓口に提出しましょう。

支給申請後、労働局で審査が行われます。

具体的には「実施計画の内容が本当に実行されたのか」「労働法に違反していないか」「支給申請書に間違いはないか・添付書類に漏れはないか」などが確認されます。

もし支給申請書の不備・添付書類の不足があった場合は、追加で提出するよう求められるため、迅速に対応しましょう。

4. 支給

審査の結果、受給要件を満たしていると判断されたら、支給決定書が届いたのち法人用の口座に助成金が振り込まれます。

個人の口座では受給できないのでご注意ください。

補助金を申請する際の基本的な流れ

封筒に入った「申請書」・「届出書」

個人事業主が補助金を申請する際の基本的な流れは、以下のとおりです。

1. 公募

補助金にはさまざまな種類があり、それぞれで目的や仕組みは異なります。

そのため、まずは公募している補助金について把握し、自分の事業とマッチしている種類はあるか探してみましょう。

2. 申請・審理

気になる補助金が見つかったら、公募要領・申請書を確認し、必要書類とあわせて申請書を事務局に提出します。

電子申請か書面の郵送かは補助金によって異なるため、事務局のホームページや公募要領を必ず確認しましょう。

申請書を提出したら、審査委員会による審理が行われます。

3. 採択・交付申請

審査委員会による審理を経て、採択事業者が決定します。

無事に採択事業者に選ばれたら事務局からその旨が通知されます。

その後、補助金交付規程を確認し、補助金交付申請書を記入して交付申請を行います。

4. 事業スタート

交付申請後、事務局から交付決定通知が届いたら、いよいよ補助事業(交付決定された内容)をスタートさせます。

もし、やむを得ぬ事情で事業内容を変更しなければならない場合は、計画変更申請を行う必要があります。

5. 中間検査

補助事業がある程度進んだら、中間審査が行われます。

具体的には「どれくらい進んでいるのか」「いつまでに終わりそうか」などを書類やヒアリングで確認されます。

6. 事業終了・報告

補助事業が完了したら、その旨を事務局に報告します。

実績報告書・経費エビデンスを作成し、実施した事業の内容と経費を報告しましょう。

7. 確定検査・補助金の交付

事業終了の報告を受けた事務局が確定検査を行います。

検査を通して「補助事業が正しく実施された」と判断されると補助金額が確定し、事業主に補助金額確定通知が届きます。

通知の内容を確認し問題なければ、請求書を発行しましょう。

その後、補助金が交付されます。

まとめ

助成金・補助金に対して「法人のみが利用できる制度」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、種類によっては個人事業主も利用できます。

多くの助成金や補助金が「企業や労働者が負担する各種保険料・税金」を原資としているため、原則として返済は不要ですし、管轄先から見返りを求められたり出資者が経営に干渉したりすることもありません。

調達した資金を事業の維持・継続のために利用できるため、事業規模が比較的小さい個人事業主にとって頼りになる支援といえるでしょう。

ただし、助成金・補助金の利用には注意点もあります。

原則としてどちらも後払いなので、受給するまでの間は別の方法で資金を調達したり、自己資金を切り崩したりしなければなりません。

もし、「早急に資金を調達したい」という状況ならファクタリングを利用するのがおすすめです。

日本中小企業金融サポート機構では、資金調達方法の1つであるファクタリングサービスを通して資金繰りのサポートを行っており、補助金・助成金までのつなぎ資金として活用いただくケースもございます。

当機構のファクタリングならお問い合わせから最短3時間で資金調達が可能です。

助成金・補助金の支給を待つ間にも資金調達を図りたい場合は、ぜひ利用をご検討ください。

ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みなどをわかりやすく解説【図解あり】

[cta]

個人事業主が利用できる助成金・補助金まとめ

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

コラム一覧に戻る