コラム

一括ファクタリングとは?メリットはある?でんさいとの違いも解説

売掛金を早期資金化するファクタリングは、経営者の資金調達方法として広く利用されています。

一方で、ファクタリングと少し違う「一括ファクタリング」はご存知でしょうか。

一括ファクタリングは、支払企業・納入企業・銀行の3社間で契約する「3社間ファクタリング」の一種で、納入企業ではなく支払企業が主体となるのが特徴です。

一括ファクタリングは手形取引に代わるサービスとして登場し、電子記録債権法が施行された2008年以降は「電子記録債権(でんさい)」へ移行しています。

この記事では、一括ファクタリングの仕組みやメリットについて、以下の4点を説明します。

  • 一括ファクタリングとは
  • 一括ファクタリングのメリット・デメリット
  • 一括ファクタリングは「でんさい」に移行
  • 「でんさい」を利用できる金融機関

 
一括ファクタリングの理解を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

一括ファクタリングとは?

一括ファクタリングとは、支払企業納入企業銀行の3社間で契約を結び、売掛金の一括決済を行う金融サービスです。

一般的なファクタリング(買取ファクタリング)と同様、納入企業は発生した売掛金を銀行に譲渡し、早期資金化することが可能です。

しかし、一括ファクタリングには、「納入企業」ではなく「支払企業」が主体となって申し込むという違いがあります。

そのため、一括ファクタリングを利用する際は、支払企業側が一括ファクタリングシステムを導入している必要があります。

 

一括ファクタリングは手形に代わるサービス

一括ファクタリングは、「手形取引」に代わるサービスとして登場しました。従来は、代金の支払いの代わりに証券の一種である「手形」を発行し、支払いを延ばすのが主流でした。

しかし、手形取引には、手形の発行や管理といった手間や、印紙税の納入をはじめとしたコストがかかります。

そこで、手間やコストをかけず、支払いを延ばすことができる手段として、銀行が「一括ファクタリング」という仕組みを開発しました。

現在は、手形の取引金額は減少しており、多くの企業が一括ファクタリングをはじめとした他の決済手段に切り替えています。

 

一括ファクタリングの仕組み

前述のとおり、一括ファクタリングは以下の3社で契約します。

 

  • 支払企業(債務者)
  • 納入企業(債権者)
  • 銀行

 
一括ファクタリングの仕組みは、一般的な3社間ファクタリングとほとんど変わりません。

申込みの主体は支払企業ですが、納入企業は通常の買取ファクタリングと同様、入金日より前に売掛金を資金化できます。

一括ファクタリングを利用する際の流れを次で説明します。

 

一括ファクタリングの契約の流れ

一括ファクタリング契約の流れは、以下のとおりです。

 

全部で7つの工程があります。

①支払企業・納入企業・銀行の3社間で、一括ファクタリングシステムの基本契約を締結する

②納入企業が支払企業に商品やサービスを提供する

③商品やサービスの対価として、納入企業が支払企業に売掛金を請求する

④支払企業は、売掛金に関する支払明細データを銀行に送付し、一括ファクタリングシステムに登録する

⑤銀行が納入企業へ支払う金額を算定する

⑥納入企業が売掛金を銀行に譲渡する

⑦銀行が売掛金を入金日前に納入企業へ支払い、支払企業が決済期日に銀行に対して売掛金を支払う

 

3社間で契約をした後、支払企業が一括ファクタリングシステムへの登録を行い、一括決済がされるという流れです。

 

【支払企業】一括ファクタリングのメリット3つ

これまでの手形取引と比べて、一括ファクタリングにはさまざまなメリットがあります。

 

しかし、支払企業・納入企業でそれぞれメリットが異なります。

まずは支払企業側の3つのメリットを解説します。

 

