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掛取引では「売掛金が支払われない」という状況になることがあります。
では、売掛金が未回収になってしまった場合、どのような方法で対処すれば良いのでしょうか。
今回は、売掛金が未回収になってしまう原因や未回収を防ぐ方法、未払いの売掛金を回収する方法などについてご紹介します。
また、資金繰りが苦しい際に役立つ「ファクタリング」の仕組みやメリットも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
[cta]売掛金が未回収になってしまう原因には、主に以下の5つがあります。
まず挙げられる原因は、請求する側による請求書の未発行や請求内容の不備です。
例えば、請求書を発行し忘れた場合はいつになっても売掛金を回収できなくなってしまいます。
請求書の金額が間違っていた場合は、トラブルに発展しかねません。
こうした事態を回避するためにも、問題が発覚したら素早く対処し、請求し直すようにしましょう。
支払う側による支払いの失念も、売掛金が未回収になる原因のひとつです。
何度も取引している売掛先企業なら忘れられることはほとんどありませんが、初めて取引する売掛先企業だったり担当者の方が不慣れだったりすると、支払いを失念されてしまうことがあります。
この場合、自社から催促すれば解決する可能性が高いため、とくに心配する必要はありません。
ただし、支払いが何度も遅れるようなら遅延の理由を確認し対処するようにしましょう。
支払う側が納入された商品やサービスの品質に不満を持ち、返品や解約を検討することで売掛金の支払いが遅れることもあります。
この場合、請求する側に原因がある可能性も考えられるため、支払いを催促する際は伝え方に気をつけましょう。
支払う側の資金繰りの悪化により、売掛金が未回収になることもあります。
一時的な悪化であれば強く問題視する必要はありませんが、支払いが何度も遅れるようなら経営状況が悪くなっている可能性があるため、支払期日を短くしたり取引内容を調整したりする必要があるかもしれません。
売掛金が未回収になる原因には、支払う側による故意の支払い拒否も挙げられます。
この場合、悪質な企業による詐欺の可能性が考えられるため、法的手段を取ることも視野に入れておきましょう。
あわせて、同じ被害に遭わないように、今後掛取引をする際は売掛先企業の信用力をしっかり確かめておくことが大切です。
売掛金の未回収を未然に防ぐ方法は、主に以下の5つです。
与信管理とは、掛取引の際に売掛金を確実に支払ってくれるかどうかを確認するため、売掛先企業の経営内容や財務状況をもとに信用度を判断することです。
与信管理を行えばリスクの高い取引を避けられるため、売掛金がそもそも発生せず、未回収を未然に防ぐことができます。
なお、与信管理は初めて取引する売掛先企業に対して行うのがとくに効果的ですが、信用状態は変化するため、2回目以降の取引でも適宜行うことをおすすめします。
掛取引では一般的に「月末締め・翌月未払い」または「月末締め・翌々月末払い」で支払いが行われます。
しかし、全ての掛取引で予定通りに売掛金を回収できるとは限りません。
例えば、初めて取引をする売掛先企業の場合、自社に対する「支払期日に売掛金を支払った」という実績がないため、売掛金の回収に不安を感じることもあるでしょう。
このようなケースでは、未回収リスクを軽減するために支払期日を前倒しできないか交渉してみるのも一案です。
締め日から支払期日までが短いと、売掛先企業によるヒューマンエラー(支払い忘れなど)の発生が少なくなるため、売掛金の未回収を防ぎやすくなります。
大きな取引を行う際は、あらかじめ担保を要求しておくと良いでしょう。
万が一売掛先企業が倒産し売掛金を支払えなくなったとしても、担保物や保証人から回収できるため安心です。
なお、担保の対象となるものには不動産や動産、債権、有価証券、知的財産権などがあります。
売掛金の未回収を未然に防ぐには、請求金額が決まり次第すぐに売掛先企業へ通知することも大切です。
早めに通知することで売掛先企業の準備が整い、支払いの失念や金額のミスが起こる可能性を軽減できます。
これにより、売掛金を支払期日までに回収しやすくなるでしょう。
ファクタリングとは、自社が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却することで、売掛金の支払期日前に資金化する金融サービスです。
売掛金の未回収リスクに万全に備えられるため、もし売掛先企業が倒産して売掛金が未支払いになったとしても被害を負うことはありません。
また、一般的にファクタリングでは償還請求権がない「ノンリコース契約」を締結します。
そのため、万が一売掛金の回収が困難になったとしても申込企業に返還義務は生じません。
ファクタリングについては下記コラムで詳しく解説しています。
ファクタリングとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説【図解あり】
