コラム

日本とは何が違う? アメリカのベンチャーキャピタル

成長が期待されるベンチャー企業に対して資金を提供し、経営支援も行うベンチャーキャピタル。


しかし、日本のベンチャーキャピタルの市場規模はアメリカと比べると圧倒的な差があり、ベンチャーを取り巻く環境や文化もまた様相が異なっています。


日本とアメリカではどのような差があるのか、日米のベンチャーキャピタルの違いについて解説します。

ベンチャーキャピタルとは?

ベンチャーキャピタルとは、外部の投資家などから資金を集め、企業を目指す起業家や起業して間もない企業などに投資してハイリターンを狙う投資会社です。


出資した企業が成長しIPOやM&Aに成功すると、得た利益を最初に資金を集めた投資家に還元します。

日本とアメリカのベンチャーキャピタルは投資先の数と種類が違う

アメリカのベンチャーキャピタルの市場規模は日本の約50倍です。


日本ではベンチャー企業の数そのものがアメリカよりも少ないのです。


起業家を目指す人も圧倒的に少ないといえます。


学校教育で起業家になるためのノウハウを教えられることはほとんどなく、起業家が子供たちの憧れの職業の上位にランキングされているという話も聞きません。


むしろ起業はリスクが高く、事業に失敗すれば再起不能になるというイメージの方が強いかもしれません。


また、日本のVCは一般的にシード期のベンチャー企業に出資しませんが、アメリカのVCはシードベンチャーにも投資します。


これもベンチャーキャピタルの出資先の数の違いに大きく影響しているといえるでしょう。

日本とアメリカのベンチャーキャピタルは母体の業種が違う

また、日本のベンチャーキャピタルは銀行系、証券系、保険系などの金融系ベンチャーキャピタルが多いという特徴があります。


これはもともと日本のベンチャーキャピタルの多くが、金融機関が行うエクイティ投資が発達する形から銀行や証券会社の系列会社として誕生したという背景があるためです。


金融系ベンチャーキャピタルには特定の業種に偏らず幅広い業種の企業に投資するという、ベンチャー企業にとっては好ましい特徴があります。


しかし一方で、ある程度の実績を積み、アーリーステージを脱して上場が近くなってきた企業を対象に投資するという傾向が強いといわれています。


単純化していうことはできませんが、これはリスクをとってハイリターンを狙うというよりは、リターンを得ようとはするもののなるべく堅実な投資をしようとする志向を表しているかもしれません。


では、アメリカの場合はどうなのでしょう。


アメリカでは金融系ベンチャーキャピタルという分類はあまり一般的ではありません。


主流は個人や小さな会社の集合体がファンド運営者(GP)となるパターンで、日本式の分類でいえば独立系ベンチャーキャピタルということになります。


科学技術についての素養や知識、経営実績などさまざまな背景を持つ人が、それぞれの選択眼や「先見の明」を持ち、世の中の流れを見極め、そのような人たちがネットワーキングによってつながりながら投資すべきベンチャー企業をセレクトしていくという環境があります。


こうした日米ベンチャーキャピタルの系統の違いは、ベンチャーに対する取り組み方、文化の違いともいえるものです。


アメリカでは50年以上前からシリコンバレーを中心として数々の起業家が生まれ、成功者が投資家となってスタートアップに出資するというサイクルが自然発生的に構築されてきました。


端的にいえば、アメリカの方が新しく革新的なビジネスが生まれ育つ機運に富んでいるということになるでしょう。


ただし、このような現状についてはベンチャーキャピタルや国も自覚していないわけではありません。


社会意識を含めた創業を取り巻く環境を変えることや、ベンチャーのエコシステム(生態系)を作り上げることが急務とされています。

日本とアメリカのベンチャーキャピタルは投資額が違う

日本のベンチャーキャピタルによる年間投資額は2,000億円弱程度といわれています。


これに対し、アメリカのベンチャーキャピタルの投資額は9兆円以上と大きな開きがあります。


ちなみに中国のベンチャー企業への投資額は3兆円。


日本でも投資額は年々増えていますが、市場規模ではアメリカや中国にも遠く及ばず、上昇のスピードも緩やかというのが現状です。

日本とアメリカのベンチャーキャピタルは出口戦略が違う

日本とアメリカのベンチャーキャピタルはエグジット(出口戦略)も異なります。


日本のベンチャーキャピタルにおけるエグジットはほとんどがIPO(新規株式公開)で、M&Aはそれほど多くありません。


IPOでは10億~100億円規模での上場が主流です。


これは日本の場合、上場審査における時価総額の最低ラインが東証マザーズの10億円であることも関係していると考えられています。


一方、アメリカのエグジットはM&Aが大半を占めています。

日本とアメリカのベンチャーキャピタルは持ち株比率が違う

日本でベンチャーキャピタルから出資を受けているケースでは、ベンチャーキャピタルの持ち株比率は10%以下のケースが多いです。


一方、アメリカではベンチャーキャピタルの持ち株比率が過半数を超えることも珍しくありません。


概してアメリカのベンチャーキャピタルは日本のベンチャーキャピタル以上に経営へ深く関与し、出資先企業にも強いプレッシャーをかけます。


状況によっては、ベンチャーキャピタルの判断で出資先企業の経営者が解雇される可能性もあります。


日本とアメリカのベンチャーキャピタルを取り巻く状況についてご理解いただけたでしょうか。


スタートアップの資金を得ることをお考えの方は、まずは自らベンチャーキャピタルにアプローチしてみることを検討してみてはいかがでしょうか。