①手形の発行事務を軽減できる

手形の発行には、宛先・金額の記入、押印、印紙の貼付、郵送など、さまざまな事務手続きが必要です。

毎月発行する手形の数が増えれば増えるほど、手形の発行事務の業務負担が重くなります。

また、もし手形を紛失し、第三者の手に渡ってしまうと資金化できなくなってしまうため、手形の管理業務も重要です。

しかし、一括ファクタリングを利用すれば、こうした手形の発行・管理の手間は発生しません

銀行の一括ファクタリングシステムに売掛金のデータを登録すれば、売掛金の資金化などの手続きは、銀行側が行います。

支払企業は通常の掛取引にのみ集中できるため、事務作業にかかる手間を大きく削減できます。

 

②コストを削減できる

手形の発行を行わないことで、手形に貼り付ける印紙代を節約できます。

10万円未満の取引であれば、手形の印紙代は非課税ですが、それ以上の金額だと印紙税が課されます。

印紙税の金額は、取引金額が大きくなればなるほど高額になるため、受注金額が大きな取引の支払いを手形で行うと、高額な費用負担が発生します。

しかし、手形取引の代わりに一括ファクタリングを利用すれば、印紙税がかかりません

ファクタリング手数料は必要ですが、一括ファクタリングの手数料は通常の買取ファクタリングよりも低額なため、コスト削減が可能です。

印紙税の金額は、以下の表を参考にしてください。

手形金額印紙税
10万円未満非課税
100万円以下200円
101~200万円400円
201~300万円以下600円
301~500万円以下1,000円
501~1000万円以下2,000円
1001~2000万円以下4,000円
2001~3000万円以下6,000円
3001~5000万円以下10,000円
5001万円~1億円以下20,000円
1~2億円以下40,000円
2~3億円以下60,000円
3~5億円以下100,000円
5~10億円以下150,000円
10億円以上200,000円
 

③手形の紛失などのリスクを回避できる

手形取引には、手形の紛失や盗難などのリスクがあります。

前述の通り、手形が第三者の手に渡ってしまうと、手形の権利を行使できなくなる可能性があります。

紛失した手形を使えないよう、手形を無効化することも可能ですが、そのためには裁判所へ「公示催告の申立」を行う手間がかかります。

一方、一括ファクタリングでは、手形のような現物ではなく、売掛金の権利(売掛債権という)をやりとりします。

そのため、紛失や盗難の恐れがなく、安心して取引できます

 

【納入企業】一括ファクタリングのメリット3つ

次に、納入企業にとっての一括ファクタリングのメリットについて説明します。

納入企業から見たメリットは3つあります。

 

①売掛金を早期資金化できる

通常の買取ファクタリングと同様、納入企業は売掛金を早期に資金化することで、資金繰りの改善が可能です。

一括ファクタリングでは、納入企業が自由なタイミングで売掛金を資金化できます。

「手元資金が少なく、税金や保険料が支払えない」「社員の給料を支払うお金がない」といったトラブルが発生しても、一括ファクタリングに加入していれば安心です。

 

②貸し倒れリスクを回避できる

一括ファクタリングを利用すれば、納入企業は貸し倒れリスクを回避できます。

 

償還請求権がない「ノンリコース型」のファクタリングなら、売掛金を資金化した後に売掛先が倒産しても、売掛金の補償を求められることがありません

 

③手形にかかっていたコストを削減できる

手形取引は、支払企業だけでなく納入企業にとってもコストがかかる決済方法です。

代金の代わりに手形を受け取ったら、支払企業と同様に管理コストが発生します。

また、手形の領収書にも、所定の印紙代がかかります。

事務コストの削減という面で、一括ファクタリングは支払企業・納入企業の両方にメリットがあるサービスです。

一括ファクタリングは納入企業が主体となって申し込むことはできませんが、納入企業にもメリットがあることを知っておきましょう。

 

【支払企業】一括ファクタリングのデメリット1つ

一括ファクタリングには、メリットだけでなくデメリットもあります。

 

メリットとデメリットの両方を比較し、決済手段を選ぶことが大切です。

一括ファクタリングのデメリットは、メリットと同様に支払企業・納入企業でそれぞれ異なるため、順に詳しく見ていきましょう。

はじめに、支払企業から見た一括ファクタリングのデメリットを説明します。

 

手形よりも支払期限が短い

支払企業は一括ファクタリングを利用すると、手形よりも支払期限が短くなってしまう点に注意が必要です。

 