「支払われなかった売掛金を回収することはできない」と認識している経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそのようなことはありません。
以下の方法で解決できる場合があります。
内容証明郵便とは、誰が誰に対して送付した文書なのか、またその文書の内容を郵便局が確認し、証明してくれるものです。
未払いの売掛金を催促する際は、一般的に内容証明郵便で督促状を送付します。
裁判所を介さないため、比較的ハードルが低い対処法といえるでしょう。
催促しても売掛金が支払われない場合は、法的手段を検討しましょう。
法的手段は主に「訴訟」と「訴訟以外」に分けられ、後者には公正証書や即決和解、支払督促、民事調停などがあります。
どれも専門性が高いため、着手する場合は弁護士に相談しましょう。
未払いの売掛金の回収業務を弁護士に代行してもらうのも一案です。
費用が発生しますが、その分コア業務に専念できる他、人件費を抑えることもできます。
なお、法律で売掛金の回収が認められているのは「弁護士」「認定司法書士」「債権回収会社」の三者のみです。
売掛金が未回収になるケースのひとつに「売掛先企業の倒産」があります。
この場合は貸倒損失を計上して所得税を減らすことで対処できます。
貸し倒れとなるケースには、主に以下の3つがあります。
法律上の貸し倒れとは、金銭債権の全部または一部の切り捨てをした場合の貸し倒れを指します。
該当する事由は、以下のとおりです。
● 更生計画認可の決定または再生計画認可の決定 ● 特別清算に係る協定の認可の決定 ● 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの など |
事実上の貸し倒れとは、回収不能の金銭債権の貸し倒れのことです。
法的に権利は消滅していないが、回収ができないという場合を指します。
該当する事由には「金銭債権につき、その債務者の資産状況・支払能力などからみて、その全額が回収できないことが明らかになった場合」が挙げられます。
形式上の貸倒れとは、一定期間、取引停止後の弁済がない場合の貸し倒れを指します。
該当する事由は、以下のとおりです。
● 継続的に取引している債務者の資産状況や支払能力に問題が発生し、取引停止後1年以上経過した場合(※取引停止、最後の弁済期限、最後の弁済日のうち最も遅い日) ● 同一地域の債務者の売掛債権の総額が、取立のために要する旅費やその他の費用に満たない場合において、当該債務者に対して支払い督促をしたにもかかわらず弁済がないとき |
売掛先企業が倒産してしまった場合は、貸倒損失を計上するのが有効です。
貸倒損失とは、売掛金が支払われなかったときにその金額を損失として経理処理するための勘定科目です。この項目で計上すれば所得税を減らすことができます。
例えば、売掛金30万円が貸し倒れした場合は、以下のように仕訳するのが一般的です。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
貸倒損失 | 300,000円 | 売掛金 | 300,000円 |
「資金繰りが苦しく、売掛金の未回収による影響は避けたい」という場合は、ファクタリングを利用するのがおすすめです。
繰り返しになりますが、ファクタリングとは自社が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却することで、売掛金の支払期日前に資金化する金融サービスのことです。
「保証型ファクタリング」と「買取型ファクタリング」の2つの種類に分けられ、保証型ファクタリングは売掛金の未回収リスクに備えること、買取型ファクタリングは資金調達を目的としています。
保証型ファクタリングは、売掛先企業の資金繰り悪化や倒産などを理由に、万が一売掛金が回収できなくなった場合に契約の範囲内で保証してもらうサービスです。
売掛金に対して申込企業とファクタリング会社が保証契約を締結することで、売掛先企業が貸し倒れ倒産して売掛金が回収できなくなった場合に保証金を受けとることができるため、保険のような役割があります。
買取型ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期のうちに資金化する金融サービスです。
申し込みから最短即日で資金を得ることができるため、資金繰りの悪化による苦しい状況を改善しやすくなります。
買取型ファクタリングは、売掛金の未回収リスクをファクタリング会社が負担するため、保証ファクタリングと同様に売掛金の未回収リスクを軽減する役割もあります。
売掛金は、必ずしも支払期日に支払われるとは限りません。
売掛先企業によっては支払いが遅れたり、最悪の場合は支払われないこともあります。
未払いの売掛金を回収する方法もありますが、自社へのリスクを最小限にするためには、売掛金の未回収を未然に防ぐことに注力するのがおすすめです。
与信管理を徹底する、ファクタリングを利用するなどして、売掛金を確実に回収できる体制を整えておきましょう。
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