コラム

交渉は可能? 銀行融資の金利の決め方

銀行融資の金利は銀行が一方的に決めるもので、借りる側が変えることはできないと思っている人は少なくないようです。


ところが、銀行融資の金利には十分、相談や交渉の余地があるのです。


とはいえ、そのためにはそもそも金利がどのようにして決まるのかを知っておくことが必要です。


それでは銀行融資の金利の決め方と交渉の方法について解説していきます。


少しでも低い金利で銀行融資を受けられれば、その分だけ事業経営が有利になるでしょう。


ここでは下記3つについて徹底解説をしていきます。

  • 銀行融資の金利の基準
  • 銀行融資の金利に含まれているもの
  • 金利を引き下げるためにできること


ぜひ、最後までご覧ください。

銀行の融資金利は変動金利

融資を受ける際の金利は、「固定金利」と「変動金利」に大きく分けられますが、銀行から融資を受ける際の金利は基本的に「変動金利」です。


銀行は企業に対して融資を行うための資金を、銀行間取引などで調達していますが、その際に適用される金利も景気情勢などに従って随時変動します。


そのため、銀行が企業に対して固定金利で融資を行ってしまうと、景気の変化によっては逆ザヤになってしまう可能性が出てきます。


そういった事態を避けるために、銀行では変動金利で融資を行っているのです。

銀行融資の金利の基準

銀行融資の金利は、さまざまなデータや数字を参考に決められています。


中でも基準になる金利といわれるのが、「短期プライムレート」「TIBOR」です。


それぞれどのようなものなのかを知っておきましょう。

短期プライムレート

短期プライムレートとは、銀行が企業に対して短期(1年以内)の融資を実行する際に設定する「最優遇金利」です。


最優遇金利(プライムレート)は、銀行がもっとも信用度の高い優良企業に融資する際に適用する、もっとも優遇された金利を意味します。


短期プライムレートは、よく「短プラ」と略されます。


短プラの金利は、「預金による調達コスト+銀行の利ざや(上乗せ:スプレッド)」を算出し、各銀行が独自に決めています。


一方、貸出期間が1年以上のものは長期プライムレート(長プラ)と呼ばれます。


ただ、長プラは現在では銀行融資の金利との連動性はほぼありません。


短プラと連動した融資は基本的に預金が原資で、中小企業向けによく提供されます。

TIBOR

TIBORは、日本の東京市場の銀行間取引金利です。


Tokyo Interbank Offered Rateの略で、「タイボー」と読みます。


銀行間では、資金が不足した際にお互いに融通し合いますが、その際に適用される金利が「TIBOR」で、全国銀行協会が集計し、毎営業日に「全銀協TIBOR」として発表しています。


TIBORを基準にして融資の金利を決める方式は、スプレッド融資と呼ばれます。


スプレッド融資の金利は、「TIBOR+スプレッド」で決まります。


TIBORと連動したスプレッド融資は銀行間取引による資金調達が原資で、短プラ連動融資よりも低金利であり、大手企業向けによく提供されます。


ただ、中小企業も利用できないわけではありません。

銀行融資の金利に含まれているもの

銀行融資の金利に含まれている要素には、(1)調達コスト、(2)経費率、(3)収益率、(4)信用コストの4つがあります。

調達コスト

融資のための原資には前出のように、預金や銀行間取引で借りてくる資金があります。


これらを調達するために必要なコストが、資金調達コストです。


ただし、融資金利に占める割合はさほど大きくありません。

 経費率

銀行の人件費、店舗の運営コスト、事務コストなどです。


銀行が事業を行ううえでは必ず発生します。

収益率

金利からほかの3要素を控除してもプラスになるよう、利益分が上乗せされます。


これが収益率です。

信用コスト

信用コストは融資先である企業の信用度によって異なり、融資先の倒産確率を示すものです。


融資先ごとの金利の違いとして顕著に表れ、貸し倒れリスクとも呼ばれています。


銀行は審査によって融資先の情報を集め、格付や債務者区分を行い、その結果によって融資の条件を決め、金利を定めます。


信用による評価が低い企業であっても、経営状態が改善されることで信用コストも抑えることができます。

銀行融資の金利の交渉は可能?