手形取引の支払期限は、長いものでは180日ほどです。

下請法に該当する手形取引の場合は、最長で120日です。

しかし、一括ファクタリングの売掛金の支払期限は、最長で60日ほどしかありません。

経営状態が苦しい場合や、資金繰りに余裕を持たせたい場合は、支払期限が短い一括ファクタリングよりも、手形取引のほうが向いています。

 

【納入企業】一括ファクタリングのデメリット1つ

次に、納入企業から見た一括ファクタリングのデメリットを説明します。

 

一括ファクタリングの利用を決めるのは支払企業

納入企業にとっての最大のデメリットは、一括ファクタリングを自分で申し込めない点です。

一括ファクタリングを利用するかどうかの選択権は、納入企業側ではなく支払企業側にあります。

支払企業が一括ファクタリングの利用を決定しない場合、納入企業は一括ファクタリングを利用できません。

売掛金を期日前に資金化し、資金繰りを改善したい場合は、通常の買取ファクタリングを利用しましょう。

 

一括ファクタリングは現在「でんさい」に移行

現在、一括ファクタリングは「でんさい」へ移行しており、縮小傾向にあります。

 

これから手形取引の代わりにファクタリングを利用したい場合は、一括ファクタリングという名称ではなく、銀行が提供する「で
んさい」という名称のサービスを利用する必要があります。

「でんさい」とは、電子記録化された金銭債権(電子記録債権)のことです。

電子記録債権は「でんさいネット」と呼ばれる銀行間ネットワークで利用できます。

「でんさい」を利用する場合は、一括ファクタリングと同様、この「でんさいネット」を通じて、納入企業・支払企業・銀行の3社間でやりとりを行います。

一括ファクタリングと「でんさい」の基本的な仕組みはほとんど同じです。

これまで一括ファクタリングを利用していた方も、安心して「でんさい」をご利用いただけます。

「でんさい」はスマートフォンや携帯電話からは利用できませんが、インターネットに接続可能なPCなら、どこでも利用可能です。

でんさいについて詳しく知りたい方はこちら

【最新】電子記録債権(でんさい)とは?ファクタリングとは何が違う?

 

「でんさい」を利用できる金融機関3社

ここでは、「でんさい」を利用できる金融機関を3社紹介します。「でんさい」の利用を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

 

三井住友銀行の「SMBCでんさいネット」

SMBCでんさいネット」は、三井住友銀行が提供するサービスです。法人の方は、インターネット窓口「ValueDoor」を通じ、お手元のパソコンから「でんさいネット」に接続できます。

また、手形を振り出す代わりに、でんさいネットを通じて、商品代金を支払うことができます。

SMBCでんさいネットでは、ファクタリングと同様に、でんさいを早期資金化する「でんさい割引」を利用できます。

 

三菱UFJ銀行の「でんさいSTATION」

でんさいSTATION」は、三菱UFJ銀行が提供するサービスです。法人向けインターネットバンキングの「BizSTATION」をご利用中の方のみ、でんさいSTATIONに加入できます。

納入企業の方は、でんさいを早期資金化する方法として、「でんさいの譲渡」のほか、手形割引に似た「でんさいの割引」のいずれかを利用できます。

 

七十七銀行のでんさい取引

七十七銀行に決済口座をお持ちの方は、でんさいネットを活用したでんさい取引を利用できます。でんさいの利用には、事前に申込みと所定の審査が必要です。

でんさいはペーパーレスの電子債権のため、手形取引と比べて手間がかかりません。

また、支払いをでんさいネットで一本化できるため、支払い手続きの効率化にもつながります。

 

即日の資金調達なら日本中小企業金融サポート機構

一括ファクタリングは、現在「でんさい」に移行しています。「でんさい」は手形の手間やコストを削減できる便利なサービスですが、支払企業が申し込まないと利用できないというデメリットがあります。

自由なタイミングで資金調達したい場合は、ファクタリングのご利用をおすすめします。

当機構は最短即日で資金調達ができ、売掛先の承諾が不要な「2社間ファクタリング」のご利用も可能です。

お急ぎの方はぜひご相談ください。