即日調達診断
ご相談はこちら
03-6435-7371受付時間 平日9:30~18:00
閉じる

経営を安定化し成長を促進する「キャッシュフロー」について

公開日
2023.10.03
更新日
2024.02.20
経営を安定化し成長を促進する「キャッシュフロー」について

キャッシュフローとは、事業運営に関わる資金の流れのことです。

正しく管理することで安定した経営を進められるだけでなく、適切なタイミングで事業拡大に向けた投資を行うことができるので、企業を成長させるためには必ず管理しておく必要があります。

この記事ではキャッシュフローの概要や把握するメリット、悪化したときの対策などをご紹介します。

ぜひご覧ください。

[cta]

キャッシュフローとは

事業を運営する上で必要となる資金の流れのことをキャッシュフローと呼びます。

会計期間内にどれだけの資金が出入りしたかどうかを可視化し、経営が順調かどうかを判断するために欠かせないものです。

たとえ利益が出ても、手元に資金が不足しているのに大量の仕入れや投資を行うと支払いができなくなる危険性があり、最悪の場合倒産してしまう可能性があります。

「売上があるはずなのに資金が不足してしまう」という場合は、原因を探るためにもキャッシュフローを把握して改善に努める必要があります。

営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローとは、本業で増減した資金の動きをまとめたものです。

仕入れにいくら使ったか、どのくらい収入があったかなど、取引における収支が一目で分かります。

この項目がプラスの状態であれば本業に関して支出よりも収入が多いことになり、順調に営業ができており、きちんと本業により資金を生み出せているといえます。

反対にマイナスの状態は、支払った費用(仕入れや人件費など)よりも収入が少ない、つまり本業がうまくいっていないといえます。

そのため、売上を上げる・売掛金を素早く回収するなどの対策が必要です。

投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローは、設備投資などを目的として固定資産を購入したり、別事業への投資や企業買収をしたりするなど、事業拡大に関わる資金の動きをまとめたものです。

この項目がプラスの場合は、株式や固定資産を売却して資金化していると読み取れます。

反対にマイナスの場合は、固定資産の購入や投資などに資金を使ったことを表しています。

資金繰りの悪化が原因でマイナスになっているわけではなく、将来収益を生み出すために必要な投資をした結果なので、プラスマイナスで判断するよりは内容を見て状況を見極めるようにしましょう。

財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローは、資金調達による資金の動きをまとめたものです。

事業拡大のために資金調達を行った場合はこの項目がプラスになり、反対に金融機関からの借入などをきちんと弁済できている状態はマイナスとなります。

投資活動のキャッシュフローと同様、プラスマイナスの判断は内容の見極めが重要です。

キャッシュフローを把握して経営を行うメリット

MERITと書かれた立方体の積み木

ここからはキャッシュフローを把握することで得られるメリットについてご紹介します。

資金ショートを予防する

キャッシュフローを把握すると、売掛金の回収状況や仕入れによる支払いの状況などを正確に把握することができます。

キャッシュフローを把握できていない場合、大きな利益を得るために大量の仕入れや発注を行おうとした際に手元の資金が不足し、代金の支払いができなくなるリスクがあります。

売上が計上されるタイミングと実際に入金されるタイミングにはズレが生じるので、この時期を把握できていないと資金ショートを引き起こしてしまう可能性が高まります。

キャッシュフローを把握しておけば入出金のタイミングを理解した上で仕入れや発注を行えるので、資金ショートに陥るリスクを防ぐことができます。

経営が安定し意思決定の選択肢が広がる

事業運営にはさまざまな意思決定が必要です。

キャッシュフローを把握しておくと、資金に余裕があるタイミングで仕入れの拡大や先行投資をする選択ができるようになります。

また、従業員への給与支払いや税金の支払いなど、必要経費がどのタイミングでいくら支払われるのかを把握することで、倒産するリスクを下げ安定した経営ができるようになるメリットもあります。

