コラム

少人数私募債を発行し資金調達する方法

少人数私募債は、会社設立や事業の拡大などを目指すにあたり、有効な資金調達の手段の一つです。社債の一種であり、資金調達をスムーズに行うことができる方法となります。少人数私募債はメリットも多いものですが、実際に発行する場合には準備や判断を慎重に行うことも必要です。

少人数私募債とは

少人数私募債とは、縁故者を中心に身近な人に引き受けてもらう社債のことをいい、いくつかの要件があります。社債には公募債と私募債の2つの種類があり、少人数私募債はこのうち私募債の一種に当たります。私募債にはこの他にも、適格機関投資家だけの募集となるプロ私募債があります。どちらの私募債にも条件があり、プロ私募債では、募集対象が適格機関投資家のみで募集対象の投資家の数は限られていません。一方、少人数私募債では人数に制限はありますが、投資家の性質は問われません。限られた親密な取引先からのみに絞って資金調達を行う場合には少人数私募債の方が有利にことを運べるでしょう。

社債者は最大49

少人数私募債で集められる最大の人数は49人までとなります。募集では社債発行の取締役会の決議を行い、募集要項の策定や勧誘するための文書を作成します。引き受けてくれそうな人を勧誘しますが、50名未満に絞ることが必要です。また、募集(発行)後も継続的に人数は50名未満を維持することが必要となります。これは、金融商品取引法で定められています。その条件を守ることで発行の条件を軽くすることができます。そのため、発行する際には、譲渡による変化を防ぐために上と制限も加えておかなければいけません。

社債総額を「社債最低金額×50」以下とする

少人数私募債の募集には少し注意が必要です。少人数私募債の募集では、引受人が少なくても条件が適用されないこともあります。少人数私募債は会社法によって社債管理者の設置義務を回避することができます。その条件には「社債総額を社債最低金額×50以下」にすることがあります。つまり、社債の引き受け人数が少なくても、この条件をクリアしていないとメリットを享受することができません。

少人数私募債では、最低引き受け価額によって社債総額を割って50を下回るようにすることが必要です。社債の引受人の人数が50人よりも少なくても、一人の社債引き受け価額にばらつきがあって一人が少額の場合にはこの条件から漏れてしまうことがあります。

例えば、1千万円の社債発行の場合では引き受け価額が10万円以下の人がいると、1千万円÷10万円で100となり、50以下をクリアできません。1千万円の社債発行の場合には、1口の最低価額を1千万円÷5020万円を超える金額にする必要があります。こうすることで最低価額の投資でも、引き受け人数を50人未満に抑えることができます。

少人数私募債のメリット

少人数私募債は人数の面で条件がありますが、その一方でメリットも大きいものです。厳しい条件をクリアすることで多くのメリットを得ることができ、結果的に経営をスムーズに行うことができるでしょう。

 社債管理会社を設置する必要がない

少人数私募債のメリットとしては、コストをかけることなく社債発行を実現できるという点があります。社債管理会社を設置する必要がなく、自社での運営管理が可能です。そのため、自社での管理責任はありますが、運営コストを抑えることができます。

 固定金利で返済計画を立てやすい

社債は固定金利となっており、元金返済は償還まで必要ありません。そのため、利息の予測が付きやすく、また、銀行借り入れのように月々の返済に悩まされることもありません。

 融資審査不要

少人数私募債は、融資のための審査や担保、保証料の支払いなどがなく、資金調達の方法としてはハードルが低めになっています。社長個人の信用や会社とのかかわりで引き受けてもらえます。

 社員の士気が上がる

少人数私募債は会社に関係の深い人々に引き受けてもらいます。そのためには事業計画を明確にして、縁故者との信頼関係を築くことが必要です。そうした活動を通して、代表者を中心としてビジネスへの思いを見直し、会社全体の士気を高めることもできそうです。

少人数私募債のデメリット

少人数私募債にはメリットだけでなく、デメリットもあります。先々のことや上手く行かない場合の対応もしっかりと考えて、綿密に計画を練ることが必要となるでしょう。

一括償還(返済)が基本

社債は一括償還が基本となっています。毎月の支払いは利息のみに抑えられますが、償還時には元金を一括返済することが必要です。そのため、償還までは計画的な積み立てなどを行って、資金を確保しておく必要があります。

 資金が集まる保証はない

少人数私募債は、社長や会社の縁故などの身近な人たちをターゲットとしています。そのため、当てにしていた引き受け先が断れば予定の金額を調達できないこともあります。そのため、事業計画の明示や説明、経営の安定など、信頼を勝ち取らないといけません。また、発行後も定期的な報告や説明を行い、信頼関係を継続させることが必要です。

 

少人数私募債は人数の制限こそありますが、資金調達の方法としては大変役に立つ方法です。手間やコストなどを抑えたい場合には適した資金調達の1つです。ただし、実際に募集をして少人数私募債での資金集めを成功させるには難しさもあります。