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法人が利用する特別清算とは


 

会社が倒産する際には、組織の解体と共に、会社が背負っている負債を全て清算する必要があります。会社法や破産法などの様々な法律によって負債の清算が規定されており、法律に従うことによって適切に倒産へと至ることになります。特別清算は清算の中の一種ですが、特別清算を利用するための条件、通常清算や破産との違いについて解説していきます。

 

特別清算手続とは

会社を終わらせるためには、清算を行う必要があり、負債額よりも資産額が多い場合には、資産を売り払ってできたお金で清算を行うことになります。これを通常清算と呼び、黒字が出ていても経営者の事情などによって会社をたたむ場合には通常清算を行った上で登記から消すことになります。一方で負債額が資産額を超えている、いわゆる債務超過の赤字企業の場合には、破産手続を行うか、特別清算を行う必要があります。破産手続を選択すると、資産を裁判所が選出した破産管財人によって計算、換価してから、債権者に対して公平に分配、残債についてはこれによってゼロになります。

 

特別清算とは破産手続と同じく、債務者が保有している資産を換価して、資産を売却することによってできたお金を公平に債権者へと分配される制度で、会社法に基づいて行われる手続となります。破産と特別清算の大きな違いが、特別清算では清算事務を精算人(倒産する会社側)が行えるという点で、債務の弁済は協議や和解によって取り扱うことが可能な点などがメリットとして挙げられます。

 

破産手続では破産管財人が破産法に基づいて資産を処分していくのに対し、特別清算手続では、自社で資産の処分が可能であることを覚えておくと良いでしょう。

 

特別清算手続の適用条件

特別清算手続は、どの会社も行えるというわけではありません。まず対象となるのは株式会社に限られ、かつ、以下の場合には特別清算へと移ることになります。要件は2つあり、1つめは「清算の遂行に著しい支障を来たすべき事情がある場合」、2つめは「債務超過の疑いがある場合」です。前者に関しては会社法5102号にて、後者は会社法5101号にて規定されています。

 

なお、特別清算手続を行うためには、債権者の同意を得る必要がある点にも留意しなければなりません。会社法56712号では、債権者(総債権額)の3分の2以上の同意を得られないと特別清算手続を進められないと規定しています。多額の債権を持っている債権者の同意を得る必要があり、中小企業では、親会社が債権の半分を持つ子会社の清算を行う際にこの制度を利用するケースが多いです。

 

逆に言えば、債権者の同意を得られない場合には、破産手続へと切り替える必要があると言えます。大企業の倒産などの場合には特別清算が行われることもありますが、中小企業の倒産では、特別清算手続は必ず実現できるとは限りませんので注意が必要です。

 

破産手続との違い

破産手続と特別清算手続の大きな違いは、自分で資産を処分し、債権者への配当や支払いを行えるかどうかという点にあります。破産手続の場合には、裁判所に対して破産の申し立てを行い、選出された第三者である破産管財人が資産の処分を行っていくことになりますが、特別清算では清算人がそのまま特別清算人になるため、資産の処分は自社で行えるという、一定の主導権が得られるメリットがあります。破産でも特別清算でも、資産の換価処分がなされるという点では同じですが、誰がその処分を行うかという点で異なるという話です。

 

なお、破産は破産管財人が債権者の意見を尊重しながら換価処分の判断をすることになりますが、特別手続の場合には精算人自らが特別清算人となるわけですので、債権者との同意を得るために、債権者との間に協定を締結する必要が出てきます。簡単に言えば、破産は勝手に処理を行ってくれる代わりに不自由な処分になる、特別清算は自分で資産を処理する代わりに債権者と話合わなければならない、といったところでしょう。

 

この他にも、破産と特別清算では費用の差が大きく開いてしまう点でも異なります。東京地方裁判所の場合、負債が1億円以上5億円以下の会社の破産だと、予納金が200万円必要となりますが、特別清算の場合(債権者の同意が3分の2以上得ている)は5万円で済ませられます。このように、費用にも大きな差が発生しますので、できれば特別清算にて会社の倒産へと持ち込みたいところですね。しかし現実では、同意を得ることはなかなか難しく、結局破産手続を踏むに至る企業が多いのが現状です。

 

 

特別清算手続と破産手続は、会社が保有している資産の処分方法という点で大きく異なることになります。特別清算手続では会社側が特別清算人となって処分できるのに対し、破産手続では第三者の破産管財人によって処分されることになります。

 

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