金融機関からの信用を高められる

新規事業の立ち上げや多額の設備投資の際には、金融機関から融資を受けて資金調達を行うこともあります。

金融機関から融資を受ける際には審査に通らなければならず、審査時に必ず確認されるのがキャッシュフローの健全さです。

普段から資金の流れを把握していれば、資金繰りが悪化してもすぐに対策を打つことができるので、企業の信用情報に傷がつくのを未然に防げます。

キャッシュフローの管理を徹底することは金融機関からの信用を高めることにもつながり、スムーズな資金調達を叶えることができるのです。

事業の拡大や新規投資につながる

事業を大きくするためには、仕入れを拡大したり新規事業を立ち上げたりするために資金が必要です。

キャッシュフローを管理していれば、事業拡大を目的とする設備投資や仕入れの拡大など、利益を上げるための施策資金を適切なタイミングで活用できます。

事業を安定して運営することはもちろん、事業拡大の観点からもキャッシュフローの管理が重要なのです。

財務三表との比較

決算報告書や貸借対照表などの書類が散らばっている

キャッシュフローを管理する表のことを「キャッシュフロー計算書(C/F)」といいます。

英語で「Cash Flow Statement」と表すことから、略して「C/F」と表記されることもあります。

キャッシュフロー計算書は、「貸借対照表(Balance sheet:略称 B/S)」や「損益計算書(Profit and Loss Statement:略称 P/L)」と並んで財務三表と呼ばれています。

財務を管理する点では同じものですが、記載する内容や記載する範囲に大きな違いがあるのをご存知でしょうか。

ここでは財務三表について、キャッシュフロー計算書との違いをご紹介します。

貸借対照表(B/S)との違い

貸借対照表とは会社が抱える資産や負債について記録したもので、バランスシートとも呼ばれます。

資金調達の方法や資金の使い道などが細かく記載されているので、企業の財政状況を一目で把握することができます。

キャッシュフロー計算書と貸借対照表の違いは、記録されている財政状況がどのタイミングなのかという部分です。

貸借対照表は決算日時点で保有する資産と負債について記録しているものですが、キャッシュフロー計算書は会計年度中の資金の流れについて記録されています。

貸借対照表よりも細かく資金の流れを把握できるので、財政状況を把握するにはどちらも確認しておく必要があります。

損益計算書(P/L)との違い

損益計算書とは、会計期間内の利益と損失をまとめて記録しているもので、経営における成績を表しています。

損益計算書では売上や仕入代など収益や費用について記載するので、どれだけ利益を得たかどうか、どれだけ事業に使用したかどうかが一目でわかるようになっています。

キャッシュフロー計算書では実際のお金の動きが記載されるため、計上された利益と資金の動きにズレがないかどうかは損益計算書と照らし合わせることで判断できます。

キャッシュフロー計算書(C/F)の見方

パソコンと虫眼鏡

キャッシュフロー計算書には手元にある資金残高や入出金の履歴が記録されているので、財政状況を把握するのに必要不可欠です。

キャッシュフローには3つの種類があることをお伝えしましたが、それぞれのバランスを把握することで財政状況を分析することができます。

ここではキャッシュフロー計算書の見方について、財政状況ごとにご紹介します。

キャッシュフロー計算書について下記コラムで詳しく解説しています。
なぜ重要?キャッシュフロー計算書の見方を解説

優良企業とされるケース

優良企業とされるケースは、営業活動によるキャッシュフローがプラスで、投資活動と財務活動によるキャッシュフローはマイナスです。

本業が順調でしっかりとお金を残せている状態を表し、投資活動によるキャッシュフローはマイナスであることから事業拡大や成長のための投資も行っていると読み取れます。

財務活動によるキャッシュフローもマイナスなので、負債を弁済できているという状況であると読み取れることから、優良企業と判断されます。

積極的に投資しているとされるケース

積極的に投資しているとされているケースは、投資活動におけるキャッシュフローがマイナスとなり、財務活動によるキャッシュフローはプラスです。

事業成長のために投資を行っており、資金調達や融資などで資金を多く確保していることが読み取れます。

営業活動によるキャッシュフローがプラスの場合は本業が順調で積極投資をしていると読み取れ、マイナスの場合は投資による成果がまだ上がっていない段階であると読み取ることができます。