銀行融資の金利について、銀行と交渉をすることは可能です。


借りる側がアプローチできるのは、銀行融資の金利に含まれている要素における「信用コスト」の部分です。


銀行は、融資する企業を10~12段階で信用格付けします。


たとえば、格付1~6は正常先、7~8は要注意先、9は要注意先(要管理先)、10は破綻懸念先、11は実質破綻先、12は破綻先などというように分類されます。


正常先~破綻先というのは債務者区分と呼ばれ、格付による評価が高いほど金利は低くなります。


そこで交渉するならまず、銀行の融資担当者に提出する書類や面談で評価を上げるためのアピールをすることが重要です。


決算書には経営計画書などの資料を添付し、説得力を持たせてください。


決算日から逆算して、数ヵ月前から借入に有利な決算書を作るための対策を練って実行するのも、効果があります。


面談では質問に対する的確な回答をシミュレーションし、返済実績や業績好調をアピールできるよう準備しておくことが、効果を上げるでしょう。


また、複数の銀行にコンタクトをとって、他行の金利を材料に交渉する方法も考えられます。


いわば相見積もりを取るようなやり方ですが、格付が少なくとも正常先である必要があり、格付が上であるほどこの方法は有効です。

金利を引き下げるためにできること

上記以外にも、金利を引き下げるためにできることはあります。


金利を引き下げるための方法について、以下で説明します。

返済実績を増やして銀行の信頼を得る

銀行では、いろいろな種類の融資を取り扱っています。


その中で、短期の信用保証付き融資などを利用して完済するということを繰り返し、返済実績を積み重ねることで銀行の信頼を得るという方法は、低金利で融資を受けるために効果的です。


銀行としても返済実績を積んでいる会社に対してのほうが安心して融資を行えますし、場合によってはプロパー融資を引き出せる可能性もあるでしょう。

制度融資を利用する

制度融資とは、信用保証協会の保証だけでなく各地方自治体などの支援が加わることで、中小企業が資金調達を行いやすくなる融資制度のことです。


制度融資の金利はあらかじめ決められていることが多いですが、地方自治体などの支援が加わることで、信用保証協会の保証付き融資よりも低金利で利用できるのが一般的です。


制度融資が行われているかどうかは地方自治体によって異なるので、利用できる制度融資があるかどうかを、確認してみるとよいでしょう。

適切な会計処理を行う

適切な会計処理が行われているかどうかも、銀行からの融資金利に影響を及ぼす要素のひとつです。


会計処理が適切であるかどうかの判断には、「中小企業の会計に関する指針」と呼ばれる指針が用いられることが多いです。


この指針は、日本税理士会連合会・日本公認会計士協会・日本商工会議所・企業会計基準委員会によって作成されたもので、中小企業が一定の基準を満たした財務書類を作成できるように公表されています。


この指針に沿った形で会計処理を行っていると、会計処理が健全であると判断されて銀行からの信用度が高まるので、低金利での融資を受けやすくなります。


「中小企業の会計に関する指針」を確認したい場合は、まずは日本税理士会連合会のホームページを確認しましょう。


「中小企業の会計に関する指針」に関する内容がPDFでまとめられていますので、自社の会計がその指針に沿ったものになっているかを確認し、なっていない場合は急いで修正しましょう。


なお、「中小企業の会計に関する指針」は随時改正を繰り返していますので、情報をアップグレードしないままだと、古いバージョンの指針に沿った会計になってしまっている可能性があります。


会計の内容が最新の「中小企業の会計に関する指針」に沿ったものになっていれば、銀行に与える印象もよりよくなります。