懸念のある企業とされるケース

懸念のある企業とされるケースは、営業活動によるキャッシュフローがマイナスで、投資活動と財務活動によるキャッシュフローがプラスです。

本業でも利益が上がらず、投資もできておらず、さらに資金調達をしないと事業が回らない状態であると判断されるからです。

仮に財務活動によるキャッシュフローがマイナスだったとしても、資金調達を繰り返して弁済を行う自転車操業状態になっている可能性があり、懸念がある企業だと判断されてしまいます。

キャッシュフローが悪化してしまう原因

積み木と紙幣と貨幣のレプリカ

事業を運営する中で、キャッシュフローが悪化してしまう場面があります。

一時的な売上の低下であれば問題ありませんが、売上の他にもキャッシュフローの悪化を招く原因が複数存在するのをご存知でしょうか。

ここではキャッシュフローが悪化する原因を5つご紹介します。

利益悪化による経営不振

第一に考えられるのが、利益が上がらず経営状況が悪化している点です。

商品やサービスが売れずに売上が下がってしまうのはもちろんですが、原材料費や配送費をはじめとする必要経費が高騰したことで利益率が下がってしまうことも要因として挙げられます。

一時的な利益悪化であれば大きな問題はないものの、毎月積み重なることでキャッシュフローがどんどん悪化してしまうので、早めの対策を考えなければいけません。

余剰在庫の増加

商品を多めに仕入れておくことで品切れによる機会ロスを防ぐ効果が期待できますが、あまりにも在庫を持ち過ぎてしまうと、かえってキャッシュフローを悪化させてしまう可能性があります。

在庫が多ければ多いほど維持管理のための設備に多額の資金が必要になるだけでなく、長期保管による劣化が原因で商品価値が低下し、最悪の場合廃棄せざるを得ないことがあります。

売上の推移を確認し、保有する在庫数は適正量を超えないよう管理しましょう。

過度な投資

事業拡大を進めるために過度の投資をしてしまうと、手元の資金が不足してキャッシュフローの悪化につながります。

営業活動におけるキャッシュフローでプラスが出ている分は投資に回しても問題ありませんが、不要な投資ばかり進めていると利益を生まず負債だけが残ってしまいます。

本当に必要な投資かどうか、投資に回しても資金繰りに問題がないかを判断した上で投資に踏み切りましょう。

資金繰りの管理不足

財政状況を把握しないまま事業運営を進めてしまうと、いつの間にか資金繰りが悪化していたという可能性があります。

売上が入金される前に支払い時期がやってきて支払いができなかったり、知らないうちに支出が増えていて売上だけでは補填できなくなったりと、早めに対処しないと手遅れになってしまうことがあるので注意が必要です。

売掛金の未回収

売掛金回収の遅れや期日までに回収できていない状態は、キャッシュフローの悪化を招きます。

掛取引では、売上として計上されるタイミングと実際に入金されるタイミングに1か月〜2か月程度のタイムラグが生じます。

売掛金の回収が遅れている場合は売掛先の経営状態に問題が生じている場合があり、遅れれば遅れるほど回収が困難になってしまうのです。

売掛金の入金遅れは自社の支払いにも大きな影響があるため、未回収の売掛金は早めに回収するよう心がけましょう。

キャッシュフローを改善するための手法

電卓と数字がたくさん書かれた紙

キャッシュフローが悪化している場合、手元の資金を増やすだけでなく支払い額を抑えたりタイミングを遅らせたりすることで改善につながることがあります。

ここではキャッシュフローを改善するための手法についてご紹介します。

資金繰り表の作成

資金繰り表とは、月々の収入と支出を表にしてまとめたものです。

資金の流れを細かく把握できるので、キャッシュフローを把握して財務状況の改善につなげることができますし、万が一キャッシュフローが悪化した際にも早めに対策をとることが可能です。

まずは現時点の資金の流れについて把握することが重要なので、資金繰り表を作成して現在と未来の収支を記載しておきましょう。

支払い方法の変更の検討

キャッシュフローが悪化した際は、支払い方法の変更を検討することで改善する可能性があります。

売掛先には売上の前払いを依頼し、支払いは後払いの契約をすることで、手元に資金が残る期間を増やすことができます。

この方法は自社だけでなく売掛先との契約に関わってくる部分なので、変更することに難色を示される場合もあります。

あくまで検討材料のひとつとしてとらえておきましょう。

遊休資産・固定資産の処分

遊休資産とは、利用や稼働を停止して使わなくなってしまった資産のことです。

利益を生まない資産にもかかわらず、維持費がかかったり弁済が続いていたりする場合は、早めに売却することでキャッシュフローの改善につながる可能性があります。

売却して得た資金を借入の弁済に使用できますし、不足している資金を補填するためにも活用できるので、使わなくなった資産は売却することも視野に入れましょう。

在庫を最適化

過剰な在庫は維持管理のために多くのコストが必要です。

そのため、保有する在庫を減らすことでキャッシュフローの改善につながることがあります。

在庫を減らして維持管理費を抑えられるだけでなく早期の資金化ができるメリットがあるので、当初希望していた販売価格よりも安く、場合によっては仕入れ価格よりも低い金額で売却することも検討しましょう。

経費の削減

現在発生している経費に無駄がないかどうかを見直すことも、キャッシュフロー改善につながります。

家賃や光熱費などの固定費の見直しは、毎月固定で発生する支払額を下げられるので、長期的なキャッシュフロー改善につなげられる可能性があります。

融資

まとまった資金が必要な場合は、金融機関からの融資を検討しましょう。

銀行や信用金庫などの融資は審査が厳しいため、経営状態によっては融資を断られる可能性があります。

日本政策金融公庫や自治体の融資制度は、中小企業や小規模事業者の支援を目的にしていることから金利も低めに設定されています。

銀行や信用金庫と比較して審査に通りやすいのも特徴なので、積極的に活用するのがおすすめです。

利益の向上

確実にキャッシュフローを改善するためには、利益を上げることが大切です。

費用を削減したり融資を受けたりしても、利益が上がらなければ根本解決になりません。

販促を見直すなど売上を上げる取り組みはもちろん、原材料の見直しを行い同じ内容で低価格のものがないかどうかを探してみましょう。

売掛金を回収

未回収の売掛金はできるだけ早く回収することが重要です。

売掛金が回収できないと、コストだけ発生して1円も入金されないという大きな損失につながります。

入金が遅延している売掛先がある場合は入金を催促するようにしましょう。

ファクタリングの利用

売掛金を売却して資金化するファクタリングは、手元の資金を増やす手段として活用されています。

金融機関からの融資よりも審査に通りやすく、最短即日入金が可能なファクタリング会社もあるので、緊急の資金繰り改善が必要な場合に活用するのがおすすめです。

万が一売掛先が倒産してしまってもファクタリング会社に弁済する必要がないので、確実に資金化する方法として検討してみてはいかがでしょうか。

ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みなどをわかりやすく解説【図解あり】

まとめ

事業を安定して運営するためには、キャッシュフローを把握することが非常に重要です。

帳簿上で利益があっても、手元の資金が管理できていなければ必要な時に支払いができなくなってしまう可能性があり、たとえ黒字経営だったとしても倒産してしまう可能性があります。

キャッシュフローを把握した上で資金繰りが悪化している場合は、経費削減や資金調達を行って安定した経営ができるようにしましょう。

一般社団法人日本中小企業金融サポート機構のファクタリングサービスは、最短3時間で売掛債権(売掛金)を資金化できます。

当機構は一般社団法人であること、また関東財務局長及び関東経済産業局長から経営革新等支援機関に認定されていることから、安全性や信頼性も充分です。

資金繰りでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

[cta]

経営を安定化し成長を促進する「キャッシュフロー」について

【監修】日本中小企業金融サポート機構 編集局長

保有資格:FP2級

大学卒業後、地方銀行に勤務。主に企業向け融資を担当。その後、損害保険会社にて法人営業、外資系金融機関にて法人融資や人材育成を担当するなど、一貫して金融関連業務に従事。2019年一般社団法人日本中小企業金融サポート機構に入社し、これまでの金融の知識と法人営業の経験を活かし、多くの中小企業・零細企業をサポート。
プライベートでは3児の父の顔も持ち、犬・猫・亀も飼う大家族の大黒柱。

コラム一覧に戻る